世界の長寿地域「ブルーゾーン」・アメリカに長寿の街が存在?カリフォルニアの小都市に学ぶ長寿の秘訣
ファストフード文化の中心地ともいえるアメリカにおいても、平均寿命が際立って長い街がある。カリフォルニア州南部の小都市ロマリンダだ。人口わずか2万5千人ほどのこの街は、世界に5カ所しかない「ブルーゾーン(長寿地域)」のひとつに数えられている。なぜ例外的に健康と長寿を実現できているのだろうか?
「ブルーゾーン」とは?
ブルーゾーンとは、世界でも特に長寿の人が多い地域を指す。研究者ダン・ビュイトナー氏らによって提唱され、イタリアのサルデーニャ島、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ半島、そしてアメリカ唯一の都市ロマリンダが指定されている。そこに暮らす人々の食習慣や生活文化は、健康長寿の秘密として世界的に注目されている。
街に根づいた健康的なライフスタイル
アメリカは世界的に見ても肥満率が高く、ファストフードや加工食品に依存した食生活が大きな要因とされている。その一方で、米カリフォルニア州の小都市ロマリンダの住民は全米平均より7〜10年も長生きし、心臓病や糖尿病の発症率も低い。違いを生み出しているのは、住民の多くが属するプロテスタント系の一派「セブンスデー・アドベンチスト」の価値観だ。彼らは「体を神からの贈り物と考え、大切に扱う」という思想を持ち、それが日常の習慣として浸透している。特徴的なのは、宗教的な儀式よりも「健康的な暮らし方」そのものが文化として根づいている点だ。
植物性食品が主役の食卓
ロマリンダの食卓には、豆料理や全粒穀物、ナッツが並ぶ。赤身肉や加工肉はほとんど食べず、野菜を豊富に摂る植物性食品が中心だ。大規模な疫学研究でも、菜食中心の生活を送る人々ほど心臓病やがんのリスクが低いことが示されている。ロマリンダ出身の栄養士のエリザ・チェン氏も、ロマリンダの暮らしを体現するひとりだ。彼女は「健康はキッチンから始まります。朝は常温の水で体をやさしく体を目覚め、おやつにはナッツで良質な脂質とタンパク質を補います。食事は“半分野菜・半分タンパク質”のバランスを意識しています」と語る。どれも特別な食材や調理法を必要とせず、今日からすぐに取り入れられる習慣だ。また、飲酒や喫煙を避けることで、依存症や生活習慣病のリスクも自然と避けている。
「休む時間」と「つながり」がもたらす力
そして休みの日は、仕事から離れて家族や仲間と過ごす時間を持ち、心身を休める。この“シンプルな習慣”こそが、街全体の健康意識を自然に底上げしているようだ。自然の中を散歩したり、家族と食卓を囲んだりする時間はストレスを和らげ、心の安定につながる。また、強いコミュニティ意識によって孤立を防ぎ、互いを支え合う文化が根づいている。研究でも、人とのつながりがあるほど寿命が延びることが明らかになっており、これはブルーゾーン共通の条件のひとつだ。
「長寿の秘訣」は日々の暮らしの中にある
アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、ロマリンダ住民を対象に長期的な調査を行ってきた。その結果、菜食中心の食生活、禁酒・禁煙、そしてコミュニティとのつながりが、生活習慣病のリスクを大きく下げることが証明されている。ロマリンダの暮らしをそのまま真似するのは難しくても取り入れられるヒントは多い。小さな積み重ねこそが、人生の質を大きく変える力を持っている。「長寿の秘訣」は日々の暮らしの中にこそあるのかもしれない。
ロマリンダ流長生きのための暮らしのヒント
- 野菜や豆類、ナッツを毎日の食事に加える
- 加工食品や肉を控えめにする
- 意識的に休息を取り、心身をリセットする
- 家族や友人との時間を大切にする
出典:
Lessons of Longevity: Discover why a small California city is the healthiest place in the country
5 Habits That Help the World’s Longest-Living People Stay Happy and Healthy
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