手洗い・消毒…過度な衛生に警鐘!小児科医が解説するアレルギーリスクと予防法とは

 手洗い・消毒…過度な衛生に警鐘!小児科医が解説するアレルギーリスクと予防法とは
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新型コロナウイルスの流行が、感染以外にもリスクをはらむことをご存知ですか。米国の科学誌に発表された論文では「不安障害と不安神経症、抑うつ、不眠、PTSDの増加」、英国からの報告では「これから脂肪肝・肝疾患が増える」ことが予想されています。さらに別の疾患のリスクについて研究者の間で注目されています。小児科医の伊藤明子先生に解説していただきました。

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長引く感染対策の日々…過度な衛生でアレルギーになりやすくなる?

手洗い・うがい・アルコール消毒・ソーシャルディスタンス…今や日常となった感染対策ですが、長期的に見ると、あるリスクが懸念されています。

赤坂ファミリークリニック院長、伊藤明子先生は以下のように話します。
「今後、アレルギーリスクが上がるのではないかと予想されています。特にお子さんは、大人よりも注意が必要です。その理由は、感染対策として行ってきた手指の消毒やソーシャルディスタンスによって、菌やウイルスをできるだけ排除しようとした生活が続くと、免疫への影響によりアレルギーのリスクが上がる可能性があり、大人以上に子供の腸内細菌は成長期に影響を受けやすいからです」(伊藤先生)

感染対策がアレルギーを引き起こすとは、一体どういうことなのでしょうか。

「先行研究で、都会よりも田園の子供の方がアレルギーが少ない、ペットがいない家庭よりもペット(毛が生えている動物)を飼っている家庭の方がアレルギーが少ないということが示されています。様々な菌やウイルスと交わることと私たちの免疫が関係しているようです。これらの基となる考え方に、『衛生仮説』とよばれる研究があります」(伊藤先生)

※衛生仮説とは
1898年のイギリスの研究で、兄弟が多い方がアレルギーが少ないことを報告し、衛生環境が向上しているほどアレルギーになりやすいのではないか、と考察した研究。
その後の諸研究から私たちの免疫細胞とアレルギーの関わりが少しずつ理解が進んできており、免疫細胞は、①細菌やウイルスなど感染に関連して働く細胞と②アレルギーに関係している細胞に分化する。①②はシーソーのように拮抗していて、細菌やウイルスが少ない衛生的な環境にいると①が抑制され、②が優位になることでアレルギー体質になる働きがあることなどがわかってきています。

発酵性食物繊維の摂取で短鎖脂肪酸を産生する菌を増やす

とはいえ、新型コロナウイルスの流行が続く限り感染対策を止めることはできません。感染対策を続けながらアレルギーリスクを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。

腸内細菌の多様性はアレルギー予防に重要な条件の一つです。腸内細菌の多様性が低いほど免疫バランスが悪いという報告が複数あります。腸内には、乳酸菌、ビフィズス菌、その他酪酸を産生する酪酸菌など、1000種類の細菌が存在するといわれています。その中でも特に注目されているのが、酪酸菌など短鎖脂肪酸を産生する菌です」(伊藤先生)

短鎖脂肪酸には以下のような働きがあることがわかっています。

①腸内環境を整える
②炎症を抑える
③脂肪の合成を下げる
④悪玉菌が増えるのを抑える
⑤種々の体に良い働き

では、短鎖脂肪酸を増やすにはどうしたら良いのでしょうか。伊藤先生は「発酵性食物繊維」の摂取が重要だと話します。

「腸内で発酵しやすい食物繊維を『発酵性食物繊維』といいます。これを多く含む食品を摂取することで腸内細菌の多様性が増し、先ほどの酪酸菌を含む短鎖脂肪酸が増えることがわかっています。」(伊藤先生)

発酵性食物繊維が含まれる食品

発酵性食物繊維には、どのような種類があるのでしょうか。含有する食品とあわせて、発酵場所ごとにまとめました。

腸の前部で発酵される食物繊維

・β-グルカン…押麦・大麦
ペクチン…ブロッコリー・ニンジン・キウイフルーツ
オリゴフルクトース…ゆで大豆・蒸し大豆・きな粉・調製豆乳
イヌリン…ごぼう・チコリ・玉ねぎ

腸の後部で発酵される食物繊維

アラビノキシラン…小麦全粒粉・小麦ブランシリアル(小麦ふすま)・玄米ご飯(炊いたもの)・発芽玄米

※発酵性食物繊維と発酵食品の違いとは
発酵性食物繊維は、キムチや納豆などの発酵食品とは異なる。発酵とは微生物の酵素で有機物を分解変化させていくこと。発酵性食物繊維を食べることは、発酵性食物繊維を含む食品を食べて腸の中で発酵が起きること。

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発酵性食物繊維が含まれる食品
発酵性食物繊維が含まれる食品
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Text by Satomi Mizuno

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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