週4日勤務が“常識”に?週4日勤務で心も体も健やかに―国際調査が示す明確な効果
週4日勤務が従業員のメンタルヘルスと身体的健康に明確な好影響を及ぼすことが、6か国で行われた国際的なパイロット調査によって立証された。労働時間の削減は、従業員の満足度向上だけでなく、生産性の維持・向上にも役立ち、今後の働き方を大きく変える「ゲームチェンジャー」となる可能性が高い。
世界6か国、約2900人が参加した前例のない試み
今回の調査は、オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、イギリス、アメリカの6か国にある141社、計2900人以上の従業員を対象に実施された。各企業は給与を据え置いたまま、週5日勤務から週4日勤務、すなわち労働時間の20%削減を行った。導入前には2か月間にわたって業務効率化とチーム内連携の見直しを行い、準備が整った段階で6か月間の短縮勤務を本格実施。その結果、燃え尽き症候群の減少、睡眠障害の改善、心身の健康向上、そして仕事に対する満足度の上昇が明確に確認された。
減らすほどに効果あり!働く時間が短くなるとより健康に
調査では、労働時間を大きく削減した従業員ほど、心身の状態が良好であることが判明した。わずか数時間の削減でも、週5日勤務の比較グループと比べ、健康面・精神面ともに優れた結果が見られた。また、この効果は一時的なものではなかった。調査から1年が経過した時点でも、多くの企業が週4日勤務を継続しており、効果が薄れる兆しは一切なかった。業務パフォーマンスの低下も報告されておらず、短縮勤務は持続可能な働き方であることが証明された。
睡眠と疲労の改善がカギ 生産性も維持し、企業にとっても“得”
週4日勤務の恩恵は、単に時間が減ることにとどまらない。もっとも大きな変化は「睡眠の質の向上」と「慢性的疲労の軽減」である。ケンブリッジ大学の社会学者ブレンダン・バーチェル氏は、「質の高い睡眠は、身体的にも精神的にも、あらゆる健康指標を改善させる」と断言する。調査対象となった労働者は、週40時間勤務から32時間勤務へと移行しており、これはすでにオランダの平均労働時間とほぼ同等だ。EU全体でも平均労働時間は36時間程度にとどまっており、今回の試みは決して非現実的なモデルではない。今回の調査では、短縮勤務によって従業員の生産性が下がったというデータは一切報告されていない。むしろ、仕事への集中力が高まり、効率的に業務を遂行する傾向が強まった。実際、一部の企業では売上や成長率の向上も見られた。ボストンカレッジの研究チームによれば、「従業員の自己効力感が高まり、疲労やストレスが軽減されたことが、結果的に企業の成長にもつながった」と結論づけている。
柔軟な働き方はすでに社会の共通認識に
非営利団体「4 Day Week Global」の理事でもある社会学者ジュリエット・ショア氏は、「いまや週4日勤務は“例外”ではなく、合理的で現実的な選択肢として受け入れられている」と述べる。実際、アメリカで行われた2024年の調査では、フルタイム労働者の過半数が「慢性的な職場ストレスによる疲労を感じている」と回答しており、従業員のウェルビーイング(心身の健やかさ)を無視する働き方はもはや時代遅れと言える。一方で、この調査には課題もある。参加企業は元々、柔軟な働き方に理解のある組織が中心で、全業界に適用できるかどうかは慎重な検討が必要である。また、対象は英語圏かつ高所得国であり、他の文化圏への応用にはさらなる検証が求められる。それでも、今回の研究が示したのは、働き方を見直すだけで、社会全体の健康と幸福度が飛躍的に向上するという明確な事実である。
出典:
Four-day work weeks are good for employees’ mental and overall health, pilots in 6 countries find
Researchers agree! A four-day work week is better for your mental health
Four-day work week reduces burnout and improves job satisfaction - study
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