現代人の多くが陥っている「SNSによる比較の罠」とは?精神科医が解説

現代人の多くが陥っている「SNSによる比較の罠」とは?精神科医が解説
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本音を出すだけで、心は回復する。ジャーナリングは、つい頑張りすぎてしまう人のための、「書いて、出して、軽くなる」感情デトックスというセルフケアです。精神科医である 長沼 睦雄(ながぬま むつお)先生の著書『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』(日本文芸社)より内容を一部抜粋して紹介します。

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SNSで他人が幸せに見える理由

SNSによって私たちは他者の生活を目にする機会が多くなりました。何気なくSNSを開くと、タイムラインには、友人が投稿した旅行先の絶景、レストランでの絶品料理、仲睦まじい家族の笑顔……世の中の幸福が凝縮されたかのような光景が溢れています。頭では「SNSなんて、生活のほんの一部を切り取ったものにすぎない」とわかっていても、他人のキラキラした投稿と、自分の現実とのギャップを突きつけられるたびに、じわじわと自己肯定感が削られていくのを感じてしまう。これが、現代人の多くが陥っている「SNSによる比較の罠」です。

なぜ、SNSでは他人ばかりが幸せに見えるのでしょうか。その最大の理由は、SNSが「ドキュメンタリー」ではなく、高度に編集された「名場面集(ハイライト)」だからです。私たちは無意識のうちに、自分の人生の「NGシーンや退屈なシーンを含む全編」と、他人の人生の「最も盛り上がっている場面を集めた予告編」を比較してしまっています。投稿されるのは、奇跡的にきれいに撮れた1枚の写真、特別なイベント、成功した瞬間だけです。見せたくない部分を巧妙に切り取り、フィルターで加工した「演出された現実」しか存在しません。

幸せそうなあの人も、本当はあなたと同じように人間関係に悩み、将来に不安を感じ、孤独に震える夜を過ごしているかもしれません。過剰な演出や頻繁な投稿の裏には、「幸せだと思われたい」「認められたい」という強い渇望が隠れていることも少なくありません。しかし、SNSというフィルターを通すと、そうした「影」の部分は消去され、まぶしい「光」だけが増幅されて届くのです。

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あなたは今、誰の人生を生きているの?

他人と比較し、うらやんだり卑下したりするとき、あなたの意識のアンテナは完全に自分から離れ、他人に乗っ取られています。他人の「虚像」にエネルギーを注げば注ぐほど、あなた自身の「実像」は消失し、実像からつくられる「生きるためのエネルギー」は枯渇し、ますます境界線と自分軸を失っていくという悪循環に陥ります。

他人の投稿に心がざわついたときは、自分に問いかけてみてください。「私は今、誰の人生を生きているのだろう?」と。

他人のハイライト(名場面集)と自分の日常(舞台裏)を比べるという、ルールの異なる勝てるはずのないゲームからは降りたほうがよいでしょう。スマホの画面を伏せ、目の前にある温かいお茶の香りや、肌に触れる布団の感触といった、あなたの五感で感じられる確かな現実に意識を戻していきましょう。

POINT

SNS は他人の「名場面集」と自分の「舞台裏」を比べてしまう仕組みになっている。画面ではない現実に意識を戻してみて。

『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』(日本文芸社)
『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』(日本文芸社)
 

この本の著者…長沼 睦雄(ながぬま むつお)

十勝むつみのクリニック院長・精神科医。
昭和31年生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了。その後、障害児医療分野に転向し、道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と成人の診療を行う。平成28年に帯広にて十勝むつみのクリニックを開院(10年目)。急性期の症状を対症療法的に治療する西洋医学に疑問を感じ、HSP・アダルトチルドレン・神経発達症・発達性トラウマ障害・慢性疲労症候群などの慢性機能性疾患に対し、「脳と心と体と食と魂」を結んだ根本治療を目指す統合医療に取り組んでいる。『敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本』『繊細で敏感でも、自分らしくラクに生きていける本』(共に永岡書店)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』『10代のための疲れた心がラクになる本』(共に誠文堂新光社)、『その、しんどさは季節ブルー』(日本文芸社)など著書多数。

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