「油は太るから控えたい」は思い込みかもしれない。4種類の油の選び方を管理栄養士が解説

「油は太るから控えたい」は思い込みかもしれない。4種類の油の選び方を管理栄養士が解説
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松田 真紀
松田 真紀
2026-08-16

「油は太るから控えたい」と思っていませんか。実は今、栄養学では“油の量”だけでなく、“油の質”にも注目が集まっています。40代以降は、体重や血圧、脂質異常、食事全体のバランスが気になりやすい世代。油の種類によって脂肪酸の組成や含まれる成分は異なり、心血管代謝や炎症、エネルギー代謝との関係について研究が進んでいます。今回は、アマニ油、エキストラバージンオリーブオイル、MCTオイル、こめ油の特徴と、日々の食卓への取り入れ方を管理栄養士の視点で紹介します。

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アマニ油|植物由来オメガ3脂肪酸を手軽に補える油

こんな人におすすめ

  • 魚を食べる機会が少ない
  • 食事の脂質バランスを見直したい
  • サラダや冷ややっこなど、かけるだけの食べ方を増やしたい
  • 無理なく続けられる健康習慣を取り入れたい

アマニ油に多く含まれるのは、α-リノレン酸という植物由来のオメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は、現代の食生活で不足しやすい脂質のひとつとして知られています。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAの材料になりますが、その変換は多くないため、魚をあまり食べない人にとって、毎日の食事でオメガ3脂肪酸を補うひとつの方法になります。

オメガ3脂肪酸は、食事全体の脂質バランスを整えるうえで重要です。とくに、肉や揚げ物、加工食品に偏りがちな食生活では、オメガ6脂肪酸や飽和脂肪酸に寄りやすくなるため、アマニ油のような植物由来のオメガ3脂肪酸を意識して取り入れることには意味があります。ただし、アマニ油を摂ればEPAやDHAをそのまま十分に補える、というわけではないため、魚を食べる機会が少ない人は、食事全体での工夫もあわせて考えることが大切です。

アマニ油は、風味や特性を生かすなら、加熱後の料理にかけて使うのが取り入れやすい方法です。朝ならヨーグルトやスープに、昼はサラダや豆腐、夜は納豆や冷ややっこ、みそ汁の仕上げに少量加えると、無理なく続けやすくなります。毎日きっちり同じ時間に摂る必要はありません。続けやすい場面を決めておくことが、習慣化のコツです。

オリーブオイル|香りや風味を楽しみながら取り入れたい、エキストラバージンオリーブオイル

こんな人におすすめ

  • 食事全体の質を見直したい
  • 地中海食に関心がある
  • サラダや豆料理をおいしく楽しみたい
  • 毎日使いやすい油を探している

オリーブオイルは、健康的な食事パターンの中でよく用いられる油のひとつです。なかでもエキストラバージンオリーブオイルは、精製度の低いオイルで、香りや風味が豊かであることに加え、ポリフェノール類を含むことが特徴です。ヒドロキシチロソールやオレウロペイン由来成分などが知られており、こうした成分はオリーブの実にもともと含まれる天然成分です。

オリーブオイルを語るうえでよく登場するのが、野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、ナッツなどを組み合わせた地中海食です。スペインで行われた大規模介入試験「PREDIMED研究」では、心血管リスクの高い人において、エキストラバージンオリーブオイルを補った地中海食は、対照食と比べて主要心血管イベントの発症リスク低下と関連しました。ただし、この研究はオリーブオイル単独の効果をみたものではなく、あくまで食事全体のパターンとして評価された結果です。

選ぶときは、価格や産地だけでなく、香りや味わいもヒントになります。早摘みのオリーブを使ったエキストラバージンオリーブオイルは、青い草やハーブを思わせる香り、ほのかな苦味、のどにピリッとくる刺激を感じることがあります。こうした風味は、ポリフェノール類と関係することが知られており、好みに合う一本を探す楽しさもあります。

使い方としては、サラダ、温野菜、豆料理、スープ、冷ややっこなどに合わせやすく、仕上げに少量かけるだけでも風味が引き立ちます。加熱調理にも使えますが、香りを楽しみたいときは生食や仕上げ使いが向いています。

MCTオイル|日常の低強度活動と組み合わせて取り入れやすい中鎖脂肪酸

こんな人におすすめ

  • ウォーキングを習慣にしている
  • 朝から活動量が多い
  • 健康的な体づくりを意識したい
  • 毎日のエネルギー補給を見直したい

MCTオイルは、主にココナッツやパーム核油などを原料とした中鎖脂肪酸油です。一般的な食用油に多い長鎖脂肪酸に比べて、消化・吸収が比較的速く、肝臓で利用されやすいという特徴があります。そのため、日常の食事に取り入れやすい油として注目されています。

近年は、運動習慣のある人だけでなく、日常生活の中での軽い活動との関係も研究されています。日本で行われたランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、BMI25以上30未満で運動習慣のない成人が、中鎖脂肪酸を1日2g、2週間摂取したところ、長鎖脂肪酸摂取時と比べて、低強度身体活動時の脂肪酸化が増えたことが報告されました。ただし、この結果は特定の対象者・条件下での研究結果であり、MCTオイルを摂れば誰でも減量できる、という意味ではありません。

そのため、MCTオイルは「これだけで体脂肪対策になる油」と考えるより、食事や生活習慣の見直しの中で取り入れる選択肢のひとつとして考えるのが現実的です。朝のコーヒーや豆乳、ヨーグルト、スープ、みそ汁などに少量加えると、習慣化しやすくなります。

一方で、MCTオイルは一度に多く摂ると、お腹がゆるくなるなど消化器症状が出る人もいます。はじめは少量から試し、体調に合わせて取り入れるのがおすすめです。また、商品によっては高温調理に向かないものもあるため、表示を確認し、飲み物や料理の仕上げに使う方法が取り入れやすいでしょう。

こめ油|毎日の加熱調理に使いやすい、クセの少ない植物油

こんな人におすすめ

  • 家族みんなで使える調理油を探している
  • 炒め物や揚げ物をよく作る
  • 脳や神経の健康にも関心がある
  • 和食中心の食生活を続けたい

こめ油は、米ぬかや米胚芽からつくられる植物油です。クセが少なく、炒め物や揚げ物はもちろん、ドレッシングやお菓子作りまで幅広く使えることから、家庭でも取り入れやすい油の一つです。

こめ油は、米ぬかや米胚芽から作られる植物油です。風味にクセが少なく、炒め物、揚げ物、卵料理、ドレッシングなど幅広く使いやすいのが特徴です。毎日の調理油として置き換えやすいため、特別な習慣を増やさなくても取り入れやすい油のひとつです。

こめ油に含まれる成分としては、γ-オリザノールがよく知られています。γ-オリザノールはフェルラ酸エステルの総称で、抗酸化や脂質代謝との関係について研究されてきました。

こめ油のよさは、難しいことを考えなくても、いつもの調理にそのまま使いやすいことです。野菜炒め、卵焼き、天ぷら、唐揚げなど、ふだんの料理で使う油を置き換えるだけでも取り入れられます。毎日無理なく続けられることは、食習慣において大きな強みです。

管理栄養士おすすめ!毎日の食卓で続けやすいオイル活用メニュー

朝 MCTオイル入り甘酒豆乳ラテ

無調整豆乳に甘酒を合わせ、MCTオイルを小さじ1杯加えます。朝の一杯として取り入れやすく、ウォーキング前や忙しい朝にもおすすめです。

昼 ひよこ豆と夏野菜の地中海サラダ

トマト、きゅうり、ひよこ豆にエキストラバージンオリーブオイルとレモン果汁を合わせます。豆類とオリーブオイルは地中海食でも定番の組み合わせです。

夜トマトと豆腐のアマニオイルサラダ

冷やした豆腐とトマトにアマニ油を回しかけ、大葉を添えます。加熱せずに使うことで、アマニ油の風味を生かせます。

こめ油は、野菜炒めや卵焼き、揚げ物など、毎日の調理油として取り入れるのがおすすめです。

まとめ

油は「控えるもの」ではなく、「使い分けるもの」へ

「油は太るから、できるだけ減らしたい」と考える人は少なくありません。もちろん摂りすぎには注意が必要ですが、脂質はエネルギー源であるだけでなく、脂溶性ビタミンの吸収や細胞膜、ホルモンの材料としても大切な栄養素です。だからこそ、量だけでなく、どの油をどのように使うかに目を向けることが大切です。

アマニ油は、植物由来のオメガ3脂肪酸を補いたいときに。エキストラバージンオリーブオイルは、香りや風味を楽しみながら食事全体の質を整えたいときに。MCTオイルは、朝の飲み物や料理に少量取り入れやすい油として。こめ油は、毎日の加熱調理を支えるクセの少ない油として。それぞれの特徴を知って使い分けることで、無理なく続けやすい食習慣につながります。

特別な健康食品を増やすよりも、まずは毎日の食卓で使う油を見直してみる。そんな小さな工夫も、食事全体の質を整える一歩になります。楽しみながら、自分に合った油の使い分けを始めてみてはいかがでしょうか。

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