冬だからといって油断できない?冬こそ注意したい食中毒とは|医師が解説

 冬だからといって油断できない?冬こそ注意したい食中毒とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-01-08

食中毒といえば夏に多く起こるものと思いがちですが、意外と冬も食中毒に注意が必要な季節です。医師が詳しく解説します。

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冬に多い食中毒の例

食中毒は、食事が主な原因となって下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす病気であり、その原因によって、「細菌性」「ウイルス性」「自然毒」「化学性」に分類されています。

夏場に多い食中毒として、細菌は高温多湿を好んで増殖することからカンピロバクター、腸管出血性大腸菌など細菌性食中毒が代表的ですが、冬に多い食中毒としてノロウイルス、ロタウイルスなどによるウイルス性食中毒が知られています。

年間を通じて、自然毒食中毒は、フグ毒、毒キノコ、トリカブトなどによって発症すると考えられますし、化学性食中毒は洗剤、農薬、有機水銀などの化学性物質を摂取することに伴って腹部症状を呈すると言われています。

食中毒に伴う症状としては、下痢や嘔吐に合併して脱水症状を引き起こすことが知られており、予備能力が弱い高齢者や子どもでは症状が重症化しやすく、特に格段の注意をすることが重要となります。

特に、冬場は感染力がとても強いノロウイルスによる食中毒に注意する必要があり、低温状況や乾燥した環境で長生きすることができるウイルスは、寒い冬のシーズンに繁殖しやすいと考えられます。

ノロウイルスによる食中毒は、感染規模が拡大しやすく、年間の食中毒患者数のおよそ半分以上を占めていると伝えられています。

ノロウイルスによって引き起こされる食中毒は、毎年11月から3月にかけて寒い時期にノロウイルスに汚染された食品を摂取してから1~2日後に、激しい下痢や嘔吐、腹痛などの症状が出現し、特に幼児や免疫力低下している場合には、症状が重症化することもあります。

これまで述べたように、冬の食中毒の原因は、ノロウイルスにおいて圧倒的に件数が多いのですが、生肉や加熱不十分な肉料理などを摂取することで食中毒になるケースもありますし、子どもの場合にはロタウイルスによる食中毒にも一定の注意を払う必要があります。

それ以外にも、生肉を摂取して腸管出血性大腸菌に感染する、鶏や卵を摂取してサルモネラ菌に感染することに伴って下痢や嘔吐症状が出現する、あるいは煮込み料理などを食べてウェルシュ菌によって食中毒症状が引き起こされることも見受けられます。

冬の食中毒に注意するポイント

もし、冬場に食中毒を発症したら、自分で勝手に自己判断して薬を服用するのは控えて、出来るだけ医療機関で診察を受けるようにしましょう。

また、下痢や嘔吐症状がひどい場合には、脱水状態に陥ることが想定されますので、しっかりと水分を確保することを認識して、万が一にも水分が摂取できないときや、脱水症状がひどい際には専門医療機関を受診して点滴してもらいましょう。

冬場でも食中毒を予防する為に、日常的に使用する調理器具やキッチンは常に清潔に保ち、これらの器具を洗浄してから煮沸消毒をする、あるいは塩素消毒液を使用することが有効的と考えられます。

また、基本的には食品をしっかりと深部まで火を通して食べるように努めて、特に生食用以外の二枚貝を摂取するときは、食品の内部まで十分に火が通るまで加熱(85~90℃で90秒間以上)してから食べるようにしましょう。

食中毒に伴う感染を拡大させないために、体調が悪い場合には調理しない、食中毒になった人の汚物に対して手袋やマスクを着用して適切に処理する、嘔吐物など処理後はしっかりと換気を実施する、汚れた床は塩素消毒液で消毒して処理後には必ず手洗いをしましょう。

まとめ

これまで、冬に多い食中毒の例、冬の食中毒に注意するポイントなどを中心に解説してきました。

冬場でも起こり得る食中毒の原因となる細菌やウイルスは、原則として加熱処理をすることで、死滅させることができるために、しっかりと火が通ったものを摂取することが重要なポイントとなります。

特に、冬のシーズンには、年末年始など長い休暇に入る場合も多く、忘年会などの機会が多くなり生活リズムが崩れやすく免疫力が低下しやすいと考えられますので、食中毒を引き起こさないように通常以上に手洗いなど感染対策を徹底しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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