「油=太るは間違い?」体にいい油・悪い油の決定的な違い|管理栄養士が解説
揚げ物を我慢したり、油を太る敵だと思い込んで遠ざけたりしていませんか。実は、健康を左右するのは油の量よりも、その質にあるということが分かっています。同じ大さじ1杯の油でも、私たちの体を作る細胞を健やかに整えてくれるものもあれば、摂りすぎることで血管に負担をかけてしまうものもあります。今回は、毎日のお料理がもっと楽しく、体にも優しくなるような油の選び方を、管理栄養士の視点から詳しくお話しします。
ポイント1:固まる脂よりサラサラな油を選ぶ
少しだけ控えめにしたいのは、飽和脂肪酸を多く含む脂です。これらは冷蔵庫に入れると白く固まる性質があり、次のような食品にたっぷり含まれています。
・バターやラード
・お肉の脂身や鶏肉の皮
・生クリームやチーズ
飽和脂肪酸を摂りすぎると、血液中のLDLコレステロールが増えやすくなることが多くの研究で報告されています。
一方で、進んで取り入れたいのは、常温でもサラサラとした液体の状態を保つ不飽和脂肪酸です。オリーブオイルに含まれるオレイン酸や、サバやイワシなどの青魚に含まれるEPA、DHAといった成分は、血液を健やかな状態に導き、中性脂肪を抑えたり血栓を防いだりする働きがあることで知られています。
例えば、普段使う油をオリーブオイルや米油に変えたり、週に何度かはお魚をメインに選んだりすることがおすすめです。
ポイント2:油の鮮度と酸化に注意する
どんなに体に良いと言われる油であっても、古くなって酸化が進んでしまうと、体にとっては困った存在に変わってしまいます。油は空気中の酸素や光、そして熱に触れることで少しずつ劣化し、これを『酸化』と呼びます。
酸化した油を摂ることは、体内で酸化ストレスを引き起こし、血管のダメージを招く一因となることが指摘されています。健康のためにと買った高価な油を、もったいないからと大切に数ヶ月も保管していることはありませんか。実は、開封した瞬間から酸化は始まっているため、それは逆効果になってしまうこともあるのです。
≪油の酸化チェック≫
・加熱したときに、少しツンとする嫌な臭いがする
・油の色が、買ったときよりも濃くなっている
・揚げ物の最中に、細かい泡がなかなか消えない
・食べた後に、いつもより胃もたれを感じる
また、一度使った揚げ油を何度も使い回すことも、酸化を急激に早めてしまいます。開封後は1、2ヶ月を目安に使い切るようにし、古い油は早めに新しくすることが、美味しさと健康を両立させる近道です。
ポイント3:加熱の有無で油を使い分ける
油には熱に強いものと、熱にとても弱いものがあります。この特徴を知っておくと、油の栄養を余すことなく上手に取り入れることができます。
加熱に向かない油(生で食べるのが正解)
えごま油や亜麻仁油などは、熱に非常に弱く、加熱すると大切な栄養成分が壊れるだけでなく、酸化を早めてしまいます。これらはドレッシングとしてサラダにかけたり、出来上がったお味噌汁や納豆にひと回ししたりと、生のまま仕上げに使うのが一番おいしく、栄養も逃さない方法です。
加熱に向いている油(炒め物や揚げ物に)
普段の調理には、熱に比較的強いオリーブオイルや米油、菜種油などが適しています。米油は酸化に強く、揚げ物がカラッと仕上がるため、家庭での揚げ物におすすめです。
まとめ
身体にいい油と悪い油の違いは、決して難しいことではありません。日常の油を、固まりやすいものからサラサラしたものや魚の油に少しずつ寄せていくこと、そしてどんな油も新鮮なうちに使い切ることです。このポイントを押さえるだけで、油は控えるべきものから、あなたの健康を支える大切なパートナーに変わります。
まずは今夜、お魚を選んでみたり、古い油を新調したりすることから、新しい油の習慣を始めてみてください。
【参考文献】
厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2020年版
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
農林水産省 トランス脂肪酸の摂取と健康への影響
Harvard T.H. Chan School of Public Health. Fats and Cholesterol
National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements.Omega-3 Fatty Acids Fact Sheet for Health Professionals.
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