極端な「減塩」が認知症を招く?血流低下が脳機能を奪う、良かれと思った習慣が引き起こす皮肉

極端な「減塩」が認知症を招く?血流低下が脳機能を奪う、良かれと思った習慣が引き起こす皮肉
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-05-14

極端な減塩で起きる低ナトリウム血症になると、脳の働きにも影響が出ます。極端な薄味生活を続けている人は注意が必要です。医師が解説します。

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「塩分は悪」と思い込んでいませんか?

高血圧対策として、「減塩」が大切なのは間違いありません。

実際、塩分の取りすぎは、高血圧や、脳卒中のリスクにつながります。

そのため、健康診断などでも「塩分を控えましょう」と言われることが多いですよね。

ただ最近、外来で気になるのが、「減塩を頑張りすぎている人」が増えていることです。

中には、「塩はとにかく悪い」と思い込み、極端な薄味生活を続けている方もいます。

もちろん塩分の取りすぎは問題です。

ただ、「減らしすぎ」もまた、体に悪影響を及ぼすことがあります。

塩分は「体を動かすため」に必要

塩分というと悪者扱いされがちですが、実際には体に必要不可欠な成分です。

特に重要なのが、ナトリウム。

ナトリウムは、
・血圧維持
・神経伝達
・筋肉の働き
・水分バランス
などに深く関わっています。

つまり、塩分が少なすぎると、体は正常に働きにくくなるんです。

極端な減塩で起きる「低ナトリウム血症」

実際に問題になるのが、低ナトリウム血症です。
これは、血液中のナトリウム濃度が低下した状態。

高齢者では特に起こりやすく、

・食欲低下
・極端な減塩
・過度な水分摂取

などが重なると発症しやすくなります。

「最近ぼーっとする」の背景に塩不足

低ナトリウム血症になると、脳の働きにも影響が出ます。

  • ぼーっとする
  • 集中力低下
  • ふらつき
  • 反応が鈍い
  • 物忘れが増える

こうした症状が出ることがあります。

集中力低下
photo/Adobe Stock

高齢者では、「認知症が進んだと思ったら、実は低ナトリウムだった」というケースもあります。

ケース①「味噌汁の味がしない」80代女性

印象的だったのは、80代女性です。

「血圧が高いから塩は全部悪いと思って」と話され、かなり極端な減塩をされていました。

味噌汁はほぼお湯状態。
漬物も完全に中止。
醤油もほとんど使わない。

さらに、「健康のため」と大量の水を飲んでいました。

その後、
・ふらつき
・ぼーっとする
・食欲低下
が出現。

検査すると、低ナトリウム血症が見つかりました。

ご家族は「認知症が始まったと思った」とかなり心配されていました。

ケース②「健康意識が高すぎた」70代男性

70代男性で、「減塩を徹底しています」という方もいました。

テレビで減塩特集を見てから、かなり厳格な塩分制限を開始。

ただ、夏場に大量発汗が続き、その後から、

・だるさ
・思考力低下
・集中できない

という症状が出現しました。

検査ではナトリウム低下。

汗で塩分を失っているのに、補給が追いついていなかった状態です。

脳は「血流低下」に弱い

さらに極端な減塩では、血圧が下がりすぎることがあります。
すると脳への血流が低下し、

「頭がぼーっとする」
「考えがまとまらない」

といった状態につながることがあります。

特に高齢者では、もともと動脈硬化があるため、血圧低下の影響を受けやすい。

「血圧は低ければ低いほど良い」とは、一概には言えないんです。

「健康のため」が逆効果になる怖さ

最近かなり増えているのが、「健康情報を真面目にやりすぎる人」です。

・塩は悪
・糖は悪
・脂質は悪

こうやって極端になると、かえって栄養バランスが崩れてしまいます。

高齢者
photo/Adobe Stock

特に高齢者では、「食べられなくなること」のほうが危険な場合もあります。

減塩は「ほどほど」が大事

もちろん、塩分過多は問題です。

ラーメンの汁を毎回全部飲む、加工食品ばかり食べる、という生活は見直したほうがいいでしょう。

ただ一方で、「完全な薄味」を目指しすぎる必要もありません。

特に、以下のような方は、極端な減塩が体調不良につながることがあります。

  • 高齢者
  • 食事量が少ない人
  • 汗をかきやすい人

医師として感じること

外来でよく感じるのは、「真面目な人ほど極端に走りやすい」ということです。

健康のために頑張る。これは本来、とても良いことです。

ただ、体は「バランス」で成り立っています。

塩分も同じです。

「ゼロが正義」ではありません。

本当に大事なのは「続けられる食事」

個人的には、「適度においしく食べられること」がかなり大事だと思っています。

極端な制限は、

・食欲低下
・低栄養
・筋力低下

にもつながります。

結果として、体力や脳機能まで落ちてしまうこともある。

だからこそ、健康管理は「やりすぎない」ことも大切なんです。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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