【ゆっくり生きる勇気とは?】スピード社会で自分のペースを取り戻すヒント|精神科医が解説
精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
気づけば、毎日が早送りのように過ぎていく。やることは終わらず、心は落ち着かず、時間だけが流れていく。
そんな日々の中でふと、「もっとゆっくり生きられたら……でもそれって、甘えや怠けなのかな」と心の中で葛藤してしまう人は多いです。でも、ゆっくり生きることは甘えでも、怠けでもありません。むしろ、スピード社会に流されず、自分の人生を取り戻すための勇気ある選択です。
急かされる感覚が慢性化してしまう理由
現代は、あらゆるものが高速化しています。SNSは秒単位で更新され、仕事では効率やスピードが求められ、マルチタスクは当たり前..常に「最短で結果を出すこと」が前提になっています。このように、何もかもがスピード重視の環境に身を置いていると、私たちの心は本来のリズムを失っていきます。その結果、「感じる力」や「味わう力」は少しずつ鈍くなってしまうのです。
実際、マルチタスクに関する研究では、精神的疲労の増加や作業効率の低下といった影響が報告されています。脳は同時進行が得意ではありません。タスクを切り替えるたびにエネルギーを消費し、その積み重ねが「常に何かに追われているような感覚」を生み出します。こうして、「急かされる感覚」は、いつの間にか慢性化していくのです。ではどうすれば、急かされる感覚から抜け出し、自分のペースを取り戻していく事ができるのでしょうか?
自分のペースを取り戻すヒントは、「丁寧さ」
今している作業の感触、呼吸の流れ、身体の動き。それらをひとつずつ丁寧に味わうと、意識は自然と「今ここ」へ戻っていきます。このように「丁寧さ」とは、外のスピードから少し距離を置き、内側のあなた本来のリズムに寄り添う行為でもあります。
こうして「今起きていることに注意を向ける」あり方を、マインドフルネスとも呼びますね。このマインドフルネスには不安やストレス反応の軽減、集中力の向上といった効果も期待できます。つまり、丁寧にひとつのことをするという小さな行為は、脳にとってのリセットボタン。続けるほど、慢性的な急かされる感覚がやわらぎ、心は本来のリズムを少しずつ取り戻してくれるでしょう。
生活の中で簡単に取り入れられる「丁寧さ(マインドフルネス)」
特別な時間を確保する必要はありません。すでに毎日していることを、少しだけ丁寧にするだけで十分です。たとえば、朝、コーヒーやお茶を飲むとき、香りや温度、喉を通る感覚に意識を向けて、ひと口ずつ味わってみる。歩いているときは、足の裏が地面に触れる感覚や、身体の揺れを感じてみる。仕事中にタスクを切り替えるときは、姿勢を整え、ひと呼吸してみる。大切なのは、「集中しなきゃ」と頑張らないこと。気づいたら戻る、ただそれだけでOKです。こうした小さな丁寧さの積み重ねが、スピードに慣れすぎた脳に「今は急がなくていい」という感覚を思い出させてくれます。
まとめ
もし今、「ちゃんと休めていない気がする」「いつも何かに追われている」
そんな感覚があるなら、ただ、今日のどこかでほんの一瞬、自分の呼吸や感覚に戻る時間をつくってみてください。その丁寧さで、あなたの中の時間は少しずつ整い始めます。ゆっくり生きることは、怠けでも甘えでもありません。この忙しい世界の中で、あなたのペースで生きていい。そのことを、どうか忘れないでください。
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