「お腹が痛い…」お腹のどこが痛いかで原因がわかる?知っているようで知らない【腹痛】医師が解説

 「お腹が痛い…」お腹のどこが痛いかで原因がわかる?知っているようで知らない【腹痛】医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-01-15

知っているようで意外と知らない「腹痛」について、医師がわかりやすく解説します。

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上腹部が痛い時の対処法

腹痛を呈する疾患は多種多様であり、一般の方々がおなかの痛みを感じたときに受診する前に腹痛の原因を明確に特定するのは困難であると考えられます。

腹痛症状を引き起こす病気に対しては、主に一般内科、消化器内科、消化器外科、循環器内科、泌尿器科、産婦人科、精神科、総合診療科など様々な診療科が関与していると言われています。

特に、みぞおち周辺を含めておなかの上の辺りである上腹部に腹痛を起こす疾患としては、急性胃炎、胃潰瘍、急性膵炎、胆石発作、胆管炎、胆のう炎などの可能性が考えられます。

軽い疼痛症状の場合には、安静にして腹部全体を温めて様子をしばらく観察するのも一つの手段ですが、症状が悪化するときには可及的速やかに専門医療機関を受診してください。

実際に、消化器内科などを受診して医師による問診などの診察を受けて、腹部超音波検査や画像検査、あるいは上部消化管内視鏡検査などの精密検査を受けることが有用です。

正確な診断のもとで、適切な鎮痛薬や抗菌薬などを選択することが重要ですし、場合によっては食事や水分摂取によって症状が悪化するケースも想定されますので、おなかが痛い際にはなるべく早く医療機関を受診しましょう。

腹痛
上腹部と下腹部で、疑われる症状には違いが。photo by Adobe Stock

下腹部が痛い時の対処法

上腹部ではなく、おなかの下腹部周囲に腹痛を引き起こす病気としては小腸や大腸に異常があることが多く見受けられて、よく遭遇される疾患としては胃腸炎、過敏性腸症候群、虫垂炎、憩室炎などが挙げられます。

下腹部痛に関しては、腹痛症状以外にも発熱や便秘、下痢などの便通異常を併存することが多く見受けられます。

軽症の場合には、自宅療養して安静を保持するとともに、お腹を温めて症状が改善することも期待されますが、症状が軽快しない際にはなるべく迅速に専門医療機関を受診することが重要なポイントとなります。

上腹部痛の場合と同様に消化器内科や外科を受診して医師による問診や触診などの診察を受けて、腹部超音波検査や画像検査、場合により大腸内視鏡検査を施行することを検討しましょう。

また、下腹部痛を呈する際には、消化器領域の原因疾患をもとに引き起こされる場合以外にも、ストレスに随伴した腹痛発作もよく遭遇されます。

これらのケースにおいては、日々の過大なストレスによって自律神経機能が障害を受けて乱れることによって腸管が神経過敏となって腹痛症状を起こしますので日常的に規則正しい生活習慣を送るように認識しておきましょう。

いずれにしても腹痛を呈する原因がよく分からない場合には、まずは消化器内科や救急科を受診して、様々な精密検査の結果によって正確な診断に結び付けることで治療の方向性が判明します。

まとめ

これまで、お腹の痛い部位別の対処法などを中心に解説してきました。

おなかの痛みを感じてしばらく様子をみていると自然に軽快していく一時的なものであれば必ずしも病院やクリニックを受診する必要性は高くありません。

ところが、腹痛を呈する原因には手術が必要になる重篤な病気も隠れていることが稀にあることを念頭に置いておきましょう。

上腹部や下腹部に強い痛みを自覚する際には、胃や大腸、膵臓や胆のうなどに主たる原因が認められることがありますので、消化器内科や急を要する際には救急科を受診することを推奨します。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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