クレアチニンの数値が高いと言われたけど…「クレアチニンって何?」医師が解説する【検査数値】

 クレアチニンの数値が高いと言われたけど…「クレアチニンって何?」医師が解説する【検査数値】
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2022-12-13

健康診断や人間ドックを受けて、検査結果が届いた!けど…「γ-GTPって結局何?」「アルブミンってなんのこと?」など、わからない用語がたくさん。知っているようで実はよく知らない用語を、医師が解説します!今回は「クレアチニン」について。

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クレアチニン(Cr)とは

クレアチニン(英語略称:Cr)とは、筋肉が運動するための重要なエネルギー源であるクレアチンリン酸という物質が代謝された後にできる老廃物のことであり、身体にとって不要物のひとつとして認識されています。

血液に含まれるクレアチニンは通常であれば腎臓で濾過されて尿として排出されるため、血液中のクレアチニンの濃度や数値が上昇しているということは腎臓の機能が低下していることを反映しています。

健康診断などの場面では、血液検査を実施してクレアチニン値が基準値や正常値よりも高いかどうかをチェックして、万が一正常よりも高い値を示す場合には、腎臓の働きが悪くなっている懸念を抱く必要があります。

一般的な血中クレアチニンの基準値は、男性で0.65~1.09 mg/dL、女性で0.46~0.82 mg/dLと規定されています。

「クレアチニン(Cr)が異常」とはどういう状態なのか?

クレアチニンは尿以外では体外に排出されない物質であるため、血液中のクレアチニン値が万が一上昇している場合には、腎機能が悪化して、尿が産生できなくなっている状態を意味している可能性があります。

血液検査の結果などを解釈する際には、一般的に若い男性など筋肉量が多い場合にはクレアチニン値は相対的に高くなる、あるいは女性や高齢者など筋肉量が少ない場合にはクレアチニン値は低値を示す傾向があるということを認識しておきましょう。

クレアチニンの数値は筋肉量に左右されやすい特徴があるために男女差が大きく、腎機能が半分程度まで低下しないと高値を示さない点もあることから、最近ではより腎機能を精度高く評価できる推算糸球体濾過量(eGFR)の検査を追加して実践することもあります。

そのうえで、採血結果にてクレアチニンの数値が高い場合には、急性腎臓病や慢性腎不全など腎臓に何らかの異常が認められて、腎臓に血液が流れにくくなって、老廃物が十分に排泄できない状態に陥っている可能性が想定されます。

クレアチニンの数値が軽度のみ上昇している際には、ほとんど自覚する症状はありませんが、血中クレアチニン値が2~3mg/dl以上になると浮腫、貧血、倦怠感などの症状が出現することも見受けられます。

一度悪くなった腎機能は一般的に元通り改善しないので、クレアチニンをさらに上昇させないように食事療法や運動療法、あるいは腎臓を保護する作用を有する薬物治療を実践することが重要です。

実際の治療においては、普段の食生活の中で塩分を中心に適切な設定量を目標にして食習慣を送るとともに、有酸素運動や筋力を鍛える運動を並行して前向きに実施するように心がけましょう。

まとめ

これまで、クレアチニン(Cr)とは何なのか、その数値が異常とはどういう状態なのかなどを中心に解説してきました。

クレアチニンは、筋肉を動かすためのエネルギーを消費した後に作成される老廃物のひとつであり、尿として体外に出ていきますが、腎機能が悪化するとクレアチニンが体内に溜まることで血中濃度が上昇することが知られています。

したがって、健康診断などでクレアチニンの血液中の濃度を測定して腎臓が現在どのくらいの能力があるかをある程度推測して評価することが可能となります。

このクレアチニンの数値が高くなる原因としては、生活習慣病や遺伝性疾患が関連している可能性もありますし、筋肉量などの影響を受けて腎臓には明確な異常がない場合も想定されます。

いずれにしても、クレアチニンの数値が高いと指摘されたら、なるべく早急に腎臓内科など専門医療機関を受診することをお勧めします。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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