突然の腹痛と血便…「便秘気味の中高年女性」も注意したい虚血性腸炎とは?医師が解説

突然の腹痛と血便…「便秘気味の中高年女性」も注意したい虚血性腸炎とは?医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-09-11

突然、お腹が痛くなったと思ったら、その後に血便が出た。――「痔かな」「便秘だったから硬い便で切れたのかな」と考えてしまう人もいるでしょう。しかし、中高年の方でこうした症状が突然現れた場合、知っておきたい病気があります。それが「虚血性腸炎」です。虚血性腸炎は、大腸の血流が一時的に悪くなることで、腸の粘膜に炎症や傷が生じる病気です。典型的には、突然の腹痛に続いて、下痢や血便が出るという経過をとります。特に、便秘がちな中高年女性では比較的よくみられる病気の一つです。医師が解説します。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

「急な腹痛→血便」は虚血性腸炎の典型的なパターン

虚血性腸炎では、突然お腹が痛くなることがあります。

「トイレに行こうと思ったら、急に左側のお腹が痛くなった」
「差し込むような腹痛が出た」

その後、下痢が始まり、血液が混じった便が出る。

このような経過が典型的です。

最初は普通の便だったのに、次第に赤い血が混じることもあります。

ここで重要なのは、腹痛と血便がセットで急に出てきた場合には、痔だけとは考えないことです。

なぜ「便秘」が関係するのか?

虚血性腸炎は、腸への血流が一時的に不足することで起こります。

その背景には、動脈硬化や高血圧、糖尿病など血管に関係する病気があることもあります。

一方で、便秘も一つの関連要因として知られています。
便秘になると、硬い便が腸内にたまり、強くいきんで排便することがあります。

また、腸管の動きや腸の内圧など、さまざまな要因が重なることで、腸の血流が悪くなりやすい状態が生じることがあります。

そのため、「便秘だから血便が出た」と考えるのではなく、便秘を背景に虚血性腸炎が起きている可能性も考えることが大切です。

なぜ中高年女性に多いの?

虚血性腸炎は、比較的中高年に多く、女性に多いとされています。

特に、

  • 便秘になりやすい
  • 高血圧がある
  • 糖尿病がある
  • 脂質異常症がある
  • 動脈硬化を指摘されている
  • 過去に心臓や血管の病気を指摘されたことがある

といった人では注意が必要です。

ただし、こうした条件がなければ発症しないというわけではありません。

健康そうに見える人でも、突然発症することがあります。

ケース①「便秘のせいだと思っていた」60代女性

例えば、60代の女性が、数日前から便秘気味でした。

ある日の朝、突然、左下腹部に強い痛みが出ました。
「便がたまっているから痛いのかな」と思ってトイレに行くと、下痢と一緒に血が出てきました。

このようなケースでは、虚血性腸炎が疑われます。

本人は「便秘が続いていたから仕方ない」と考えていても、突然の腹痛と血便という組み合わせは、医療機関で原因を確認したほうがよい症状です。

ケース②「痔だと思っていた」70代女性

別の70代女性は、以前から痔がありました。

ある日、トイレットペーパーに血がついたため、「また痔が悪化したのだろう」と考えていました。
ところが今回は、血便だけではなく、突然の腹痛と下痢もありました。

この場合、痔だけでは説明できない可能性があります。

血便が出たときには、「以前から痔があるから」と決めつけないことが重要です。

血便の色だけで病気を判断しない

「鮮やかな赤い血だから痔」
「黒い便だから胃の病気」

と、便の色だけで自己判断するのはおすすめできません。

出血する場所や出血量、腸の動きなどによって、便の見え方は変わります。

血便が出た場合には、腹痛の有無、下痢の有無、発熱、便の回数なども含めて判断する必要があります。

特に、突然の腹痛と血便が同時に出た場合は、一度医療機関に相談することが大切です。

虚血性腸炎は「一時的」で済むことも多い

虚血性腸炎と聞くと、「腸が壊れてしまうのでは?」と怖くなるかもしれません。

実際には、血流の低下が一時的で、腸の粘膜に炎症や傷ができるタイプが多く、適切に治療することで改善するケースも少なくありません。

ただし、血流障害が強い場合には、腸の組織が傷んで重症化することもあります。

また、似た症状を起こす病気には、感染性腸炎や炎症性腸疾患、大腸憩室からの出血、大腸がんなどがあります。

「虚血性腸炎だろう」と自分で決めつけるのではなく、必要に応じて検査を受けることが重要です。

「痛みが治まったから大丈夫」ではない

虚血性腸炎では、時間が経つと腹痛が軽くなることがあります。

そのため、「痛みは治まったから病院に行かなくてもいい」と思ってしまう人もいます。

腸炎
photo/Adobe Stock

しかし、血便が続いている場合や、腹痛が強かった場合には注意が必要です。

また、腹痛がどんどん強くなる、発熱がある、吐き気や嘔吐が強い、お腹が張ってくる、ぐったりする、といった症状があれば、より注意が必要です。

普段から「便秘」を放置しない

虚血性腸炎を経験した人だけでなく、中高年になったら便秘を放置しないことも大切です。

「何日も出ない」
「硬くて毎回いきまないと出ない」
「便秘と下痢を繰り返す」

という状態が続いているなら、一度生活習慣や薬の影響などを見直してみましょう。

水分、食物繊維、適度な運動など、基本的な便秘対策も大切です。

水分
photo/Adobe Stock

ただし、心臓や腎臓の病気などで水分摂取量を制限されている場合は、自己判断で水分を増やさないようにしてください。

「血便=痔」と思わないこと

血便が出ると、「痔だから大丈夫」と考えてしまう人は少なくありません。

しかし、血便の原因は痔だけではありません。

特に、突然の腹痛に続いて血便が出たのであれば、虚血性腸炎を含めて原因を調べる必要があります。

一方で、血便に腹痛がなくても、大腸の病気が隠れている可能性はあります。

「以前も血が出たから今回も同じ」と決めつけず、繰り返す血便は医療機関で相談しましょう。

こんな症状があれば早めに受診を

特に次のような場合は、自己判断で様子を見ないほうがよいでしょう。

□ 突然、強い腹痛が出た
□ 腹痛の後に血便が出た
□ 血便が何度も続く
□ 血液の量が多い
□ 発熱や嘔吐を伴っている
□ お腹が張ってきた
□ 冷や汗やふらつきがある
□ 顔色が悪く、ぐったりしている

特に大量の出血、強い腹痛、意識が遠のくような症状などがある場合には、緊急の評価が必要になることがあります。

「便秘気味だから」で終わらせない

虚血性腸炎は、突然発症することが多い病気です。
だからこそ、普段は元気な人でも、「急にお腹が痛くなった」「その後、血便が出た」という変化があれば注意してください。

特に中高年の女性で便秘がちな人は、「便秘のせい」「痔のせい」と考えてしまいがちです。
しかし、突然の腹痛+血便という組み合わせには、腸の血流障害が隠れている可能性があります。

もちろん、すべてが虚血性腸炎というわけではありません。

大切なのは病名を自分で当てることではなく、「いつもと違う血便」を見逃さないことです。

「急にお腹が痛くなった。その後、血便が出た」

この二つがそろったら、「年齢のせい」「便秘のせい」「痔のせい」と片づけず、一度医療機関で相談する。
それが、腸の病気を早く見つけるための大切な一歩になります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

腸炎
水分