「職場の雑談が苦手」なままでも大丈夫。精神科医が教える、心をスッと楽にする処方箋
精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
「エレベーターで二人きりになった瞬間、意味もなくスマホを取り出して、通知も来ていない画面を凝視してしまう」
「給湯室から話し声が聞こえると、誰もいなくなるまで自席でパソコンを叩くふりをしてやり過ごす」
職場の雑談に苦手意識を持ち、毎日を戦場のように感じてヘトヘトになっていませんか?まず最初にお伝えしたいのは、雑談が苦手なのはあなたの能力が低いからでも、性格に問題があるからでもないということです。むしろ、あなたは「周囲の状況を敏感に察知し、相手を尊重しようとする優しい心の持ち主」なのです。今回はそんな優しいあなたへ、たった1つの処方箋をお渡しします。
なぜ「雑談」で頭が真っ白になるのか?
それは、雑談の中に正解を探してしまうからなんですね。
「相手を退屈させていないか?」
「次の話題は何が正解か?」
「相手の表情が少し曇ったのは自分のせいか?」
このように、雑談が苦手な人の脳内では、実は驚くほど高度なマルチタスクが行われています。こんな状況が続くとそれは脳に負担もかかりますし、疲れてしまいますよね。最終的に脳の処理能力はパンク。頭が真っ白になってしまうということです。そのため、職場での雑談が苦手な人は、まずは雑談は「答えのないやり取り」であるという意識を持つことから始めましょう。
「100点の会話」という幻想を手放す
雑談が苦手な人の多くは、「面白い話で場を盛り上げなければ」とつい考えがちです。ですが、雑談の本質はもっとシンプルなものです。それは、「私はあなたの敵ではありません」「あなたの存在を認識しています」というサインを送ること。それ自体が雑談のゴールなのです。
たとえ「昨日は寒かったですね」という一言でも、ニコッと会釈をするだけでも、その役割は十分に果たせています。 「気の利いた一言」という高いハードルを、「声を出して相手を認めたからOK」というところまで、グッと下げてみませんか?
明日から試せる処方箋
頭が真っ白になってしまうあなたに、私が一番にお伝えしたい処方箋。それは、「話そうとするのをやめて、いったん『聞き役』に回る」ということです。
「えっ、聞き役? でも、何か言い返さないと会話が止まってしまうんじゃ..」
そう不安に思うかもしれませんね。でも、大丈夫。実は、雑談の主導権を握っているのは「話している人」ではなく「聞いている人」なのです。
1 「聞き役」は、相手への最高のプレゼント
心理学的に、人間は「自分の話を聞いてもらえた」と感じたときに、脳の報酬系が刺激され、快感や安心感を覚えます。 無理に面白いエピソードを披露する必要はありません。 相手の話に「へぇ〜!」と耳を傾けるだけで、相手は「あなたと話せて楽しかった」と十分に満足してくれるのです。
2「質問」というパスを出すだけでいい
「何を話せばいいか」と悩むのは、あなたがゼロから話題を生み出そうとしているからです。 これからは、相手の言葉の中から小さなキーワードを拾って、質問として投げ返してみましょう。
相手:「最近、ちょっと寝不足で..」
あなた:「寝不足なんですか。お忙しいんですか?」(質問のパス)
相手:「そうなんです、プロジェクトが佳境..」
このように、相手が投げたボールを「そうなんですね」と受け止め、「それってどういうことですか?」と優しく投げ返してみましょう。そして、もし上手く質問が思い浮かばない時は、相手の言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」だけで大丈夫。無理にボールを投げ返そうとしなくても、「あなたのボールをしっかり胸元でキャッチしましたよ」という優しいサインになりますよ。
最後に
職場での雑談は、決してあなたの価値を測るテストではありません。 「沈黙が流れてもいい。相手の話に耳を傾けるだけで、自分は十分役割を果たしている」 そう自分に許可を出してあげてください。あなたが「話さなきゃ」というプレッシャーから、少しでも解放されることを心から願っています。
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