重大な病気の可能性も?眠くないのにあくびが出る「生あくび」なぜ?注意したいあくびとは|医師が解説

 重大な病気の可能性も?眠くないのにあくびが出る「生あくび」なぜ?注意したいあくびとは|医師が解説
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知っているようで知らない、体のこと。一見当たり前のように起きている生理現象に、実は重大な意味があるかも?医師が解説します。

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あくびは眠い時に生じることが多いですが、実際はまだそのメカニズムは解明されておらず謎の多い生理現象です。眠くない時に生じるあくびは生あくびとも呼ばれ、体の不調のサインである可能性もあります。そこで、生あくびの原因と隠れた病気について解説していきます。

生あくびに関する3つの説

生あくびに関しては現在3つの説が提唱されています。

①脳内の酸素不足

1つ目は、何らかの原因で脳が酸素不足に陥った時に、それは改善させる目的であくびが出るという説です。これはあくびをすることで一度に大量の空気を吸い込み、血中の二酸化酸素濃度を下げ、酸素濃度を高める作用があるとされています。

②脳の温度調節

2つ目は、脳が高温になりすぎると機能障害が起こることがあり、外気を取り込んで脳の温度を下げ、脳を保護しているという説です。

③脳のリフレッシュ

3つ目はあくびをすることで脳に覚醒を促しているという説です。あくびをするときは大きく口を開けることが多いと思いますが、この動作により頸動脈や経静脈が圧迫されて脳がリフレッシュされることがあるようです。

ほとんどの場合あくびが多く出ても問題になることはありません。しかし、中には病気や体の不調を示すサインとしてあくびが出ることがあり、注意が必要なことがあります。気を付けるべき病気についてみていきましょう。

病気や体の不調を示すサインとしての生あくび、気をつけるべき病気は

脳梗塞

あくびが増えることがある最も怖い病気が脳梗塞です。脳梗塞とは脳に酸素を送る血管が詰まってしまうことで、脳が低酸素の状態に陥り、ダメージを受けてしまう病態です。気を付けるべき症状としては、

・手足に力が入らない
・呂律が回らず喋りにくい
・ふらつく
・片側の顔が歪んでいる

これらの症状がみられた際は脳梗塞の可能性がありますので、すぐ医療機関を受診するようにしましょう。

貧血、低血圧、低血糖

脳は血流によって酸素や栄養といった機能維持に必要な物質が供給されています。貧血や低血圧といった状況にあると、十分な血流が供給できなくなりあくびの原因となることがあります。

貧血
十分な血流が供給できなくなりあくびの原因になることも。photo by Adobe Stock

睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群

充分な睡眠時間を確保しているつもりでも、実は十分な休息が取れていないこともあります。もしくは眠ろうとしてもなかなか寝付けなかったり、すぐに目が覚めてしまったりと睡眠の質が低いこともあくびの原因となります。睡眠の質を下げてしまうもう一つの原因が睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に呼吸が止まることで、体中の酸素濃度が低下してしまうため休息が得られにくい状態となります。睡眠中に大きないびきをかいていたり、呼吸が止まっている場合はこの病気の可能性がありますので家族に確認してみましょう。肥満や睡眠前に飲酒する方に多いと言われていますので、気になる方は医療機関に相談してみてもいいでしょう。

睡眠不足
睡眠の質の見直しを。 photo by Adobe Stock

あくびが多い場合の予防法

あくびは1日7~8回程度と言われています。あまりに頻度が多い場合は上に挙げたような睡眠不足や、生活習慣の乱れであくびが出ている場合も少なくありません。十分な睡眠や食事、適度な運動を取り入れることであくびは改善できることがあります。

まとめ

あくびは誰もが経験する生理現象ですが、その背景には睡眠不足だけでなく怖い病気が隠れていることも珍しくありません。あくびに伴って、明らかに普段と異なる体の不調を感じられた際は、医療機関の受診を検討することも必要です。

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Dr.しろくま

Dr.しろくま

循環器内科医。医学部卒業後、関東の総合病院で初期研修を行い、医師3年目から高度医療機関で循環器内科医として勤務。臨床業務だけでなく、国内外での学会発表や多数の英語論文執筆など、幅広く医療活動を行っている。



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