「いつも漠然とした不安感がある」「何となく常に緊張している」→臨床心理士が教える、原因と対処法

 「いつも漠然とした不安感がある」「何となく常に緊張している」→臨床心理士が教える、原因と対処法
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佐藤セイ
佐藤セイ
2025-02-17

「いつも漠然とした不安感を抱いている」「何となく常に緊張している」とお困りではないですか?その不安感や緊張感の原因は心身の不調がもたらしているかもしれません。また、悪化すると「全般性不安障害」という疾患を引き起こすことも。今回は何となく不安感や緊張感があるときの原因や対処法について解説します。

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いつも不安感や緊張感があるのはなぜ?

「いつも不安感や緊張感がある」という状態には、次のような原因があるかもしれません。

一時的な身体の不調が原因かも

私たちは身体に不調をきたすと、ネガティブになる傾向があります。

例えば、お腹が痛いときにポジティブな考え方ができる人は多くありません。「変な病気じゃないか」「どんどん痛くなったらどうしよう」など、ネガティブな気分になってしまいがちです。

「いつも不安感や緊張感がある」という人は、「睡眠不足ではないか」「乱れた食生活が続いていないか」など身体に不調が隠れていないか確認してみましょう。

全般性不安障害の可能性も

全般性不安障害とは、日常生活のなかで漠然とした不安や心配をいつも抱えている状態です。

何らかの原因があって不安や心配を抱えることは誰にでもあることですが、全般性不安障害の方は理由なく不安や心配を抱えてしまいます。どれだけ「不安になる必要なんてない」「心配しなくても大丈夫だ」とわかっていても、どうしても不安・心配になってしまいます。

そして、毎日あらゆることに不安を感じるため、次第に心身の不調をきたし、毎日の活動にも影響を及ぼします。

全般性不安障害チェックリスト

全般性不安障害のチェックリストをご用意しました。

□少なくとも6ヶ月以上、色々な活動での不安や心配を抱えている

□気分が落ち着かない

□疲れやすい

□集中するのが難しい

□怒りっぽい

□筋肉がこわばっている

□睡眠に問題がある

当てはまる数が多いほど、全般性不安障害の可能性が高くなります。気になる人は、医療機関を受診してみましょう。

いつも生じる不安感・緊張感の対処法とは?

いつも不安感や緊張感を抱くときの4つの対処法をご紹介します。

規則正しい生活を送る

まずご紹介するのが「規則正しい生活を送る」こと。当たり前のことだと思われがちですが、実行できている人はそこまで多くないのではないでしょうか。

毎日の生活リズムが乱れていると、心身の調子を整える「自律神経」が乱れ、不安や緊張を招きます。不安や心配に悩まされている方は、よく寝て、よく食べ、よく運動する健康的な生活をしばらくの間続けてみましょう。

4・7・8呼吸法でリラックスする

「呼吸法」とは、腹式呼吸を行うことで、心身をリラックスした状態へと導く方法を指します。

特におすすめなのが「4・7・8呼吸法」と呼ばれるもの。次の手順で実施します。

【1】4秒かけて鼻から息を吸う

【2】7秒間、息を止める

【3】8秒かけて口から細く長く息を吐く

これを1セットとし、3〜4セットほど繰り返します。

認知行動療法で視野を広げる

認知行動療法とは、認知(≒思考)や行動を変えることで、感情にも変化をもたらす心理療法のこと。

例えば、「友達にメールを送ったが返事が来ない」という出来事に対し、「嫌われてしまったのではないか」という認知になると、「不安」「心配」などネガティブな感情にとらわれてしまいます。しかし、「今は忙しいのかな」「そのうち返信も来るさ」という認知であれば、ネガティブな感情は浮かびづらくなります。

認知行動療法では、不安や心配につながりにくい認知を思い浮かべる練習をすることで、いつも生じていた不安感や緊張感を和らげます。

薬物療法で不安や緊張を軽減する

全般性不安障害の場合、薬物療法という手段もあります。

よく用いられるのは「SSRI」というお薬です。即効性はなく、効き始めるまでに2週間ほどかかりますが、一度効き始めるとしっかりと不安や緊張を和らげてくれます。

また、漢方が用いられる場合もあります。

おわりに

いつも何となく不安感や緊張感がある人は、心身に何らかの不調を抱えている可能性があります。今回ご紹介した方法で、心と身体をリラックスさせてみてください。

不安や緊張が長引き、日常生活に支障をきたしている場合には、精神科や心療内科を受診してみましょう。

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