【女性が備える防災】災害時、生理や授乳はどうする?防災のプロに訊く女性が直面する問題と対策

【女性が備える防災】災害時、生理や授乳はどうする?防災のプロに訊く女性が直面する問題と対策
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竹田歩未
竹田歩未
2026-03-08

ある日、大災害が起きてしまったら——非常時の生活は誰にとっても大きな負担となりますが、特に女性ならではの不安やリスクが存在することを想像したことはありますか?インフラが十分に機能していない環境では、生理や授乳など、女性特有の困難に直面する場面が少なくありません。そこで今回は、防災の専門家・国崎信江先生にお話を伺い、災害時に女性が身を守るための具体的な行動や、今日から備えておきたい防災グッズについて考えます。

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女性一人の避難所生活は仲間づくりから

ーーー避難所で、女性特有のプライバシーや安全面の問題にはどのようなものがありますか?過去に起こった事例を交えて教えていただきたいです。

国崎先生:災害が起きた後、時期によって問題は変わってきます。まず発生直後に直面する困難としては、情報が入ってこないこと、そして話し相手がいないこと。こうなると、ただでさえ非常事態なのに、誰に頼っていいのか分からず、不安が募ります。

そこで、もし女性が一人で避難所に行く場合、境遇が似ている女性に声をかけてみてください。勇気を出して「お一人ですか?私も一人なんです。もしよければ一緒に行動しませんか?」などと声をかけてみて、3人以上のグループを作って共に行動するのが良いですね。2人だけだと後に気まずくなったり、意見が食い違ってぶつかることがあるので。このようなグループを作っておくと、一人で過ごすよりも圧倒的に精神面・安全面での不安が拭えます。

やがて、災害発生からしばらく経つとグループを作っていて良かったと感じる瞬間が出てきます。例えば、夜に真っ暗になる中で、見知らぬ人たちと雑魚寝するとき。単純に怖くて眠れなかったり、誰かに身体を触られたりする危険性もあります。そんな時に、日中に一緒に行動している人たちと同じエリアに寝床を寄せられるなら、それだけでも安心材料になりますよね。もし仲間ができなかったとしても、家族連れの隣などできる限り安全な位置を見つけて、周りに男性しかいない状況を避けるのがベターです。

災害時の性暴力リスクと女性の安全対策

ーーー災害時は性犯罪が起こりやすいと言われますが、そのようなリスクに対して個人でできる対策はありますか?

国崎先生:避難所のような閉鎖空間では性犯罪などの身の危険を感じるような場面が増える傾向があります。そこで意識して欲しいのは、少しでもリスクを感じたならばとにかく逃げること。単純ですが、これは生きていく上で一番大事な行動。少しでも不審に感じることがあればその場から離れ、決して近づかないことです。

ーーー普段穏やかな方も、非常時には豹変して性犯罪を起こしてしまう...というようなケースを耳にしたことがあります。そのような危険な人物を判断する方法はありますか?

国崎先生:災害時のような極限状態では、どうしても人の利己的な部分が表に出やすくなります。それが豹変なのか、もともと心の奥にあったものが表面化したのかは分かりませんが、少なくとも人間は心に余裕がなくなると他人に対して寛容にはなれないのは確かだと思います。実際、普段はペットを連れてニコニコ散歩していた男性が、避難所生活の中で赤ちゃんが泣いただけで「うるさい!赤ん坊を外に出せ。」と怒鳴っている光景を目の当たりにしてショックを受けたという人もいます。

ーーーでは、もし自分に対して危害を加えそうな人物に出会ってしまったら、どのように対処するべきでしょうか?

国崎先生:そういう人に出会ってしまったときって、何かしら感じるものがあると思うんです。過度な視線を送ってきて、こちらが視線をやると必ず目が合うとか、やたらと親切にしてきて物理的に近づこうとしてくるとか。あとは、イライラしていてやたらと怒りっぽいとか。どこかおかしい、何となく嫌だなと察知したら、むやみに近づかずに離れることが大事です。

そして、第三者と連携を図ることも重要です。多くの方は、周囲に助けを求めるべき状況でも一人で我慢してしまいがち。ですが、このような非常時は遠慮せずにSOSを発信するべきです。

そのほかに、仲間を作って複数人で行動するのも有効です。自分一人で行動していると、咄嗟に対処できなかったり無意識に我慢してしまったりする場合がありますが、仲間がいると「ちょっとあの人怖くない?」というように警戒し合えるので心強いと思います。

授乳中ママが知っておきたい災害時のリアルと対策

ーーー避難所生活において、女性ならではの悩みはありますか?

国崎先生:近年の熊本地震や能登半島地震の被災地で目にした光景の中で印象的だったのは、授乳スペースの不足です。私が訪れた避難所には授乳スペースが設置されてはいたのですが、人が多すぎるためにスペースが十分では無く、結果的に周りに大勢の人が行き交う廊下に座って授乳している方が見受けられました。

ーーーそのような場合、どのように対処すれば良いでしょうか?何か備えておいた方が良いものはありますか?

国崎先生:羽織れるサイズのショールを持っておくと、万が一授乳スペースが無くても身体を隠せるので便利です。授乳中の方に限らず、女性はショールを一枚持っていれば寒さ対策や着替え時の目隠しとしても使えるので、避難所での生活において非常に便利です。ブランケットだと分厚くて持ち歩きづらいですが、薄手のショールなら普段使っているバッグに丸めて入れておきやすいかと思います。

ショール
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女性の生理用品は避難所に届きにくい?

ーーー女性ならではの悩みとして、避難所では生理用品が不足するというニュースを見たことがありますが、そのような事例はありますか?

国崎先生:確かに生理用品は支援物資として届きにくい傾向があります。車があれば少し遠くのお店まで買いに行くこともできますが、それでも必ず購入できるとは限りません。それに、生理用品は個々の好みや使い慣れた商品があると思うので、やはり自分の好きなものを用意しておくのがベストだと思います。もし、生理用ナプキンではなく月経カップの方が使い慣れている方なら、水道やガスが復旧していない中でどのように煮沸消毒するのかなども含めて想定しておくこと。煮沸はできなくても、代わりに除菌シートで衛生面のお手入れをするなど、具体的に用意しておくのが大切です。そして、生理用品に限らず、基本的に第三者は災害時の対処方法を考えてくれないということを頭に入れて準備をしておくのが良いと思います。

ーーーでは、避難所での生活を余儀なくされる場合、生理用品はどのぐらいの日数分を用意しておけばいいのでしょうか?

国崎先生:一回の生理期間に必要な分をまとめておくのがよいと思います。ただ、被災による強いストレスが影響して生理周期が乱れるケースもあります。生理が一ヶ月に二回来たり、一度始まったのに途中で止まって、しばらくして再開したり、普段では想像できないことが起こり得ることも考慮しておくと良いでしょう。

プロフィール:国崎信江さん

危機管理教育研究所代表 危機管理アドバイザー

横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、国や自治体の防災関連の委員を務める。現在はテレビ、新聞などで情報提供を行う。著書・関連図書多数。

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