「γ-GTPの数値が高い」と言われたけど…γ-GTPって何？医師が解説【意外と知らない検査数値】

γ-GTPとは

γ-GTPは、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(正式英語名称：γ-Glutamyl Trans Peptidase)の略であり、体内においてアミノ酸を合成するのに必要不可欠な酵素として知られており、主に胆道から分泌されて肝臓の解毒作用に関連しています。

γ-GTPは、人間ドックや健康診断などの場面で肝臓の機能を評価する場合に検査する血液中の物質であり、これらは肝臓が障害をうけて肝細胞が破壊されると、血液中に大量に漏れ出る特性があるために肝機能や肝障害の程度を調査する際に活用されています。

通常であれば、肝臓から胆管を介して老廃物や不要物は十二指腸のほうに排泄されますが、胆道が胆石やがんなどの病変によって狭窄、あるいは閉塞すると、このγ-GTPの血中濃度の数値が上昇します。

したがって、血液中のγ-GTP項目を調べることによって、アルコールが関連する肝障害、あるいは胆道の閉塞、肝硬変などの疾患を早期的に発見することが簡便に可能となっています。

一般的に、γ-GTPの検査基準値は、男性が50IU/l以下、女性が30IU/l以下と定められています。

γ-GTPが高いとどうなる？

ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼの略称であるγ-GTPは、主に肝臓に含まれている解毒作用に関連している酵素であり、肝臓や胆管に病変があって正常細胞が死滅した際に血液中で上昇するマーカーとして捉えられています。

健康診断などを受けてこのγ-GTPの数値が高いと指摘された場合には、アルコールの過剰摂取に伴う肝障害を始めとして肝臓や胆管の領域に何かしらかの異常が引き起こされている懸念があります。また、まったく飲酒をしていない人でも漢方やサプリメントなどを含む薬の副作用による肝障害、あるいは脂肪肝や肝硬変などの病気によってγ-GTPの数値が上昇することが考えられます。

γ-GTPの数値だけが基準値を超えて上昇している際には、肝障害だけでなく膵炎や膵臓がんなど膵臓に関連する病変が存在する可能性があります。

さらに、γ-GTPの数値のみならず、GOT（正式名称：Glutamic Oxaloacetic Transaminase：グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ）やGPT（正式名称：Glutamic Pyruvic Transaminase：グルタミン酸ピルビン酸転移酵素）も高値を示す際には、アルコール性肝障害以外の肝疾患を除外する必要があります。

昨今では、アルコールとは関係なく、栄養過剰や肥満がベースにあってγGTPやGPTなどの数値が上昇する、非アルコール性脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎と呼ばれる病気も散見されて発症数が増加してきており、医療業界でも大いに注目されています。

まとめ

これまで、γ-GTPとは何なのか、その数値が高いとどうなるかなどを中心に解説してきました。

γ-GTPはたんぱく質を分解する酵素のひとつであり、普段から飲酒量が多い場合や胆道に存在する病変の存在などによってその数値が上昇することが知られており、一般的に肝機能の指標となるマーカーとして認識されています。

γ-GTPの上昇を人間ドックや健康診断などの場面で認められた際には、アルコールを過剰に摂取していないか、肥満ではないか、服用している薬剤はないかなどを改めて振り返ってみましょう。

γ-GTPが血液中で上昇している場合には、重大な肝臓疾患や胆道病変が隠れている可能性が考えられますので、心配であれば消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。