【意識を変えるだけ】タイピングのし過ぎによる腱鞘炎の予防に!パソコン作業で手首が痛くならない方法
慢性的に体のどこかが痛いと不調を抱えているものの、「そういうものだ」と諦めていませんか? でもその不調が、習慣的に行なっている無意識な動作と「こうしなければならない」といった思い込みによるものだとしたらどうでしょう? 意識的な体の使い方を模索するアレクサンダー・テクニークを実践している筆者が、痛みや違和感といった体の「負」とその根底にある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察します。9回目のテーマは「パソコン作業で手首が痛い」です。
パソコン作業での腱鞘炎はタイピングは指を動かすという思い込み
近年、パソコン作業による腱鞘炎が殖えているようです。腱鞘炎とは手を使い過ぎて手首が痛くなったり、指が曲がったまま伸びづらくなったりする症状のこと。以前は楽器の演奏者やアスリートなどの手を酷使する人に多かったようですが、パソコンで作業をすることが当たり前となった現代では、誰もが腱鞘炎になる危険性をはらんでいます。
皆さんは、タイピングとは指を動かす動作だと思っていませんか? ひょっとしたらその思い込みが、腱鞘炎の要因となり得るかもしれません。
指を動かそうとすると手首や肘が固まる
タイピングに必要な動きが指運びだと思うと、指だけを動かすことに意識がいき過ぎてしまいます。すると、指と胴体をつなげている腕のの他の部分(手首、肘、肩、鎖骨)が忘れられて、過剰に力み、一定の位置に固定されてしまいます。
特に手首はまっすぐか、若干反らせた伸展で固めていることが多いようです。指を動かす筋肉は肘の方から付着しているため、手首を固めれば指は動きにくくなります。つまり、動きにくい状態で無理に指を動かそうとしているのです。さらにその状態で、端にあるキーを打とうと小指を外側に広げようとするなら、伸展に尺屈(手首を小指側に曲げること)が加わり、手首に負担がかかります。
また、手根骨の辺り(てのひらの下の部分)を押し付けるようにして、腕をてのひらの下で支えながらタイピングをする習慣がある場合は、手首への負荷がより増すことになるでしょう。
手首は曲がることができると思いながら腕全体でタイピング
指を含む腕は鎖骨から始まっています。だから、タイピングで指を動かせば手首はもとより、肘も肩も鎖骨も動くものです。そこで腕全体で動くつもりでタイピングしてみてはいかがでしょう。
1. 次のことを左右で行ないましょう。
・片手を胸鎖関節に当て、もう一方の腕を動かして、腕は鎖骨から始まっていることを確認
・手首を曲げる(手首の屈曲)
・手首を曲げたままブラブラと手を振る(手首の橈屈・尺屈/肘の回内・回外)
・肘を曲げたり伸ばしたりする(肘の屈曲・伸展)
・腕を上げたり下げたりする(肩と鎖骨が動く)
2. そして「手首は曲がることができる、指に連れられて手首や肘、肩、鎖骨も動く」と思いながらタイピングする
タイピングの間中、2. のことを思い続ける必要はありません。手首に負担がかかっているなと思ったときに思い出すだけでも十分です。ちょっと考え方を変えるだけでパソコン作業が楽になるお得な方法なので、ぜひ試しください。
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
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