【嬉しいはずなのに、なぜかソワソワ..】春の「心の衣替え」に効く、精神科医の処方箋
精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
憧れていた仕事への就職、念願の引っ越し。 4月は「おめでとう」の言葉が飛び交う、希望に満ちた季節でもあります。けれど、そんなハッピーな状況のはずなのに、ふとした瞬間に「なんだか寂しい」「不安で以前の場所に戻りたい」と胸がキュッとなることはありませんか?
「せっかくのお祝いムードなのに、私ってわがままなんだろうか..?」なんて自分を責める必要はありません。実はそれ、心が一生懸命に「新しい環境に馴染もうとしている大切なサイン」なのです。
心は「いつも通り」が大好き
私たちの心には、慣れ親しんだ自分の部屋のような「安心できる場所」が必要です。心にとって「変化」は、たとえそれがポジティブな出来事であっても、一種の「ショック(ストレス)」として伝わってしまうんですね。
・決して綺麗じゃなかったけど仕事をこなした前の職場
・狭かったけど、思い出が詰まった引っ越し前の家
・気心の知れた同僚との、他愛ない挨拶
そんな「当たり前」だった景色を手放したとき、心は静かに涙を流します。これが、おめでたい変化の裏に隠れた不安や寂しさの正体です。新しいものを手に入れた喜びの陰で私たちは無意識に、これまでの安心を手放した寂しさを感じているのです。
不安を「ワクワク」に変換しなくていい
今の時期、世の中には「ポジティブに楽しもう!」「新しい自分に生まれ変わろう!」というメッセージが溢れています。しかし、不安を感じているときに無理やり「ワクワク」へ変換しようとするのは、ガソリンが切れかかっている車で無理にアクセルを踏むようなものです。
まずは、「あぁ、私は前の環境をそれだけ大切に思っていたんだな」「今は心が衣替えの真っ最中なんだな」と、ありのままの自分を認めてあげてください。否定せず、「そうだよね、寂しいよね、不安だよね」と自分に声をかけてあげるだけで、脳の警戒モードは少しずつ解けていきます。
脳のパニックを鎮める「自分だけの聖域(ルーティン)」
新しい環境で心が落ち着かないのは、脳が「次に何が起こるかわからない」と常にフル回転で警戒しているからです。このアラートを止めるには、精神医学でも有効とされる「予測できるリズム(ルーティン)」を意図的に作ることが近道です。
朝の「変わらない儀式」を1つだけ持つ
日中の予定が自分ではコントロールできない時期だからこそ、朝の5分だけは「絶対に自分の思い通りになる時間」を確保しましょう。
「白湯を飲む」「お気に入りのオイルの香りを嗅ぐ」...あるいは、大好きな動物の動画を見て癒やされるのも良いでしょう。このような「これだけは変わらない」という感覚が、脳にとっての強力な防波堤になります。
夜の「シャットダウン」を習慣にする
新生活の緊張は、夜まで持ち越しがちです。そのため..
・お風呂に浸かる時に「今日の外の役割はここまで」と心の中で唱える
・あるいは寝る前に3つだけ「今日できたこと」をメモする
こうした小さな「区切り」が、脳に「今はもう休んでいい時間だよ」と安心のサインを送ります。新生活において、環境に自分を100%合わせようと急ぐ必要はありません。
まずは「自分自身の心地よいリズム」を守ることを最優先にしてください。「環境に自分を合わせる」のではなく、「自分という軸に、新しい環境を少しずつ馴染ませていく」そんなゆったりとした視点で、この春の波を乗りこなしていきましょう。
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