【歩くときに股関節に詰まりや痛みを感じたら】意識するだけ!股関節の可動性が変わる「歩き方ヒント」

 【歩くときに股関節に詰まりや痛みを感じたら】意識するだけ!股関節の可動性が変わる「歩き方ヒント」
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私たちの日常は様々な思い込みで溢れています。特に意識をしているつもりはなくても、潜在意識下で「〜でなければ」「〜しないようにしよう」といった思い込みがあり、それらに縛られて行動していることが多いです。巡りめぐって、思い込みによる肉体的な縛りが痛みなどの体の「負」になっているとしたら、私たちは実は損な生き方をしているのかもしれません。 そこで、体を効率的に使うアレクサンダーテクニークとヨガの実践者が、思い込みが体にどんな影響をもたらすのかを解剖学的な視点から考察します。

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股関節に違和感を感じるのは…“良い”姿勢でいようとするから、理由は?

歩いているときなどに、股関節が詰まっているような、あるいは鈍い痛みのような違和感を感じるという人は多いと思います。股関節は胴体と脚をつなぐ、最も大きな関節です。下を向けばすぐに目に入る場所であるために注目もしやすく、何かおかしいと一度感じてしまえば、気になって仕方がなくなるでしょう。

脚の付け根の辺りを揉んだり、片脚を後ろに引いてストレッチしたり、逆にお尻の方をストレッチしたりと応急処置を施してはみるものの、いずれ同じような違和感を感じる…の繰り返しになっているのではないでしょうか。ところが股関節での問題の原因は、股関節よりも上の胴体にあることも考えられます。

例えば歩くときに、「“良い”姿勢でいよう」「胸を張って堂々としなければ」というようなことを思っていませんか?

“良い”姿勢を思うと上半身を反らせて股関節で踏ん張る

“良い”姿勢やそれに伴った胸を張った姿をイメージすると、肩甲骨を背中の中央に寄せ、肩を後ろに引くという動きが起こります。それによって胸椎が腕よりも前に押し出されてバランスが崩れ、それを補おうと腰椎が余計に伸展し、骨盤も前傾の度合いが増します。つまり、上半身を反らせる状態になるわけです。

さらに股関節では伸展が起こり、大きくは動けないように可動域に制限がかかります。そのまま無理に脚を動かそうとすれば、股関節に過剰な負荷がかかることになります。歩いていて股関節に違和感を感じるのは、「上半身を反らせたまま股関節で踏ん張っているよ」という肉体からのSOSなのです。

“良い”姿勢で歩く
illustration by Mia Hotaka

「頭や腕が胴体を連れていってくれる」と思って歩こう

そこで、「“良い”姿勢でいよう」「胸を張って堂々としなければ」といった思いは一旦、脇へ置いて、次のように思考を変えたらどうなるでしょう。

①「頭は脊椎の先にあって、胴体から離れていく」
②「腕は胴体の真横よりも前にある」

このように思考を変えるだけで、脊椎が本来のカーブを取り戻し、背中の強張りがなくなります。背すじが伸びたような感じがすることもあります。後ろに引いていた肩や腕も、無理のないところでスムーズに動いてくれるでしょう。そして次のように思って歩いてみてください。

③「頭や腕が胴体を連れていってくれる」

頭や腕が胴体を連れていってくれると思って歩く
illustration by Mia Hotaka

歩き慣れた“良い”姿勢のときと比べると、背中が丸くなって前のめりで歩いているような気がするかもしれません。でも、“良い”姿勢で歩くことや股関節の問題を何とかしようといった思考から切り離した方が、足運びが軽くなり、スピードも上がるはず。何よりも、股関節にはこんなにも可動性があったんだと実感できると思います。

股関節が気になるときこそ、頭や腕のことを意識してみてくださいね。

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AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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