『スタンフォード式最高の睡眠』の著者に聞く「睡眠負債」予防のポイントは

 『スタンフォード式最高の睡眠』の著者に聞く「睡眠負債」予防のポイントは
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林ゆり
林ゆり
2019-11-04
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自分の睡眠について認知することで対策ができる

なんとなく疲れているけれど、睡眠負債かどうか判断が付きにくいこともあります。睡眠負債があるかどうかをチェックする簡単方法は、週末にうっかり平日よりも2時間程度長く寝てしまうことがあるかどうか。ある場合は、睡眠負債がある証拠だそう。思い当たる節がある人が多いのでは?

また、睡眠不足は(女性の場合)、肥満や生活習慣病、感染症やガン、認知症のリスクを抱えているとのこと。「起きている間はカロリーが消費されるから痩せるのでは」と思いきや、眠らないと太りやすいなんてショックですよね。

睡眠について間違った情報も多いそうで、22時から翌朝2時までの4時間は、成長ホルモンが活発になるので眠るゴールデンタイムと思い込んでいましたが、あまり関係ないそうです。「時間帯ではなく、最初に深い眠りに入れるかどうかが重要です。入眠のノンレム睡眠90分が理想です。もちろん、個人差あるので、70分から110分といったところでしょうか。その後、浅い眠りの短いレム睡眠になり夢をみます。よい睡眠でないと、明け方も深い睡眠が続き目覚めが悪くなります。時間帯ではなく、良質な睡眠が必要です」と西野教授。職種によっては、22時にベッドに入るのが難しいと思っていた人にも朗報です。

睡眠負債の予防方法

何時には寝なければいけないということがなくても、1日7〜8時間を目安に睡眠時間を確保することは大切です。

最近トレンドの、ランチ後のコーヒーナップも有効ですが、この習慣がおすすめできない人もいるそうです。「カフェインが作用するのが20分後だから、ナップの目覚めにいいといわれていますが、これは、すぐに入眠できる人の場合です。寝つきが悪いと10分近く眠れず、カフェインが効き始めて結局うまく昼寝できなかったということもあります」(西野教授)自分のタイプを把握し、寝つきが悪い人は、ノンカフェイン飲料のほうがよさそう。

西野教授によると、睡眠の質を上げる「認知行動療法」が睡眠負債を予防するのにおすすめとのこと。認知行動療法とは、睡眠についての知識を高め、自分の睡眠の変化を記してくこと。就寝前の食事や運動、あるいは飲酒などで、どの習慣が自分の睡眠に良く、どの習慣が悪かったかを認識し、眠れなかったときや目覚めが悪いときに行ったことは、自分の眠りに悪しき習慣なので、排除するように心がけましょう。

1日は24時間ですが、人間の体は、もう少し周期が長いため、朝にリセットする必要があります。起きたら太陽光を浴び、朝食を食べる。夜更かしになりがちでも、24時間に自分を合わせるイメージで朝は起きるのがいいようです。昼間が高く、夜が低いといった体温のリズムが大切なので、規則正しい生活は良質な睡眠に近づけるすぐに始められる方法のようです。「1日のメリハリが重要です」と語る西野教授が、眠りのために監修したクラシックCDには、覚醒のための音楽も収録されています。

世界的睡眠研究の第一人者に聞く!良質な睡眠のためにするべきこと【前編】
最高の睡眠と目覚めのためのClassic

眠るための方法はたくさん情報がありますが、目覚めにも着目されている西野教授。睡眠負債を返済し、良質な睡眠のための覚醒とは?後編をお楽しみに。

教えてくれたのは…スタンフォード大学医学部精神科 西野精治教授
1982年大阪医科大学卒業。1987年よりスタンフォード大学医学部精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の研究に力を注ぎ、ヒトのナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNL所長に就任。2017年に著書「スタンフォード式 最高の睡眠(サンマーク出版)」が話題を集めた。2019年5月「最高の睡眠で、最高の人生を。」をミッションに、睡眠に特化した健康経営のコンサルティングやITを活用したサービスなどを手掛ける株式会社ブレインスリープを設立しCEO兼CMOに就任。2019年10月睡眠と目覚めにフォーカスしたコンピレーションCD「最高の睡眠と目覚めのためのClassic」を監修。

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