LOH症候群(男性更年期障害)の症状と原因【日本初メンズヘルス外来立ち上げの医師が解説!】

LOH症候群(男性更年期障害)の症状と原因【日本初メンズヘルス外来立ち上げの医師が解説!】
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増田美加
増田美加
2026-09-12

男性更年期障害(LOH症候群)に悩む人が増え、パートナーのことを心配する人もいます。女性の更年期障害とは、原因もかかりやすいタイプも異なるのが男性更年期障害です。心と体にどんな症状が現れるのでしょうか?男性更年期の第一人者である堀江重郎先生(順天堂大学特任教授)に聞きました。

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男性ホルモンは、女性にも分泌しています

40~60歳の男性の約40%に、なんらかの更年期症状があることがわかってきています(*1)。男性の更年期障害は、女性の更年期障害と異なることもわかっています。

*1 厚生労働省調査(2022年3月) AMSスコア(男性の更年期症状の状況を示す一つの指標)による

「男性ホルモンのテストステロンは、男性だけのホルモンではありません。意外かもしれませんが、女性の体内でもテストステロンは分泌されています。男性ホルモンと女性ホルモンは、男性も女性も持っています」と堀江重郎先生。

ヒトの基本形は女性です。男性は胎児のときにテストステロンを分泌して男の子になる、そして思春期にテストステロンを多く分泌して生殖能力を備えるようになります。実は女性の体の中でもテストステロンは女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンの約10倍あります。ですのでテストステロンは男性のみならず女性でもしっかり働いています。

ホルモン
image/Adobe Stock

性ホルモンはそれぞれに大切な役割があり、人間の心と体のさまざまな機能を担っています。テストステロンは、元気の源です。筋力や精神的な踏ん張る力を支え、ストレスに強い状態を保つホルモンで逆に、値が低いと気力が落ちることがあります。男性だけでなく女性の更年期以降の健康にも関係しているのです。

「テストステロンは男性か女性かにかかわらず、人が健康で活力あふれる生活を送るために不可欠です。女性は、閉経前までは、女性ホルモンであるエストロゲンが周期的に変化するのでからだへの影響が大きく、その陰に隠れてテストステロンの存在が目立たなかっただけです。更年期になるとエストロゲンが急激に減少し、閉経後はほぼゼロになります。

一方で、テストステロンは男女ともに加齢によりゆっくり低下していきますので、閉経後の女性でもテストステロンの値はあまり変わりません。そのため、閉経後の女性は女性ホルモンのエストロゲンより、男性ホルモンのテストステロンの働きが目立つようになっていくのです」と堀江先生。

男性にも女性にも大切なテストステロン。テストステロンを制するものは、人生100年時代の健康長寿を制すと言っても過言ではありません。

テストステロンは前向きホルモン

テストステロンは、男性では精巣で作られ、女性ではおもに卵巣から分泌します。閉経すると、女性は主に脂肪からテストステロンがつくられます。

テストステロンは、社会的ホルモン、前向きホルモンと呼ばれることもあります。性機能を高め、筋力や骨を強くするなどの作用があり、困難な仕事に挑む意欲を強めたり、集中力や記憶力、気力、やる気を高めたりする働きもあります。

男性の更年期障害(LOH症候群)は、テストステロンの低下が関係しています。男性のテストステロンの分泌量は本来は20~30歳でピークとなり、その後はほぼ一定です。しかしストレスや社会環境、あるいは病気により、テストステロンは減ることがあります。なかには30代でも低下する人もいます。男性更年期の症状の有無や程度の重さは、個人差が非常に大きいのです。

テストステロン
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一方、エストロゲンの分泌は、女性の遺伝子に組み込まれていて、閉経すると全員が低下します。しかし男性のテストステロンは、そうではありません。

「テストステロン低下の要因は、加齢もありますが、仕事や人間関係などの社会的ストレスが大きく関係します。また、肥満やメタボリックシンドロームとも関係が深いです。筋力が減って内臓脂肪が増える、つまり太るとテストステロンは低下します。するとさらに筋肉が減り、内臓脂肪が増えるという悪循環になるのです。健康診断でコレステロール値や血糖値が高くなっている人も要注意です」(堀江先生)

男性更年期の症状はうつ、イライラ、不眠

パートナーのうつ状態が続き、「もしかしたら男性更年期?」と不安に思う女性たちが増えています。

「男性のテストステロンの減少は、女性とは異なり、年齢よりも、社会的環境によって起こされます。

たとえば、アストリートのように若いときに活躍して、引退が早い職業の場合、引退後社会から必要とされない、社会貢献できない自分に思い悩み、若くして男性更年期障害が発症するケースもあります。

また、職場の変化、転職、定年退職後の男性も更年期障害を発症しやすく、テストステロンが社会的ホルモンと言われるのは、そのためです。

男性更年期
photo/Adobe Stock

テストステロンの分泌が減ることによる男性の典型的な症状は、うつっぽさ(抑うつ、不安、落ち込み)ですが、男性更年期の症状は多岐にわたり、体と心の両面に及びます。

症状は、ほかにも集中力低下、意欲低下、疲労感、倦怠感、認知機能の衰え、記憶力低下、動脈硬化、筋力低下、筋肉痛、関節痛、ほてり・発汗、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、頻尿、不眠、男性性機能不全(ED)、起床時の勃起の消失などがあります。

女性の更年期障害は、閉経前後の約10年間で終わることが多く一過性ですが、男性の場合は出口がなく深刻です」(堀江先生)

次回は、男性更年期障害をチェックする方法と、女性にとってもメリットがあるテストステロンを上げる方法をお伝えします。

お話を伺ったのは・・・堀江重郎(ほりえしげお) 先生

順天堂大学特任教授。医学博士。男性更年期障害やEDなど男性に特化した医療「メンズヘルス外来」を日本で初めて立ち上げるなど日本の泌尿器科を牽引。『LOH症候群』(角川新書)、『若返りホルモン「テストステロン」を高める食生活~人気料理人の最強レシピ付き』(さくら舎・共著)ほか著書多数。一般社団法人更年期健康経営協会代表理事。一般社団法人日本メンズヘルス医学会理事長。NPO法人日本抗加齢協会理事長。堀江先生が代表を務める「Japan Longevity Consortium(JLC)」が健康寿命を大幅に延ばすための革新的な解決策を求める、世界的な科学技術コンペティション「XPRIZE Healthspan」で世界20チームに選出され決勝に進出。

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