「朝がつらい…」精神科医が教える、頑張れない朝にこそ大切にしたい“たったひとつのこと”

「朝がつらい…」精神科医が教える、頑張れない朝にこそ大切にしたい“たったひとつのこと”
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精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。

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朝、目は覚めているのに、なかなか体が動かない。

「やらなきゃいけないことは山積みだし、スマホの通知も気になる。でも、画面を見る指先さえ重い..」

そんな朝を迎えたことはありませんか。

「もっとちゃんとしなきゃ」「こんな自分じゃダメだ」

そうやって自分を奮い立たせようとするほど、かえって布団が重く感じられることもあるかもしれません。けれど、そんな朝にこそ知っておきたいことがあります。それは、「頑張れないのは、あなたの意志が弱いからではない」ということです。

体はすでに、見えないところで戦っている

私たちの体は、私たちが自覚している以上に繊細です。特に季節の変わり目は、気温の変化、日照時間の揺らぎ、低気圧の到来など、外部環境が目まぐるしく変化します。私たちの内側では、この変化に適応しようと「自律神経」が24時間フル稼働で調整を続けています。

つまり、あなたが「何もしていない」と感じているその瞬間も、体は必死にバランスを取ろうと、すでにたくさん頑張っているのです。朝に頑張れないのは、今の状態が「まだ回復が追いついていないサイン」いわば、体があなたを守るために「今は休んで」とメッセージを送っている状態なのです。

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「心のアクセル」と「体のブレーキ」の摩擦

そんなとき、多くの人は「どうにかして動こう」と無理にスイッチを入れようとします。しかし、ここで無理をすると、心と体のズレがさらに大きくなってしまいます。エネルギー不足の体に対して心だけが「アクセル」を強く踏み込もうとすると、脳は過剰な負荷を察知し、より強く「ブレーキ」をかけてしまうからです。

この「心のアクセル」と「体のブレーキ」が激しくこすれ合う摩擦こそが、あのだるさや重さの正体。動こうとすればするほど動けなくなるのは、あなたが怠けているからではなく、心と体が懸命にバランスを取ろうと葛藤している証拠なのですね。

大切なのは、「やる気を迎えに行く」こと

だからこそ、頑張れない朝に大切にしたいのは、たったひとつ。それは「最初のハードルを、地面に埋まるくらい低くすること」です。少し大げさな表現に聞こえるかもしれませんが、実はこれくらいの意識を持つことが、今のあなたにはとても大切なんです。

焦らなくて、大丈夫。いきなり「起きる」「家事をする」といった大きな目標を立てる必要はありません。たとえば、

・布団の中で、手のひらをゆっくり開いたり閉じたりする
・カーテンの隙間から入る、少しひんやりした空気を吸ってみる
・一口だけ水を飲む

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そんな「これならできそう」と思える、ごく小さな動きで十分です。私たちの脳には、大きな変化には抵抗しますが、小さな行動に対しては驚くほどスムーズに受け入れる性質があります。これは心理学で「作業興奮」と呼ばれる現象に近いもの。

やる気が湧くのを待つのではなく、ほんの少しだけ体を動かすことで、やる気を後から迎えに行くようなイメージですね。一度指先が動けば、脳は「あ、動く準備ができたんだな」と判断してくれます。すると、次の動作へとつながるエネルギーが、内側から自然と滲み出してくるはずです。

最後に

頑張れない朝があると、つい自分を責めたくなりますよね。でも、そんなときこそ思い出してください。あなたの体は、毎日の生活という荒波の中で、必死にあなたを支えてくれています。だから、無理に前に進もうとしなくても大丈夫。まずは、指先をひとつ動かすことから。その「自分へのやさしい一歩」が、止まっていた心と体を、ゆっくりと日常の光の中へ戻してくれるはずです。そしてもし

・朝に限らず一日を通して強いだるさや気力の低下が続いている
・日常生活に影響が出ていると感じる

そう感じるときは、それはあなた一人の力では抱えきれないほど、心や体がしっかり休息を必要としているサインかもしれません。そんなときはどうか、専門家の力を借りることも、「自分を大切にするための選択肢」として考えてみてくださいね。

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