更年期になって「人に会うと疲れる」ようになった。それは性格が変わったから?「疲れた」の先にあるもの
更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
「最近、人と会うとすごく疲れるんです」
更年期の女性のご相談にのっていると、こうしたお話を聞くことがあります。以前なら友人とランチをしたり、仕事仲間と出かけたりすることが楽しみだったのに、最近は予定が入ると少し億劫になる。実際に会えば普通に話せるし、それなりに楽しく過ごしている。でも家に帰ってくると、どっと疲れる。
そのうち、「私、人付き合いが嫌いになったのかな」「昔はもっと人に会うのが好きだったのに」「性格が変わってしまったのかな」と心配される方もいます。
もちろん、更年期になって体調が変化し、単純に以前より疲れやすくなっていることもあります。でも私は、「人と会うと疲れるようになった」という変化が出てきたとき、それを悪い変化だと決めつけなくてもいいのではないかと思っています。
もしかすると今は、自分の人間関係を一度整理してみる時期に来ているのかもしれないからです。
人に会えば、ある程度は疲れるもの
まず、「人に会って疲れた」ということだけで、その人との関係を判断する必要はありません。
外出するためには準備も必要です。待ち合わせ場所まで移動し、人と話し、相手の話を聞く。普段一人で過ごしている時間とは違う刺激がたくさん入ってきます。
特に体調があまり良くない時期なら、友人と数時間ランチをしただけでも、帰宅後に疲れを感じることはあるでしょう。
だから、「疲れた=会わないほうがいい人」ではありません。
私がむしろ一つの目安にしてほしいと思っているのが、「疲れたけれど、会ってよかったと思えるか」ということです。
たとえば、久しぶりに友人と会った日。帰宅したら疲れていて、夕食を作るのも少し面倒だった。でも、「今日は楽しかったな」「いろいろ話せてよかった」「また会いたいな」と思える。そんな疲れもあります。
一方で、同じように疲れて帰ってきても、「しばらく会わなくてもいいかな」「なんだかずっと気を遣っていたな」「どうして毎回この集まりに行っているんだろう」と思うこともあります。
同じ「疲れた」でも、少し違います。

「疲れた」の先にある気持ちを見てみる
人間関係を考えるとき、「この人と会うと疲れるか」だけでなく、「疲れたあとに、私はどう感じているか」まで見てみてください。これは意外とわかりやすい目安になります。
身体は疲れた。でも、気持ちは満たされている。そんな人もいるでしょう。反対に、身体も疲れたし、気持ちまでぐったりしている。そんな相手もいるかもしれません。
そこで一度、自分に聞いてみます。
「無理をしてでも、この人には会いたいだろうか?」
もちろん、本当に体調が悪いときに無理をして会いに行きましょう、という意味ではありません。そうではなく、自分の限られた時間や体力を使ってでも、その人との時間を持ちたいと思えるか、ということです。
40代、50代になると、若い頃と同じようにすべての人間関係に時間を使うことが難しくなってきます。仕事が忙しい人もいるでしょう。親のこと、子どものことなど、家族に関する用事が増えることもあります。
そして更年期に入り、これまでと同じようには体力が続かないと感じる方もいます。そうなると、自然と「誰と時間を過ごすのか」が大切になってきます。
更年期は「人間関係の断捨離」の時期なのかもしれない
私は、更年期はある意味で「人間関係の断捨離」をする時期でもあるのではないかと思っています。
ただし、ここでいう断捨離とは、「合わない人を切りましょう」「嫌な人とは縁を切りましょう」ということではありません。もっと緩やかなものです。
若い頃から続いている友人関係。子どもを通して知り合った人たち。仕事でつながった人。近所の人。趣味を通して知り合った人。長く生きていれば、それだけ人間関係も増えていきます。
その中には、今でも大切にしたい関係もあれば、「昔はよく会っていたけれど、今は少し違うかもしれない」という関係も出てきます。
人間関係は、一度できたら同じ距離で付き合い続けなければならないものではありません。自分も変わりますし、相手も変わります。生活環境も変わります。今まで心地よかった距離が、今の自分には少し近すぎるということもあるのです。
会うか、縁を切るかの二択にしなくていい
人間関係に疲れている方のお話を聞いていると、「付き合い続ける」「縁を切る」という二択で考えてしまうことがあります。
でも、その間にはたくさんの選択肢があります。
たとえば、毎月会っていた友人なら、2〜3か月に一度にしてみる。毎回参加していた集まりなら、今回は参加して、次回は休んでみる。LINEが来たらすぐ返信していたなら、自分に余裕があるときに返す。
長時間一緒にいると疲れる相手なら、丸一日ではなくランチだけにする。グループで会うと疲れるなら、一対一で会ってみる。
そうやって、距離や頻度を少しずつ変えてみてもいいと思います。
「嫌いではない。でも、今までと同じ頻度ではちょっとしんどい」という関係があってもいいのです。
人との距離を少し変えることは、その人を否定することではありません。今の自分に合った付き合い方を探しているだけです。
「昔からの友人だから」は理由になる?
長く続いている人間関係ほど、距離を変えることが難しい場合があります。
「学生時代からの友達だから」「もう20年以上の付き合いだから」「いつもこのメンバーで集まってきたから」
そう思うと、少し疲れていても誘いを断りにくいものです。
でも、長く続いてきたことと、これからも同じ付き合い方を続けなければならないことは別です。
昔は毎週会いたかった人と、今は年に数回ゆっくり話すほうが心地いい。そんな変化があっても不思議ではありません。
むしろ、関係を長く続けたいからこそ、今の自分に無理のない距離に変えるという考え方もできます。
無理をしながら付き合い続けて、ある日突然、「もう無理」となってしまうより、「今の私は、このくらいの距離がちょうどいい」と調整していくほうが、お互いにとってよい場合もあるのではないでしょうか。
「会ってよかった人」を大切にする
人間関係を整理するというと、「誰と距離を取るか」ばかりに意識が向きがちです。
でも、それと同じくらい、「誰との時間を大切にしたいか」を考えてみてほしいと思います。
会ったあと、「疲れたけれど、楽しかった」と思える人。少し体調が悪くても、「この人には会いたいな」と思える人。話したあと、少し元気になれる人。何か特別な話をしなくても、一緒にいると安心できる人。
そういう人が誰なのかが見えてくると、自分がこれから大切にしたい人間関係も少しずつわかってきます。
すべての人との関係を同じように維持するのではなく、大切にしたい関係に、自分の時間やエネルギーを使っていく。
40代、50代は、そんな人付き合いに変えていってもいい時期なのかもしれません。
「人に会うと疲れる」は悪い変化とは限らない
更年期になって、「人に会うのが億劫になった」「以前より付き合いが悪くなった」と感じると、自分が変わってしまったようで寂しく感じることもあると思います。
でも、それをすぐに、「社交性がなくなった」「性格が暗くなった」と考えなくてもいいのではないでしょうか。
以前は、誘われればとりあえず行っていた。昔からの付き合いだからと、なんとなく会っていた。相手から連絡が来るから、自分も同じ頻度で返していた。それを続けるだけの体力も時間もあったのかもしれません。
でも今は、「私は本当にこの人に会いたいのかな」と考えるようになった。
それは、人付き合いができなくなったのではなく、自分にとって大切なものを選ぶようになってきた、とも考えられます。
もし最近、人に会ったあとにぐったりすることが増えているなら、次に誰かと会った日に、一つだけ確認してみてください。
「疲れた。でも、会ってよかった?」
答えが「YES」なら、その疲れは今の自分にとって使いたいエネルギーだったのかもしれません。
もし、「正直、しんどかったな」と思うのであれば、次回は少し距離を取ってみてもいい。会う頻度を減らしてみる。連絡を少し控えてみる。それで自分がどう感じるのかを見てみます。
一度距離を取ったからといって、ずっとそのままでいる必要もありません。また会いたくなれば会えばいいのです。
人間関係にも、そのときの自分に合った距離があります。
更年期は、これまで築いてきた人間関係をすべて抱え続けるのではなく、「これから私は、誰と、どんなふうに時間を過ごしていきたいのだろう」と考えてみる時期なのかもしれません。
人に会って疲れるようになった自分を責めるのではなく、その疲れを一つのサインとして使ってみる。そして、「疲れたけれど、会ってよかった」と思える人との時間を、これからは少しずつ大切にしていく。
そんな人間関係の整理の仕方があってもいいのではないでしょうか。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





