「週明けに体がだるい・眠れない」それ、“プレゼンティーズム”のサインかも?医師が解説

「週明けに体がだるい・眠れない」それ、“プレゼンティーズム”のサインかも?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-08-19

週明けの朝、目覚まし時計が鳴ってもなかなか起き上がれない。体がだるくて、仕事に集中できない。前夜、明日からの仕事のことを考えると、なぜか寝付けない。そんな経験はありませんか?もしかしたら、それは、プレゼンティーズムという状態かもしれません。医師が解説します。

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「週明けに体がだるい・眠れない」それ、“プレゼンティーズム”のサインかも?

プレゼンティーズムという言葉を初めて耳にする人も多いかもしれません。

これは、「会社には出勤しているものの、心身の不調によってパフォーマンスが低下している状態」を指します。

「仕事に行きたくない」という気持ちからくる体の不調は、多くの人が経験することかもしれませんが、その状態が慢性化すると、単なるモチベーションの問題ではなく、心身の健康を損なうことにもつながりかねません。

プレゼンティーズムは、本人も自覚しにくい厄介なものです。

たとえば、「今日はちょっと気分が乗らないな」「体が重いな」と感じながらも、会社には行く、残業するが、なぜか仕事がはかどらないなどの状態が続いているとしたら、それはプレゼンティーズムのサインかもしれません。

プレゼンティーズムの主なサインを以下に列挙します。

集中力の低下
普段なら簡単にできる作業に時間がかかったり、ケアレスミスが増えたりする。

慢性的な疲労感
十分な睡眠をとっているはずなのに、常に体がだるい、重いと感じる。

睡眠の質の悪化
寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたりする。

身体的な不調
頭痛や肩こり、腰痛、胃の不快感などが続く。

モチベーションの低下
仕事に対して意欲が湧かず、何事にもやる気が出ない。

これらの症状は、心身のSOSといってもいいでしょう。

症状を放置すると、本格的なメンタルヘルス不調につながることもあります。

特に、「週明け」に症状が強く出る場合は、週末に心身を休められていない可能性や、仕事へのストレスが原因で週末もリラックスできていない可能性があります。

週明け
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プレゼンティーズムの原因は多岐にわたりますが、主に以下の3つが考えられます。

1、過度なストレス
仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、長時間労働などが原因で、心身が常に緊張状態にある。

2、ワーク・ライフ・バランスの崩壊
仕事とプライベートの区別がつかなくなり、リフレッシュする時間が取れない。

3、睡眠不足や不規則な生活
慢性的な睡眠不足や、不規則な食生活によって、自律神経のバランスが乱れている。

これらの原因が複合的に絡み合い、プレゼンティーズムを引き起こしていることがほとんどです。

 “プレゼンティーズム”の対処法とは?

プレゼンティーズムは、早期に対処することで改善が期待できます。

以下に、すぐに実践できる対処法をいくつか紹介します。

睡眠の質を見直す

睡眠は、心身の回復に欠かせません。

質の良い睡眠をとるために、就寝前のリラックスタイムを持ち、入浴やストレッチ、読書など、自分に合った方法でリラックスする時間を作りましょう。

寝室環境の整備が大切で、枕や布団、室温、湿度など、心地よく眠れる環境を整える、あるいは就寝1〜2時間前にはスマホやパソコンの使用を控えましょう。

適度な運動を取り入れる

体を動かすことは、ストレス解消に効果的であり、運動をすることで、心身の緊張がほぐれ、気分転換にもなります。

通勤時にひと駅歩く、休日を利用して近所を散歩する、軽いジョギングをする、デスクワークの合間や寝る前に、簡単なストレッチをするだけでも効果があります。

オンとオフを切り替える習慣をつける

仕事とプライベートの時間をきっちり分けることが大切です。

仕事中に15分でもいいので、コーヒーを飲んだり、窓の外を眺めたりして、完全に仕事から離れる時間を作る、週末や休日などに仕事のことを考えない時間を作ることが大事です。

趣味に没頭したり、家族や友人と過ごしたりして、心からリフレッシュできる時間を作りましょう。

デジタルデトックスとして、仕事のメールやチャットを週末はチェックしないなど、デジタル機器から離れる時間を作ることも重要です。

誰かに相談する

一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちは軽くなります。

上司や同僚に働き方の相談や業務量の調整について話してみる、あるいは産業医やカウンセラーに相談してみることも検討しましょう。

まとめ

「週明けに体がだるい、眠れない」という状態は、多くの人が経験するかもしれません。

しかし、それが慢性化すると、プレゼンティーズムという心身の不調につながりかねません。

プレゼンティーズムは、放置すると仕事の生産性を下げるだけでなく、自身の健康を損なう危険な状態です。

もし、心当たりがある場合は、まずは自分の心と体に向き合い、小さなことからでもいいので、生活習慣を見直してみましょう。

一人で抱え込まず、周りの人に相談することも大切です。

心身ともに健康な状態で仕事に取り組むことが、充実した人生を送るための第一歩です。

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