【足の名医が教える】こむら返りを防ぐ食事のルール
夜中にふくらはぎがつって目が覚める。歩いていると突然ピキッと痛みが走る。運動中や入浴後、何の前触れもなく起きるあの激痛──その正体は「筋肉のセンサーの誤作動」だった!数多くの足の悩みに向き合ってきた「足の名医」がついにたどり着いた、こむら返りを防ぐ最強メソッドを伝授。足専門の整形外科医・北城雅照先生の著書『足の名医がついにたどりついた こむら返りと手足のつりリセット法』(アスコム)より内容を一部抜粋して紹介します。
こむら返りを防ぐ食事のルール、教えます
こまめな水分補給と並んで、こむら返りと無縁な体を目指すうえで欠かせないのは、体内の電解質バランスを保つことです。こむら返りの予防と食事についてネットで調べると、「マグネシウムを積極的に摂りましょう!」といった情報がたくさん出てきます。たしかに、こむら返りの予防にはマグネシウムが効果的で、現代日本人の食事で不足しがちな必須ミネラルではあるのですが、これだけではちょっと不親切ですよね。
というのも、筋肉の「収縮」と「弛緩」は、マグネシウムだけでなく、カルシウムやカリウムとも連携して成り立っているからです。どれかひとつでも不足してしまえば、バランスが崩れてこむら返りが起こりやすくなってしまいます。「牛乳+バナナのセット」は、まさにそのお手本。牛乳には水分とカルシウムが、バナナにはカリウムやマグネシウムが含まれており、手軽に電解質を補える理想的な組み合わせです。
また、味つけの濃い料理が好きな方は、カリウム不足に注意しましょう。なぜなら、塩分(ナトリウム)をたくさん摂ると、体はバランスをとろうとして、カリウムをどんどん排出してしまうからです。反対に、カリウムを多く摂ると、今度はナトリウムの排出量が増えます。つまり、カリウムとナトリウムはまるでシーソーのように、一方が多くなると、もう一方が減りやすいという性質を持っているということですね。こむら返りを予防するための食事で大事なのは、「これだけを摂ればいい」ではなく、複数のミネラルをバランスよく摂ること。また、マグネシウムも重要ですが、意識して摂りたいのは「カルシウム」です。先ほど、筋肉の収縮と弛緩には複数のミネラルが連携して働くとお伝えしましたが、そのなかでも中心的な役割を担っているのがカルシウムだからです。「骨の材料」というイメージが強いカルシウムですが、心臓や骨格の筋肉を動かすための収縮機能、神経から筋肉への信号を伝える神経筋伝達、ホルモンの分泌調整など、その役割は多岐にわたります。こむら返りを予防するためにも、カルシウムは重要なミネラルのひとつといえるでしょう。
ちなみに、牛乳1杯200㎖には、125㎎程度のカルシウムが含まれており、これは1日の必要摂取量(成人男性700~800㎎、成人女性650㎎)のおよそ5分の1から6分の1にあたります。「牛乳+バナナのセット」がいかに優れた「電解質チャージ」の組み合わせか、おわかりいただけますよね。
スルメなどの干物は、塩分過多がマイナスに
便秘がちな方や高齢者の方には、酸化マグネシウムの薬が処方されることがあります。たしかによく効く薬ではあるのですが、マグネシウムをあまりに摂りすぎると「高マグネシウム血症」という病気になり、場合によってはマグネシウムが体外に排出されなくなってしまいます。その結果、極端なケースでは、認知症のような症状が急激に進行してしまうこともあるのでご注意ください。何度でもお伝えしたいのは、やっぱり大切なのはバランスだということです。毎日の食事や献立のなかで、「ひとつの栄養素に偏らない」ことこそが、こむら返りを防ぎ、健康な体を保つための基本です。そこで、ミネラルバランスを意識するために目安として覚えておいてほしいのが、「マグネシウム:カルシウム=1:2~3」の理想的な比率です。マグネシウムが多い食品としては、ひじき・海(のり)・切り干し大根・納豆・ナッツ類などが身近なところでしょう。とくにおすすめなのが「ナッツ類」で、無塩のものが理想的です。おやつやおつまみとしてそのまま食べたり、砕いてサラダにトッピングしたり、毎日の食事に取り入れやすいのもポイント。
カルシウムは、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、小魚、そしてわかめや海苔などの海藻類に豊富です。そして、カルシウムとマグネシウムの両方を豊富に含んでいるのが「緑黄色野菜」です。カルシウムが豊富な緑黄色野菜の代表例が小松菜で、マグネシウムを多く含む代表例はほうれん草。緑黄色野菜の「緑」の部分に含まれるクロロフィル(葉緑素)が、マグネシウムを多く含んでいます。もちろん、マグネシウムとカリウムの両方を豊富に含むバナナも、こむら返りの予防を力強くアシストしてくれる優良食材です。とくに調理などが必要なく、すぐに食べられるという点も、何かと忙しい現代人には打ってつけ。「牛乳+バナナのセット」の存在感が、ここでも際立ちます。反対に、避けたいのは魚介類の干物や塩蔵品。こむら返り対策に有効な食べ物としてスルメが推奨されることがありますが、実際には塩分の多さがマイナス要素となり、健康面でのメリットを帳消しにしてしまうこともあって、私はおすすめしていません。
この本の著者…北城 雅照
日本整形外科学会認定整形外科専門医、医療法人社団円徳理事長
2009年北里大学医学部卒業、2011年慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局。2017年に慶應大学院医学部医学科博士号取得。2018年に医療法人社団円徳理事長に就任。「自分の目の届く範囲の人々を笑顔に、幸せにしたい」という信念のもと、「戦略を立てる最高司令官」として同法人を牽引。再生医療やリハビリテーションに力を入れ、最新の医療技術を取り入れた治療を提供している。一方で、理事長を務める足立慶友整形外科・リウマチ科では、整形外科外来も担当し、日々医療の現場で患者と向き合い続けている。『スッキリ』(日本テレビ)、『ひるおび』(TBS テレビ)、『めざましテレビ』(フジテレビ)などをはじめとするさまざまなメディアに出演。また、「当院に来られない人にも、良質な情報を届けたい」という思いから、X、Instagram、TikTok、YouTubeなどのSNSでも積極的に情報を発信。多くのフォロワーを得ている。趣味はサーフィンやキックボクシング、プログラミングなど多岐にわたり、医師としてだけでなく、多方面で活躍中。
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