「かわいそう」から「楽しい」へ。唯一無二、保護犬の「オシャレな譲渡会」が教えてくれる、私たちが今できること

「かわいそう」から「楽しい」へ。唯一無二、保護犬の「オシャレな譲渡会」が教えてくれる、私たちが今できること
photo by Fumiaki Omori(f-me)

犬と暮らす方法のひとつに、ペットショップではなく保護犬を迎えるという選択肢があります。保護犬というと殺処分の問題などもあり、なんとなく“かわいそう”というイメージを持つ人も多いかもしれません。でもここ数年は保護活動という言葉を耳にする機会も増え、実は保健所に持ち込まれる数は減ってきています。 ところが一方で、保護団体への相談件数は増加しています。その多くを占めているのが、昨今の高齢化社会ともリンクする、飼い主の高齢化による飼育困難の急増。高齢の飼い主の入院や死亡により、ペットを手放さざるを得ない人が後を絶たないのです(『ペトコトお結び保護犬・保護猫白書2026』より)。

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そんな暗さや悲しさが付き纏いがちな保護犬問題に対し、“おしゃれ”という真逆のキーワードを掲げて向き合う、唯一無二の譲渡会イベントがあります。それが、モデルの桐山マキさん主催のWolf Ladyによる「オシャレな譲渡会」。2026年6月13日に開催された、このイベントの様子をレポートします。

あえて「オシャレな譲渡会」と名付けた理由は

オシャレな譲渡会
桐山マキ
「オシャレな譲渡会」を主催するモデルの桐山マキさん

2022年からスタートし、今回で18回目となる「オシャレな譲渡会」。自身も保護犬3頭と暮らすモデルの桐山マキさんが、保護犬と向き合って芽生えた、自分でも何かできることをという思いを形にしたプロジェクト「Wolf Lady」による、保護犬譲渡のためのイベントです。

オシャレな譲渡会
オシャレな譲渡会

保護犬とは、飼育放棄やブリーダー崩壊など、さまざまな理由で動物愛護センターや民間団体などに引き取られた飼い主のいない犬。その保護犬の譲渡会というイベントを桐山さんが手掛けるようになったのは、現在も続けている保護犬の預かりボランティアの経験からでした。預かりボランティアとは、保護犬の家族が決まるまでの期間、家庭に慣れるため、自宅でお世話をする役割を担います。

保護団体の預かりボランティアから色々と学ぶことが多く、それがイベントを立ち上げるきっかけになったという桐山さん。保護犬の「かわいそう」というネガティブなイメージを変えたいと、あえて「オシャレな譲渡会」と名付けたのだそう。「犬をお迎えしたい人だけでなく、偶然近くを通りかかったファッションやビューティに興味があるような人にも、ふらりと立ち寄ってもらえるような、オシャレで楽しいイベントにしたかったので、開催場所も表参道・青山という場所にこだわりました。保護犬の可愛さをもっと知ってもらい、保護犬が家族と出会うために、みんなが気軽に足を運んでくれるようなイベントにしたいなと思って」(桐山さん)

会場には保護犬との出会いだけでなく、さまざまな楽しみが

オシャレな譲渡会

なんといってもこのイベントの特徴は、保護犬の譲渡会を中心にしつつ、犬を家族に迎える予定がなくても、楽しめる空間になっていること。開放的で広々とした会場に足を踏み入れると、そこには保護犬に直接出会えるブースのほか、ペットグッズやファッションアイテム、雑貨、さらにはワークショップなどの多彩なブースが並び、マーケット感覚で見て回ることができます。

 

 

オシャレな譲渡会

 

イベントのメインである保護犬ブースには、桐山さんの愛犬のお里でもある「BeSail Animal」と、「Pooch Dog Rescue」の2つ、そして会場2階には保護猫ブースも設けられ、同じく「Be Sail Animal」と「SPA」の、それぞれ2つの団体が参加。新たな家族を待つ保護犬と保護猫の中には、少し緊張した様子の元野犬もいれば、すやすやと眠るマイペースな子犬もいて、その可愛さに来場者の多くが足を止めて見入っていたのが印象的でした。

譲渡会
オシャレな譲渡会

会場内にはレスキュー現場での活動の記録も展示されており、普段なかなか目にすることのない保護活動の実態に触れることができます。加えてステージでは、保護活動にまつわるトークショーも開催。主催者である桐山さんと保護団体代表によるリアルな保護活動の話は、想像以上にハードな内容もあり、思わず来場者が驚いたり目を潤ませるシーンも。

楽しくオシャレな雰囲気にこだわって開かれているイベントですが、その柱となる保護活動への啓蒙のためにも、リアルな保護活動の様子を直接発信できるトークショーは大切な時間。足を運んでくれた人たちへ、保護犬と保護活動を知ってもらい、自分にもできることがあると気づいてもらえたら、というメッセージが込められています。

イベントに訪れる人を楽しませてくれる最大の魅力となっているのが、「オシャレな譲渡会」の名にふさわしい、数々の出展ブース。アパレル業界で生じる廃棄レザーをアップサイクルしたバッグチャームやポーチ、犬と人が一緒に食べられるおやつ、安心安全な無農薬野菜、プレミアムドッグフードなど、気になるアイテムがずらりと並び、どこも大盛況です。ここで購入できる商品は全て、桐山さんが自信を持ってお勧めするものばかり。「実際にお取り寄せしている無農薬野菜や、ワンちゃんと食べられるおやつなど、自分が本当に欲しいものや好きなものにこだわって、出展者さんにオファーするようにしています」(桐山さん)

譲渡会

愛犬を連れて来場する人に嬉しいのが、体験型ブース。今回は、人気アーティスト、ヤナギダマサミさんによる似顔絵やプロカメラマンによる撮影、ドッグマッサージや犬のご飯の相談、さらには獣医による犬の健康相談など、犬が主役のブースも充実しています。

オシャレな譲渡会

「迎える」だけじゃない。保護活動に参加する方法はいろいろある

新たに犬を迎えようと思っていなくても、気軽に参加できる工夫がいろいろと施されているのも、このイベントならでは。入り口横ではチャリティフリーマーケットが開かれ、その横にはキッチンカーも。フリマを覗いたりランチを買ってひと休みしたりと、偶然通りかかった人が立ち寄りやすくなっています。

オシャレな譲渡会

また、イベントでの売り上げの一部は保護団体への寄付とするなど、自分や愛犬のために買い物をするだけでも保護活動に参加できる仕組みを実現。さらに会場では毎回、保護活動で大量に必要となる古タオルを回収しており、自宅で使わなくなったタオルを持ち寄るだけでも、保護活動をサポートできます。

「保護犬に対してできることって、とてもたくさんあるんです。ここに来て、自分にもこんなことができるんだって知ってもらえたらなと思っています」と桐山さんがいうように、「オシャレな譲渡会」に遊びに行くこと、保護犬を知ることも全て支援に繋がるのです。保護犬や保護活動に興味があっても、何をしていいかわからないという人にとって、この譲渡会は「自分にできること」を見つける道標になるのかもしれません。

「誰でも気軽に立ち寄れる場所」を目指す

オシャレな譲渡会

このように、構えずに訪れられるオープンなスタイルが功を奏し、このイベントでは今まで何頭もの保護犬・保護猫が家族と出会うことができました。例えば、会場の目の前を通りかかって足をとめた人が犬の里親になったり、特に犬好きではなかったけれど、偶然訪れて気づけば保護犬を2頭お迎えしたり・・・。人が集まる都心でのイベントだからこそ生まれる、動物と人との出会いがあるのです。そして犬や猫たちがその後幸せに暮らしている様子を見聞きすることが、主催者の桐山さんにとっての大きな喜び。「犬を迎える予定がなくても、以前犬と暮らしていてまた犬と暮らしたい人も、飼えないけれど犬に会いたいという人も、犬が好きな人もそうでない人も、みんなが集まって保護犬のことを知ることができる、そこからできることを見つけられる、このイベントをそんな場にしていきたいと思っています」(桐山さん)

*後編では、モデルとして活躍する一方で、「保護犬のいない世界」を理想に掲げるイベントの主催者、桐山マキさんにその思いをお聞きします。

プロフィール:桐山マキさん

桐山マキ

大阪府箕面市出身。2005年、雑誌「PINKY」の専属モデルとして、モデルデビュー。STORY等様々な雑誌や、国連の出版物等の表紙・紙面で活躍中。また、自らの経験を活かして、保護犬をめぐる啓発活動をファッションやライフスタイルを通して展開している。

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取材・文/前田聡美
撮影/大森文暁(f-me)

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