極端な「減塩」が認知症を招く?血流低下が脳機能を奪う、良かれと思った習慣が引き起こす皮肉
極端な減塩で起きる低ナトリウム血症になると、脳の働きにも影響が出ます。極端な薄味生活を続けている人は注意が必要です。医師が解説します。
「塩分は悪」と思い込んでいませんか?
高血圧対策として、「減塩」が大切なのは間違いありません。
実際、塩分の取りすぎは、高血圧や、脳卒中のリスクにつながります。
そのため、健康診断などでも「塩分を控えましょう」と言われることが多いですよね。
ただ最近、外来で気になるのが、「減塩を頑張りすぎている人」が増えていることです。
中には、「塩はとにかく悪い」と思い込み、極端な薄味生活を続けている方もいます。
もちろん塩分の取りすぎは問題です。
ただ、「減らしすぎ」もまた、体に悪影響を及ぼすことがあります。
塩分は「体を動かすため」に必要
塩分というと悪者扱いされがちですが、実際には体に必要不可欠な成分です。
特に重要なのが、ナトリウム。
ナトリウムは、
・血圧維持
・神経伝達
・筋肉の働き
・水分バランス
などに深く関わっています。
つまり、塩分が少なすぎると、体は正常に働きにくくなるんです。
極端な減塩で起きる「低ナトリウム血症」
実際に問題になるのが、低ナトリウム血症です。
これは、血液中のナトリウム濃度が低下した状態。
高齢者では特に起こりやすく、
・食欲低下
・極端な減塩
・過度な水分摂取
などが重なると発症しやすくなります。
「最近ぼーっとする」の背景に塩不足
低ナトリウム血症になると、脳の働きにも影響が出ます。
- ぼーっとする
- 集中力低下
- ふらつき
- 反応が鈍い
- 物忘れが増える
こうした症状が出ることがあります。
高齢者では、「認知症が進んだと思ったら、実は低ナトリウムだった」というケースもあります。
ケース①「味噌汁の味がしない」80代女性
印象的だったのは、80代女性です。
「血圧が高いから塩は全部悪いと思って」と話され、かなり極端な減塩をされていました。
味噌汁はほぼお湯状態。
漬物も完全に中止。
醤油もほとんど使わない。
さらに、「健康のため」と大量の水を飲んでいました。
その後、
・ふらつき
・ぼーっとする
・食欲低下
が出現。
検査すると、低ナトリウム血症が見つかりました。
ご家族は「認知症が始まったと思った」とかなり心配されていました。
ケース②「健康意識が高すぎた」70代男性
70代男性で、「減塩を徹底しています」という方もいました。
テレビで減塩特集を見てから、かなり厳格な塩分制限を開始。
ただ、夏場に大量発汗が続き、その後から、
・だるさ
・思考力低下
・集中できない
という症状が出現しました。
検査ではナトリウム低下。
汗で塩分を失っているのに、補給が追いついていなかった状態です。
脳は「血流低下」に弱い
さらに極端な減塩では、血圧が下がりすぎることがあります。
すると脳への血流が低下し、
「頭がぼーっとする」
「考えがまとまらない」
といった状態につながることがあります。
特に高齢者では、もともと動脈硬化があるため、血圧低下の影響を受けやすい。
「血圧は低ければ低いほど良い」とは、一概には言えないんです。
「健康のため」が逆効果になる怖さ
最近かなり増えているのが、「健康情報を真面目にやりすぎる人」です。
・塩は悪
・糖は悪
・脂質は悪
こうやって極端になると、かえって栄養バランスが崩れてしまいます。
特に高齢者では、「食べられなくなること」のほうが危険な場合もあります。
減塩は「ほどほど」が大事
もちろん、塩分過多は問題です。
ラーメンの汁を毎回全部飲む、加工食品ばかり食べる、という生活は見直したほうがいいでしょう。
ただ一方で、「完全な薄味」を目指しすぎる必要もありません。
特に、以下のような方は、極端な減塩が体調不良につながることがあります。
- 高齢者
- 食事量が少ない人
- 汗をかきやすい人
医師として感じること
外来でよく感じるのは、「真面目な人ほど極端に走りやすい」ということです。
健康のために頑張る。これは本来、とても良いことです。
ただ、体は「バランス」で成り立っています。
塩分も同じです。
「ゼロが正義」ではありません。
本当に大事なのは「続けられる食事」
個人的には、「適度においしく食べられること」がかなり大事だと思っています。
極端な制限は、
・食欲低下
・低栄養
・筋力低下
にもつながります。
結果として、体力や脳機能まで落ちてしまうこともある。
だからこそ、健康管理は「やりすぎない」ことも大切なんです。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く






