仕事が早い決断力のある人が心がけている「“選択肢を減らす”という1つのルール」とは?精神科医が解説
精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
こんにちは。精神科医のしょうです。忙しい毎日の中で、
「どうしてあの人は決断が早いんだろう」
「自分はなぜいつも迷ってしまうんだろう」
そんなふうに感じたことはありませんか。実は、決断力のある人が心がけているたった1つのルールがあります。それは日常の選択肢を増やしすぎないという、とてもシンプルなもの。今回の記事では、この「選択肢を減らす」という行動が、決断力を高め、仕事のスピードを早めるのかを、精神科医の視点から解説していきます。
選択肢が増えるほど、人は決められなくなる
「どれにしようか迷って決められない」そんな状態が続くとき、私たちはつい「優柔不断だから」と自分を責めてしまいがちです。しかし、心理学では「選択のパラドックス」と呼ばれる現象が知られています。選択のパラドックスとは簡単に言うと、選択肢が増えれば増えるほど、人は決断に時間がかかり、満足度も下がるというものです。
脳はもともと、マルチタスクは苦手なんですね。ですが、現代の仕事では、常にマルチタスクを求められるといってもよいでしょう。
・比較する
・未来を予測する
・最適解を探す
このような無数の選択肢が常に現れるため、無意識のうちに疲れてしまうのです。そしてこれは、仕事だけでなく、買い物の場面、SNSの使い方、人間関係の距離感など、日常のあらゆる場面でも起こっています。
決断力のある人は「選ぶ前に減らしている」
では決断が早い人はどうやって選択肢を減らしているのでしょうか?共通して行っているのは、決断そのものを軽くする“準備”です。たとえば..
・会議の議題は最初から2つに絞る
・メール文は「よく使う3種類」にテンプレート化する
・朝の服装は“迷わない”定番を決めておく
このように「多すぎる情報」に飲み込まれないよう、選択肢をあらかじめ減らすことで、脳の負担を最小限に抑えているのです。
選択肢を減らすと、心は静かになる
多くの人が誤解しがちなのは、「選択肢を減らす=自分を制限すること」というイメージです。
「そんなに、選択肢を減らしてしまうと、心の余裕まで減ってしまって逆効果じゃない?」
こんな風に思ったかもしれませんね。しかし実際には、選択肢を減らすことは、心のスペース(余白)を広げることにつながります。
・やることが明確になる
・迷いが消える
・決断に対する不安が減る
・“今ここ”に意識が戻る
そうです、ヨガや瞑想で大切にされる「雑念を手放す」作業に、とてもよく似ているんです。このように選択肢を減らすことは、自分の内側に静けさを取り戻すためのひとつの方法でもあるんですよ。
今日からできる“選択肢ミニマム”の実践
では最後に、忙しい毎日の中でも取り入れやすい、3つの習慣を紹介します。
① 「今、決めること」を1つに絞る
→会議でも家事でも、まずは“範囲を明確に”します。これだけで脳の負担が大きく減ります。
② 選択肢は「最大2つ」に
→2択にすると、迷いがいっきに軽くなります。もしどうしても決められないときは、どちらかを“仮で決定”してみるのも有効です。
③プライベートで 迷わない“仕組み”をつくってみる
例えば..
・朝の服装をパターン化する
・よく使う言い回しをテンプレ化
・買い物はお店を固定
など、あなたの日常の中で「迷う場面」をひとつずつ減らしてみましょう。
「決断が早い」というと、意志が強い、判断力が鋭い…そんなイメージを持つかもしれません。しかし実際には、決断力は“心の状態”に非常に大きく関わっています。選択肢を減らして心を整えることで、あなたも自然と早く・楽に決断できるようになります。
完璧を目指す必要はありません。日常の小さな選択から、ひとつずつ“減らす”習慣を取り入れてみてください。 その積み重ねが、心と時間の余白を取り戻し、日々のパフォーマンスを確実に変えていくはずです。
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