友情結婚も恋愛結婚も同じだった。うまくいく夫婦・破綻する夫婦を分ける「決定的な違い」とは
結婚生活を長く続けていくために、何が大切なのでしょうか。友情結婚専門の結婚相談所「カラーズ」を運営し、自身も結婚・出産を経験した中村光沙さんは、「とにかくコミュニケーション」だと語ります。恋愛感情の有無にかかわらず、話し合える関係性を築けるかどうかが夫婦関係の鍵になるという指摘は、すべての結婚に通じるものかもしれません。『恋愛・セックスはいらない「友情結婚」新しい結婚の選択肢』(幻冬舎メディアコンサルティング)著者の中村さんに、うまくいく夫婦の共通点や新しいパートナーシップの形について伺いました。
うまくいく夫婦の共通点
——「友情結婚」と「恋愛結婚」の共通点と違いについて教えてください。
違いとしてはまず「入口」ですね。恋愛結婚は入口に恋愛感情がありますが、友情結婚にはありません。結婚生活が始まってからも、恋愛感情や性的関係がなく、スキンシップもほぼないというカップルが多い。それ以外は夫婦によって違うので、共通点を挙げるのは難しいと思っています。
ただ、友情結婚か恋愛結婚か、お見合い結婚か関係なく、うまくいっている夫婦の共通点・うまくいっていない夫婦の共通点みたいなものはあるのではないかと感じています。
私は結婚して夫との関係がうまくいっている方だと思うんです。なぜかというと、カラーズを立ち上げて、結婚に何が必要かをお客さんに提供している側として、自分も実践して結婚しているからです。
——うまくいく夫婦関係を築くためのコツとはどんなことでしょうか?
とにかくコミュニケーションです。今年から成婚者さん向けに夫婦のコミュニケーションアップ講座を始めました。過去に成婚者さんが作った家族会議シートをカラーズ用に少し修正して、スタッフ間で試すことになったのですが、私以外のスタッフは夫と実践できなかったんです。
理由を聞いたら、あるスタッフは「社長に言われたからやろう」と夫に言ったら、「僕、君に何も文句ないよ。やる意味ある?」と返されたとのこと。そもそも彼女は「やったら喧嘩になるだろうな」と思っていたと話していました。別のスタッフは絶対に喧嘩になると思って、言い出せなかったそうです。ちなみに2組とも恋愛結婚の夫婦です。
——恋愛結婚していても、言いたいことが言えないということでしょうか?
「恋愛感情や好きという気持ち」で大事な部分をうやむやにしてきてしまったからだと思います。感情で繋がっている分、あえて言葉にしなくても、とコミュニケーションをサボってしまいがちなんですよね。その結果、いざ話し合おうとしても、「今さら何?」と、話し合いの場を持つのが難しくなってしまうんです。
私と夫は定期的に話し合っているし、協力体制を取っています。うちの場合、夫に提案したら「いいよ」と。うちは子どももいますが、時間を見つけて10分話し合って、お互いに意見を出し合いました。お互いに言いたいことを言って、相手の考えていることを確認できてすごく良かったので、友情結婚に限らず、結婚に必要なことだと感じました。
——結婚の始まり方に関係なく、話し合いはとても大切だとわかりました。
「話し合いたい」と思ったとき、それまでに話し合っていなかったら、突然話し合いをしようと思ってもできないんです。だから話し合うことは、関係を築く入口から本当に重要だと思います。話し合える関係性を作ってから結婚していないので、破綻する夫婦が多いのではないでしょうか。
私自身、カラーズを立ち上げずに、過去の恋愛の価値観で結婚していたら、もう離婚していただろうと思います。夫とは「話し合いができること」が最大の決め手となり、彼となら結婚生活を維持できると思って結婚しました。
——嫌われるのが怖くて言いたいことが言えないという女性も多いですよね。
立場が弱いからですよね。win-winの関係を築いていく必要があります。カラーズでは専業主婦希望という女性に、「専業主婦はリスクが高い」とお伝えしています。経済的に自立していないと、「嫌われたら、捨てられたら」と立場が弱くなり、言いたいことや言う必要のあることが言えなくなるんです。
対等性とは経済的なことに限らないので、年収の差があっても他で補って夫婦の関係として対等という形はあります。でも「嫌われるのが怖いから言えない」というのは、自分が劣っていると思っているのではないでしょうか。その意識を変えていかなければなりません。
最近は「同格婚」という言葉ができているぐらい、恋愛結婚でも同格を選ぶ人が増えてきています。特に友情結婚は最初から男性が女性に年収を求めていて、自立していなかったら選ばれません。
以前は結婚に興味がなかった
——中村さんは以前は結婚に興味がなかったそうですが、現在は結婚してお子さんもいらっしゃるとのことで、どう考えが変化したのでしょうか?
カラーズを始めようとしたのが20代後半で、29歳で立ち上げたのですが、当時は仕事が楽しくて、結婚するイメージがありませんでした。周りからは結婚生活の大変さも聞いていましたし、「自分にとっての幸せは、まずは自分で自分の人生の基盤を作りたい」という思いが強かったんです。なので、いわゆる一般的な結婚に対する憧れは、人より薄かったかもしれません。
考えが変わったのは、結婚しなくても経済的には困らないような少し年上のバリキャリの女性たちと面談したときです。「これまで興味はなかったけれど、子どもを産みたくなった」「今はよくても老後で1人はさすがに寂しい」と聞いて、そういう考えがあることを知りました。
「私も考えが変わるかもしれない」と思い、本当に老後にこのまま一人でいいのだろうか?と真剣に考え始めたんです。結婚する選択があったのに選ばなかったら後悔するだろう、結婚してみてダメだったら仕方ないけれど、ダメにならないよう努力してみようと思って、周りに「今から婚活します」と宣言したら、「この人いいじゃん」と周囲に言われた人が夫です。
焼き鳥屋さんの常連同士で飲み友達だったんです。お互い求める条件も一致して、「まだそこまで好きじゃないけれど、付き合ってみる?」から始めました。
——そこから恋愛感情が生まれたのですか?
最初から「結婚する人」として見ているので、過去に経験した恋愛感情とは違います。恋愛感情も自分の中に生じるものであって、客観的な比較も定義もないですよね。だから明確には恋愛感情と呼ぶかはわからなかったですが、過去の恋愛と明らかに違ったのは、夫に対しては信頼と安心感があったことです。
始まりは恋愛感情ではないですが、付き合い始めてからは恋愛的な感情も抱くので、良い関係を保てていると思います。
——過去の恋愛はジェットコースターのようなものだったのでしょうか?
20代前半までは、会っていないと不安で、何をしているかいつも気になっていて、いつでも連絡したいという感じでした。でも夫とは付き合ってすぐに夫が北海道に転勤で遠距離になったのですが、全然安心でした。
「逆に遠距離だから良かったんじゃない?」と話しています。遠距離だからこそオンラインで話すことが多かったんです。夫の移動時間が長いので、移動中にいろいろな条件や価値観を確認したのですが、その時間を通じて話し合える関係性を築くことができました。
私は何十年も一緒にいる人は、ジェットコースターよりフラットな関係の方が日々の生活として安定するのではないかと思います。夫には信頼しかないので、女性と2人で飲みに行っても不安にならないですね。
結婚制度にこだわらないパートナーシップの形
——結婚制度にこだわらない新しいパートナーシップの提案もされているのですよね。
カラーズに相談に来られる方の中でも、男性の場合、結婚と子どもをセットで考えている方が多いのですが、女性の場合、2人に1人は子どもが欲しくないのではないかと迷っていました。
「本当に結婚したいですか?」と聞くと、「別に結婚でなくてもよくて、将来1人になるのが不安なんです」とおっしゃるんです。理想として阿佐ヶ谷姉妹のような関係性を挙げる方が多い。
仕事をバリバリしたい女性で、パートナーは欲しくても子どもは欲しくないと考える人は少なくありません。そういう女性たちが生涯のパートナーを得られないなんてもったいない。
結婚制度や子どもを必要としなくても信頼できる生涯のパートナーを見つけられる場として、マッチングコミュニティアプリ「FrieMa+(フレマ)」を開発しました。
現在はマッチングアプリっぽいものとなっているのですが、新しいパートナーシップの形を求める方たちが、助け合ったり協力し合ったりできる生涯の友達を見つけられる場になったらいいのではないかと考え、SNSのようなものにシフトしていっています。
【プロフィール】
中村光沙(なかむら・ありさ)
株式会社COLORUS81代表取締役。
1985年、徳島県生まれ。中学卒業後、両親とともにアメリカへ移住。ニューヨークのパーソンズ美術大学でデザインを学び、卒業後は現地のパタンナーとしてキャリアをスタート。2010年に帰国後、外資系企業に勤務。日本で働く中で、ニューヨークではLGBTQ当事者がオープンにごく自然に社会に溶け込んで生活しているのに対し、日本ではその姿が見えにくいという現実に衝撃を受ける。そんな折、「友情結婚」という言葉に出会う。
2015年に友情結婚専門の結婚相談所「カラーズ」を設立。これまでに4000人以上の相談を受け、300組以上の成婚をサポートしている。
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