『仕事中のガム、実は正解だった!』集中力とストレスに効く理由が最新研究で判明

『仕事中のガム、実は正解だった!』集中力とストレスに効く理由が最新研究で判明
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山口華恵
山口華恵
2026-01-23

栄養価はほぼゼロのガムを、人類が何千年も手放さなかった背景には、脳に起こるある反応があるという。最新の研究から、「噛む」という行為が私たちの集中力や気持ちの状態と静かに結びついていることが見えてきた。

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栄養はゼロでも、人は何千年もガムを噛み続けてきた

仕事中や勉強中、無意識にガムを噛んでいる人は少なくない。口臭対策や眠気覚ましのイメージが強いガムだが、栄養価はほぼゼロ。それでも人類は、驚くほど長い歴史の中で「噛む」習慣を手放してこなかった。約8000年前の北欧では、樹皮由来の樹脂を噛んで柔らかくし、道具作りの接着剤として利用していたという。古代ギリシャやマヤ文明、ネイティブアメリカンの社会でも、樹脂を噛む行為は確認されている。近代に入り、ガムを日常の習慣へと定着させたのが、アメリカの実業家ウィリアム・リグレー・ジュニアだ。20世紀初頭、彼はガムを「神経を落ち着かせ、集中力を高めるもの」として売り出した。1916年には「心配事があるならガムを噛め」「眠れないならガムを噛め」と勧める記事まで登場している。当時、科学的根拠は乏しかったものの、ガムが“気持ちを整える存在”として受け止められてきたことは確かだ。

脳画像研究が示した「噛む」という行為の意外な効果

その感覚を裏付ける結果が、近年の脳科学研究から明らかになっている。2025年、ポーランドのシュチェチン大学の研究チームは、MRIや脳波(EEG)、近赤外分光法などを用いた30年以上にわたる脳画像研究を総合的に分析した。分析の結果、ガムを噛むことで、顎を動かすための運動野や感覚野だけでなく、注意力や覚醒、感情のコントロールに関わる脳領域が活性化することが分かった。脳波のデータでは、集中力が高まりつつ、過度に緊張していない状態、いわば「リラックスした集中」を示す変化も確認されている。興味深いのは、味や香りが弱くなった後も、こうした脳の反応が見られるケースがある点だ。ガムの成分ではなく、「噛む」というリズムある動作そのものが、脳に刺激を与えていると考えられている。ガムは単なる嗜好品ではなく、脳の状態に働きかける行為として注目され始めている。

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仕事中にこそ実感しやすい、集中力とストレス軽減のメリット

この脳の変化は、日常生活の中でも実感しやすい。研究では、暗算や人前で話すといった軽度のストレスを伴う課題において、ガムを噛んだ人のほうが、噛まなかった人より不安感が低いと感じる傾向が報告されている。単調な作業や長時間のデスクワークなど、集中力が落ちやすい場面では、注意を維持しやすくなるという。一方で、記憶力が大きく向上するわけではなく、効果は一時的なものにとどまることが多い。ただ、「気持ちを切り替えやすい」「作業に入りやすい」「緊張が和らぐ」といった変化は、仕事や勉強の効率を考えれば十分に価値がある。会議前や締め切り前に、無意識にガムを噛みたくなる行動も、脳の自然な反応と言えるかもしれない。さらに、シュガーフリーガムであれば、唾液の分泌を促し、口腔内を清潔に保つ効果も期待できる。集中力やストレスへの作用と合わせて考えると、仕事中のガムは必ずしも悪い習慣ではなく、むしろ合理的な行動と捉えることもできそうだ。栄養はなくても、何千年も続いてきた「噛む」という行為。ガムは今、集中力とストレスを一時的に整える、手軽で身近なセルフケアとして、あらためて評価されている。

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出典:

Chewing gum has no nutrition, but scientists say it does something unexpected to your brain

Study reveals why chewing gum might actually help with focus and stress relief

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