「保護犬がいない世界に」モデル・桐山マキさんが「オシャレな譲渡会」を続ける理由

「保護犬がいない世界に」モデル・桐山マキさんが「オシャレな譲渡会」を続ける理由
撮影/大森文暁(f-me)

野犬やブリーダー崩壊、飼育放棄など、さまざまな理由から新しい家族との出会いを待つ「保護犬」。日本には、一体どれくらいの保護犬がいるのでしょうか? 環境省の統計資料(「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」)によると、令和6年4月から令和7年3月末までに全国の自治体に収容された犬は17,399頭。この数字だけを見ると、保護犬をゼロにするのは遠い道のりにも思えますが、実は10年前と比べると3分の1以下と、かなり減少していることがわかります。

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この背景にあるのは、1頭でも多くの命を救おうと、日々活動を続ける人たちの存在です。東京・青山で「おしゃれな譲渡会」を主催するモデルの桐山マキさんも、その一人。イベントのこだわりを伺い、その様子を取材した前編に続き、後編では桐山さんが保護活動を始めた原点や、彼女が見据える「保護犬のいない未来」などに迫ります。

小学生の頃に知った「保護犬」という存在

保護犬

―――現在、ご自身でも3頭の保護犬(内、1頭は預かりボランティアとして)と暮らしていらっしゃいますが、最初に保護犬という存在を知ったのはいつでしたか。

もともと実家で犬を飼っていて、その中に母が連れてきた保護犬がいたんです。当時小学生だったのですが、保護犬という言葉はその時に知りました。

―――その後、保護活動に関わるほど関心を持つようになったのは、なぜでしょうか。

保護犬に限らず、ずっと犬がいる環境で生活をしてきて、実家の犬とは兄弟のように育ってきました。そのため、これまでの人生で犬に助けられたことがたくさんあって。例えば辛いときや落ち込んだとき、ずっと犬が寄り添って支えになってくれました。その頃から「いつか犬に恩返しがしたい」と思っていました。保護犬と暮らしたり、保護活動に興味を持ったりしたベースには、その強い気持ちがあります。

保護犬の預かりボランティアをきっかけに見えてきた、自分にできること

桐山マキ
画像提供:桐山マキ

―――2022年にスタートした「オシャレな譲渡会」を開催するきっかけになったのは、ご自身が迎えた保護犬たちだと聞きました。

そうですね。2015年に里親マッチングサイト「ペットのおうち」から迎えた保護犬が、イベントのアイコンにもなっているフレンチブルドッグの小春です。そこから保護犬や保護団体さんと関わるようになり、宮古島の保護団体さんから2頭目のココワカメを、さらに2021年9月には3頭目のブゥを迎えました。ブゥは、最初は「BeSailAnimal」さんからの預かりボランティアとしてスタートし、後に我が家の一員となった子です。

この預かりボランティアをきっかけに譲渡会にも参加するようになったのですが、そこで譲渡会で貸していただける場所は限られているということに気づきました。これだけ可愛い子たちがいるのに、新しい飼い主さんと出会う機会が少ないのは、それも一因なのかなと。そこから「青山のように人が集まる素敵な街で譲渡会ができたら、この可愛い子たちにもっと出会いのチャンスがあるんじゃないか」「じゃあ、自分が出会える場所を作ろう!」と思ったんです。

多くの人に知ってもらうために、「おしゃれで楽しい」イベントに

桐山マキ

―――青山という場所を選んだのは、ご自身のモデルというお仕事からの影響もありますか。

はい。これまでファッションやビューティなどのお仕事をしてきた中で、そういった業界の人たちにも興味を持ってもらえるようなイベントにしたくて、この場所を選びました。というのも、保護活動や譲渡会に対して「かわいそう」「暗い」というイメージを持つ方もまだ多いと思うんです。それを変えたくて。「おしゃれで楽しい場所もあるんだ」と、気軽に興味を持ってもらえたらいいなと思っています。

―――愛犬家に限らず、多くの人にイベントに来てもらうためのこだわりが、青山という場所なのですね。

場所もそうですし、「オシャレな譲渡会」と名付けたのも、目に留まった方に気軽に足を運んでほしいからです。さらに、このイベントには「おしゃれな譲渡会やらしてもろてます」というキャッチコピーをつけているのですが、これも見た人に「何これ、面白そう、行ってみたい」と思ってもらえるきっかけにしたくて。ちなみに関西弁なのは、私が大阪出身だからです(笑)。

―――お聞きしていると、一般的な譲渡会とはかなりイメージが違いますね。

もちろん譲渡会がメインのイベントなのですが、そもそも譲渡会というのは、保護団体さんが動物をレスキューしてお世話して、新しい家族へ譲渡する場所ですよね。それって、時間もお金もすごくかかる活動なんです。残念ながら、今の私個人ではレスキューや日々の保護活動をすべて行うのは難しい。ですが、預かりボランティアの経験を通して「自分にもできることがある」と気づきました。それをいろんな人に知ってもらえたら、と考えて形にしたのが「オシャレな譲渡会」です。

「かわいそう」という気持ちだけでは、なかなか足を運びにくいという人も多いので、「楽しさ」や「おしゃれ」が入り口になればいいなと。例えば、古いタオルを捨てるのではなく持ってきてもらうだけで保護活動への協力になるとか、素敵なグッズを買うことで寄付につながるとか、そういった身近な支援の形を知ってもらえたら嬉しいですね。

今回のイベントでは、小学生の姪も駆けつけて手伝ってくれたのですが、これも保護活動に興味を持ってくれたから。保護犬に触れて色々と感じることもあったようで、将来は「犬に関わる仕事がしたい」と言ってくれています。

桐山マキ

モデルの仕事と保護活動はクロスしている

桐山マキ
画像提供:桐山マキ

―――モデルのお仕事も忙しい中でのイベント開催は大変だと思いますが、本業と保護活動の両立で工夫されていることはありますか。

どちらも大好きなことなので、大変とは全然思っていないんです。ただ、来てくださる方に楽しんでもらえるように内容を考えるときは、毎回「どうしよう!?」と頭を悩ませます。

でも、保護犬に関する活動は「続けること」が何より大事だと思っています。無理をするのではなく、仕事と両立できること、自分ができる範囲のことをしようと考えていて。例えば、モデルの仕事を通してイベントを知ってもらえたり、今回のように取材していただいたり……。意外と、仕事とイベントが交わるところもたくさんあるんですよね。

桐山マキ

モデルは自分が好きな仕事ですし、それに伴う美容に関することもすごく好きで、自分でも色々ケアをしています。「そんなに色々やっていて大変じゃない?」とよく聞かれますが、好きだからやっているだけ。同じように、犬のイベントも好きだからやらせていただいています。モデルの仕事を頑張ることで、イベントをいろんな方に知ってもらう機会が増えるような、そんな相乗効果があると感じています。

「動物の命の価値が人同様に大切にされる社会」が理想

桐山マキ
画像提供:桐山マキ

―――「オシャレな譲渡会」は年4回開催され、次回は9月に予定されていますが、この活動を続ける先に見据えるゴールを教えてください。

活動を通じて、世界から保護犬がいなくなったらいいと思っています。理想は「動物の命の価値が人と同様に大切にされる社会」です。ただ、今の日本の法律では動物は「物」として扱われてしまうため、そこが変わらない限り、根本的な解決は難しいのかなとも感じています。

海外では、高級ホテルやレストランに犬と一緒に行くなど、人と犬が当たり前のように共生している姿を見て、素敵だなと思うことがあります。それがなぜできているかというと、きちんとトレーニングされていることもありますが、何よりも社会における「命の価値」が高いからだと思うんです。日本でも、私たち一人ひとりが命の価値を意識して高めていくことで、保護犬という存在自体を少なくしていけると思っています。

だからこそ、犬を家族に迎えたいと思ったとき、ペットショップもひとつの選択肢ではありますが、「こういうイベントの場所にも、家族を待っている子たちがいる」という選択肢を知ってもらえたら嬉しいです。そのためにも、犬を飼いたい人だけでなく、できるだけ多くの人に楽しんでもらえる場所にしていきたいですね。

諦めないことが、活動を続ける原動力

桐山マキ

―――保護活動を続ける上では、葛藤や困難もあるかと思います。それでも続けられるモチベーションとなっているものは何でしょうか?

私は仕事でもこの活動でも、「諦めない」という信念を持っているので、そのおかげかもしれません。「オシャレな譲渡会」の初回と2回目は表参道の別の場所で開催したのですが、3回目からそこが使用できなくなってしまって。そのときも諦めたくない気持ちが強く、すぐに新たな場所を探し始め、その結果、素敵なご縁があって今の会場をお借りすることができたんです。

桐山マキ

ほかにもイベントで問題が起こったりしても、「なんとか自分で対処できるように」といろんな方向からアプローチを試みて、諦めずにダメ元で進んできました。だからこそ、こうやって続けられているのだと思います。そして、その信念のもとで自分にできることを続けることが、保護犬のいない世界に繋がると信じています。

次回の「オシャレな譲渡会」は9月13日(土)に開催予定です。最新情報はWOLF LADYの公式Instagram(@wolf__lady__)よりご確認ください。

Profile:桐山マキさん

桐山マキ

大阪府箕面市出身。2005年、雑誌「PINKY」の専属モデルとして、モデルデビュー。STORY等様々な雑誌や、国連の出版物等の表紙・紙面で活躍中。また、自らの経験を活かして、保護犬をめぐる啓発活動をファッションやライフスタイルを通して展開している。

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インタビュー・文/前田聡美
撮影/大森文暁(f-me)

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