骨には異常なし。でも親指が痛いのは『テキストサム症候群』かも?意外な原因は|医師が解説
スマホを片手で操作している人は思い当たる節があるかもしれません。親指だけに覚える違和感や痛み、その原因や症状の軽減について医師が解説します。
レントゲンでは問題なし。でも親指がズキッと痛む…その正体は?
「骨折でもないし、腱鞘炎とも言われなかった。でも親指だけやたら痛いんだよなぁ…」
そんな“謎の親指痛”で病院に来る人、最近ほんとに増えています。
その原因として広く知られはじめたのが“テキストサム症候群(Text Thumb Syndrome)”。
ざっくり言うと、スマホでの“親指の酷使”によるオーバーユース(使いすぎ)障害です。
長時間のスクロール、フリック入力、ゲーム操作など、親指だけに負担を集中させる使い方を続けていると、骨に異常がなくても——実際レントゲンはきれいなのに——じわじわと痛みや違和感が出てきます。
「歩くよりスマホ触ってる時間の方が長いかも…」という現代の生活。
その積み重ねが、まさに“スマホ疲労”として指先に現れてしまうんですね。
なぜ親指だけが痛くなる? 小さな筋肉に“無理させすぎ”が原因
親指が痛む理由は色々ありますが、テキストサム症候群の基本構造はシンプルです。
① 親指の付け根(母指CM関節)に負担が集中する
スマホを片手で支えながら親指だけで操作すると、その付け根にねじる力・押す力がずっとかかり続けます。この関節はもともと繊細なので、疲れが出ると真っ先に痛む場所。
② 腱や筋肉が炎症を起こしやすい
“腱鞘炎っぽいけど、そこまで腫れてはいない”という微妙なライン。使いすぎによって腱がこわばり、動かした時にズキッときます。
③ 休むヒマがない
問題はここ。スマホは家でも外でも常に使えるので、痛みが出ても休むタイミングがなく、気づくと慢性化している…という流れになりがちです。
実際、ある20代の女性は「ゲームとSNSで1日5〜6時間は親指だけ動かしてたかも…」と振り返っていました。親指をかばうようにしたら数日で痛みが軽くなり、「あ、これ使いすぎだったんだ」と実感したそうです。
レントゲンで“異常なし”と言われても、痛みの正体は“機械的な使いすぎ”というケースがほとんどです。
痛みを減らすコツ
親指を休ませ、負担のかからない使い方をつくる
テキストサム症候群は、きちんとケアすれば改善しやすいタイプの不調です。
①まずは“親指を休ませる”期間をつくる
- 片手持ちをやめる
- 親指操作を最小限にする
- キーボード入力に切り替える
痛みが強いときはできれば1週間ほど、負担をとにかく減らすこと。
② スマホの持ち方を見直す
- 両手で持つ
- 片手なら、親指ではなく“人差し指で操作”
- スマホリングをつけて安定させる
この3つだけでも痛みの頻度がかなり変わります。
③ 親指まわりのストレッチ
- 親指をゆっくり外側に広げる
- 指の付け根を軽くマッサージ
固まった腱の負担が抜けて、動かすときの痛みが軽減しやすいです。
④ 冷やす or 温める
- 炎症っぽく赤い・熱い → 冷やす
- こわばって動きにくい → 温める
という基本ルールを目安に。
無理して使い続けるほど回復が遅くなるので、“痛くない使い方を探す”のが一番の近道です。
まとめ
・レントゲン異常なしでも、親指の痛みは“使いすぎ障害”で起こる
・スマホのスクロール・フリック・ゲームが原因となりやすい
・母指の付け根に負担が集中して炎症やこわばりが起きる
・親指を休ませる、持ち方を変える、ストレッチすることで改善が期待できる
痛みは“壊れている”サインというより、「ちょっと働きすぎじゃない?」という体からのメッセージ。スマホの時代だからこそ、指先にもひと息つかせてあげたいですね。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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