男性更年期をチェック!困ったときの受診先は?有効な対策は?【男性更年期の第一人者に聞く】
男性更年期障害(LOH症候群)は、心と体にどんな症状が現れるのでしょうか? チェックリストで当てはまったら、どうしたらいいのか? 女性もテストステロンが高いほうが更年期症状も軽く、長生き!というデータもあります。予防法や治療法について、男性更年期の第一人者である堀江重郎先生(順天堂大学特任教授)に聞きました。
男性更年期をチェック!
男性更年期の症状には、どんなものがあるのでしょうか? どの程度だったら心配すべきでしょうか?
「医療現場で使用する男性更年期症状の重症度チェックに「AMSスコア(Aging Male Symptom score)」があります。男性更年期の症状を評価するための国際的に認められた自己評価スコアで、更年期障害の程度を評価します。簡単なものではADAMスコアがあります。参考にしてみてください」(堀江重郎先生)
男性更年期障害チェックリスト
3つ以上の項目に当てはまったら、男性更年期障害の可能性が考えられます。病院を受診する目安は、日常生活に困っているかどうかです。
□ 以前より元気がない
□ 体力、持続力が低下した
□ 毎日の楽しみが減った
□ 物悲しい気持ちになる、または怒りっぽい
□ 身長が低くなった
□ 性欲が低下した
□ 勃起力が弱くなった
□ 最近運動能力が低下したように感じる
□ 夕食後、うたた寝をすることがある
□ 仕事がうまくいかない、仕事の能力に低下を感じる
病院での治療法は?
チェックリストにあるような心と体の不調を感じ、日常生活に支障があるようなら、医療機関の泌尿器科やメンズヘルス外来を受診します。近くにない場合は、内科や精神科を受診して、紹介してもらってもよいでしょう。
「泌尿器科やメンズヘルス外来では、医師による質問を中心とした問診で状態を確認し、男性更年期症状の重症度チェック「AMSスコア」や血液検査でテストステロン値を測るなどして、男性更年期障害(LOH症候群)かどうかを診断します。
症状が軽い人は、趣味や運動、ストレスを減らすなど生活習慣の改善や、漢方薬の服用で良くなる人もいます。重症度が高い人には、テストステロン補充療法で注射などを行うこともあります。テストステロン補充療法は、更年期症状、フレイル、メタボ、うつ病の人にも効果があります。しかし、あくまで対処療法で、根本的な治療にはならないのです。
生活習慣の見直しで、自分で改善できる方法は有効なので、まずは試してみてください。社会的つながりやコミュニティへの参加などで半分以上は治ります。日常生活でできる対策をお伝えします」(堀江先生)
【男性更年期5つの対策】
① 社会活動やコミュニティの中で自分を表現する
新しい仲間との出会い(コミュニティの形成)は、テストステロンの低下を防ぎます。更年期とは本来、新しく生まれ変わる、人生の転換期を意味する言葉です。新しい場で自己表現することで、テストステロンは上がります。
② 仲間と目標に挑戦する
仲間との活動で、挑戦することでテストステロンは上がります。昔は、会社というコミュニティがあって、ゴルフや飲み会などが盛んでした。今は、リモート勤務が増え、会社の仲間との交流が減っています。仕事以外の趣味などの仲間をつくって一緒に何かをすることが大切です。
③ 競争や成果を認められる
趣味のスポーツの試合や習い事の発表会などで成果を認められることで、テストステロンは増えていきます。承認されて、褒められて、頑張る機会をつくることが大事です。買い物に行って、購入したものをパートナーに褒められるのも嬉しいことです。一緒にショッピングするのもいいですね。
④ 社会貢献と公平さを大切にする
社会貢献、ボランティアで、社会に役立っている自分を認識すると、テストステロンは上がります。テストステロンを下げないためには、世間に嘘をつかない、公正さを持ち続けることが大切です。
⑤ 不安な記憶に蓋をする
コロナ禍には、男性更年期症状の受診が約3倍になりました。テストステロンが低下すると、ネガティブな記憶が表に出ます。通常は、テストステロンが扁桃体(悲しみ怒り不安)に“蓋”をしてくれているため、前向きにいられるのです。テストステロンは、ストレスに弱いホルモンです。
日常生活でテストステロンを高める方法!
「テストステロンは、運動、食事や睡眠など、日常生活のちょっとした工夫で増やすことが可能です」(堀江先生)
男性だけでなく、女性もエストロゲンが少なくなる更年期以降に、元気でイキイキとした人生を送るために、テストステロンの分泌を高めましょう。
ストレスからの解放
ストレスこそ、テストステロンの最大の敵です。テストステロンを低下させないためには、リラックスしてストレス管理を心がけ、ため込まないことが大切です。自律神経のバランスを整え、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく機能していれば、テストステロンの低下も食い止められます。ストレス過多のときは、交感神経の働きが活発化します。神経をすり減らし、疲れ果ててしまっては、テストステロンの分泌も減る一方です。リラックスして副交感神経を優位にできる腹式呼吸、マインドフルネス(瞑想)、ヨガ、座禅、温泉、鍼灸などがおすすめです。
姿勢でテストステロンを上げる
テストステロンの分泌は、姿勢とも関係しています。背中を丸めて過ごしているとテストステロンが下がったという研究もあります。逆に、肩甲骨を寄せて、胸を張るとテストステロンが上がります。下を向かず、上を向いて、姿勢よく過ごすことも大切です。
筋トレと有酸素運動の組み合わせ
筋トレには、テストステロン、成長ホルモン、エストロゲンの分泌を促す作用があります。ポイントは大きな筋肉を動かすこと。スクワットや腕立て伏せなどの筋トレをできれば週に2~3回行えたら理想的です。ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせられたらさらに良いと思います。少し汗ばむくらいでも、脳内にテストステロンが合成されて、新たな細胞を増やします。
良質の睡眠でテストステロンを増やす
ストレスを解消し、自律神経を安定させることがテストステロンを増やします。気力が低下しているときには、早く寝るようにしましょう。朝起きたときに「よく寝た!」という実感をもてることが大切です。朝、気持ちよく目覚めたらテストステロンのチャージ完了のサインです。
誰といつ何を食べたかが大事
テストステロンは、集団の中にいることで上がりやすい傾向にあります。テストステロンアップには、社会で成功したことで得られる自己満足感が必要です。また、家族や仲間の期待に応え、認めてもらえた、喜んでもらえたという充足感も大事。食事をするときに、何を食べるかはもちろんですが、どんなシチュエーションで、誰と、どう食べるかを意識する“選食”をお勧めします。テストステロンを増やすために、バーベキューでは焼く人に、鍋なら鍋奉行になってその場を仕切りましょう。
テストステロンを増やす栄養素
ビタミンDと亜鉛が不足するとテストステロンも低下します。ビタミンDは、サケに最も多く含まれていて、サバなどの青魚にも多く含まれます。日本人はビタミンD不足と言われていますので積極的に摂りましょう。また、亜鉛欠乏症の成人男性は、約半数と言われています。亜鉛欠乏は、テストステロン低下、男性不妊、ED、免疫力低下につながります。亜鉛はカキなどの貝に多く含まれています。
「男女ともに、テストステロンが高い人のほうが長生きというデータがあります。テストステロンは、世界的にも下がっていると言われていますし、日本人はそもそもテストステロンが少なめです。女性の中でもテストステロン高いとPMSや更年期症状が出にくいといわれます。男性も女性もテストステロンを上げる生活習慣を心がけて、健康で生き生きとした毎日を送ってください」(堀江先生)
お話を伺ったのは・・・堀江重郎(ほりえしげお) 先生
順天堂大学特任教授。医学博士。男性更年期障害やEDなど男性に特化した医療「メンズヘルス外来」を日本で初めて立ち上げるなど日本の泌尿器科を牽引。『LOH症候群』(角川新書)、『若返りホルモン「テストステロン」を高める食生活~人気料理人の最強レシピ付き』(さくら舎・共著)ほか著書多数。一般社団法人更年期健康経営協会代表理事。一般社団法人日本メンズヘルス医学会理事長。NPO法人日本抗加齢協会理事長。堀江先生が代表を務める「Japan Longevity Consortium(JLC)」が健康寿命を大幅に延ばすための革新的な解決策を求める、世界的な科学技術コンペティション「XPRIZE Healthspan」で世界20チームに選出され決勝に進出。
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