【Z世代の働き方座談会】「お金よりやりがい」「残業NG」?20代男女が理想の働き方を赤裸々トーク

 【Z世代の働き方座談会】「お金よりやりがい」「残業NG」?20代男女が理想の働き方を赤裸々トーク
イラスト/鈴木七代

1996-2012年に生まれた、多様な考え方や価値観を大切にするZ世代。働き方も従来の型にとらわれない思想を持つ5人のZ世代男女に、理想の働き方や仕事に対する考え、昭和世代の上司に対する本音を語ってもらいました。

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今回お話いただいたのは…

Nさん:(25歳・IT企業社員)長い学生生活を終えて、社会人1週間目。社会課題を推進するNPOを運営している。

Sさん:(24歳・フリーター)フリーターとして働きながら海外留学を目指して奮闘中。

Hさん:(24歳・大学院生)文化人類学とクィアについて研究中。好奇心しかないのでとにかくたくさんのことを体験したい!

Kさん:(24歳・プログラマー)社会人3年目のプログラマー。若手起業家の支援団体の代表をしており、自身も起業を目指している。

Aさん:(24歳・学生/Webライター)台湾の大学に通い中国語を勉強中。Webライターとして、主に台湾・フェムテックをテーマに執筆している。

― みなさんは、就職活動をしたときに何を重視しましたか?

N:自分の人生観と、会社のビジョンやミッションに乖離がないことを重視しました。やりたくないことはやらないという姿勢はわがままに思えるかもしれないけど、私の目指す世界に向けて会社単位で動けて、私もその一員としての自覚を持って働きたいんです。だから、目指す未来が一緒であることを意識しました。あとは、実践にその会社のサービスを使ってみて、自分の生活に恩恵がもたらされていると感じるか、という点も大事。

S:すごく共感できます。私は留学を考えていて就活を本格的にしなかったけど、正社員で働くことをちょっと考えたときは、自分のスキルがニーズのあるところで循環していると実感できる会社がいいと思いました。給与や福利厚生だけを重視してもやりがいにはつながらないと感じるので。見極めないと大失敗するポイントだと思います。

K:父親が会社をやっているのもあって、一般的な就活をして会社に入るルート以外に、なんらかの機会に知り合った会社の社長と感性が合い、おもしろいから一緒にやろうぜというルートがあることも知っていて。実際、気の合う社長がいて、僕が会社をやりたいという話をしたら馬が合い、仕事をしながらITを学び、そのほうが起業しやりやすいのではと提案されて今の会社に入社しました。入社後もその社長と飲みに行くし、フラットな関係でアドバイスをもらっています。給与や福利厚生より人重視で入社しました。

Aさん:私が就活したときは、その先に留学という目標があったので仕事の内容はどうでもいいやと思ってしまって。お金はしっかりもらえたけど、働いた3カ月間はめちゃくちゃ辛くて、仕事は考えて選ぶべきだなと反省しました。

Z世代

― ワークライフバランスというワードを耳にする機会が増えましたが、働き方で重視することは?

S:自分の時間を大事にしたいので、定時に帰れてワークライフバランスが取れる点を重視したいです。

N:会社と自分の時間を分ける派で、NPO団体も運営しているので私も定時に帰りたい。

K:仕事終わりにいろいろと予定を入れているので、僕は定時に上がれないと困るかな。

H:大学院生なので正社員として働いたことはないけど、僕は本当にやりたい仕事であればいくらでも残業したい。好きなことでお金を稼ぐのは、自分の時間を有意義に使っていると思えるから。だけど、お金のためと思うと自分の時間を浪費している感覚になり、生活のクオリティを上げるために仕事とプライベートのメリハリをつけたくて定時に帰りたくなると思う。

S:やりがいを感じられる仕事ができて、その仕事で達成したい目標があれば残業はいとわない。残業しないと目標達成に近づかないと思うから。でもワークライフバランスを保つのが難しそう。

N:仕事を人生のどのポジションに置くかで変わってきますよね。

K:僕の場合、今の仕事はやりがいより将来のための勉強になるかという点を重視しています。役に立つと思えばやるし、必要ないと思えば無駄な時間だし。無駄であれば早く帰りたいと思う。

S:それはあると思う。私も自分がやりたいことを軌道にのせて、いつか会社を立ち上げたいんです。でも、まだ入社して一週間だから、無駄だと思うことにも参加するようにしています。最初にコツを掴んだほうが、後の負担が少ないかなと思って。

H:僕の場合、今までやってきたことに無駄はないと思いたくて、今は無駄に思えることもいつか役に立つと思ってやっています。効率主義になりすぎるのは違和感がある。

K:その意見にもめちゃくちゃ共感するけど、努力9割で成果1割という本当に無駄な仕事もあるんです。仕事のメリットを探すための努力にかける比重が一番大きくなると、時間の使い方として本末転倒じゃないですか。比重が狂わないようにしないと、自分がしんどくなってしまうと思います。

N:今の話を聞いて、無駄にも種類があると思いました。この先の役に立ち人生を彩る無駄もあるけど、ガチの無駄もあり、その見極めは大事かもしれないですね。

― やりたいことに時間を使いたいという意見が多数派ですが、副業についてうかがいます。禁止する会社についてどう思いますか?

N:今の会社は申請を出せば副業OKです。副業の経験が本業に活かせるという考えがあるみたい。

K:僕のいる会社も副業OK。起業してもよくて自由にやれという感じ。

H:副業を禁止する理由が気になる。

S:私は外資系スーパーのバイトに加え、スタートアップ起業でインターンみたいな感じでTikTokなどのショート動画をプロモーション用に撮影する仕事もしていて。その会社の従業員は、フルタイムで働く人は少なくて学生やインターンがほとんど。一方の外資スーパーは、フルタイムで働く人が副業をするなら申請が必要。ただし要相談と言われているので、副業を推奨している雰囲気ではないですね。理由は企業情報の流出への懸念なのか、この会社で一生懸命働いてほしいという思いもあるのでは。

A:副業の許可は、自分が雇う側なら迷うかもしれないですね。

S:私たちのように事業を立ち上げたい、自分で社会を動かしたいと考えている人には、副業を禁止する会社はウエルカムではないと思う。

H:そういう人は転職しそうですよね。外資系スーパーに勤めていて副業したい人は、やりたいことがあるというよりもっと稼ぎたい人が多いのでは。それならスーパー側が賃金を上げたり、福利厚生を充実させたりすれば問題は解決し副業する必要がなくなると思う。

S:給与はめちゃくちゃいいんですよ。最低賃金が1500円くらいで、パートでも週5で働いたら結構もらえるんです。私の場合、留学資金を貯めるのが目的なので、勉強したり動画を作ったりする時間がとれて、なおかつお金を貯められるところを探して今のバイト先に行き着きました。

Z世代

― 次は、上司に関するZ世代の価値観も聞かせてください。みなさんはどんな上司なら信頼できますか?職場での上司エピソードもあればぜひ。

K:今の会社にプログラマーとして未経験で入社し、普通にやるぶんにもできるけど現場で頼られるようになるには今のままでは難しいと思い、上司に相談したら「俺が教えてあげるわ」と言われて。就業時間内に教えてくれるのかと思ったら土日を返上してくれて、月に一度週末にオフィスで5時間くらいの勉強会をしてくれたんです。今はほかの社員も巻き込んでやっています。悩みに対して真摯に考えて行動してくれる上司を持ち、恵まれているなと感じています。

A:逆に、信頼できないと感じた上司はいる?

K:上司が原因で会社を辞めていった同期はいます。入社2年目で経験が浅いからという理由で会議への参加を許してもらえず、自分が考えていたリーダー像とかけ離れていたらしく、この人の下にいたくないと思い転職していきました。自分のしたいことに共感、協力してくれるのはいい上司と思えるけど、否定したり真に受けてくれない上司の下にはいたくないですね。

H:僕は大学を卒業して大学院に入るまで1年間のブランクがあり、その間は柔道を教えながらお金を稼いでいました。そのときの上司は僕のやりたいことにあまり理解がなく、大学院試験の勉強があるから休みたいと言っても聞いてもらえず。上司は従業員の生活まで考えないだろうし、どこまで求めるべきか難しいですね。

K:僕の上司は仕事も、教えるのも、プログラミングも好きで、その有用性を伝えたいという思いが強いのだと感じます。僕が上司ならそこまでできない。

N:私の直属の上司は、仕事にすべてをつぎ込めという感じの人ではなく、いつかは辞めるという選択肢もあると言われて気が楽になりました。でも、私が仕事一直線の人間だったら、その考えに違和感を持つと思うし、相性や価値観の合う、合わないってありますよね。

K:そうだと思います。

S:上司は選べないから難しいですよね。

N:上司も同期も先輩も選べないから、私は就活で絶対に揺らがない会社のビジョンを重視したんです。変わらないものに重きを置いたという感じ。

S:私のバイト先には、従業員を贔屓する上司がいます。あとは、いざというときにフォローしてくれない上司もよくないと思う。以前、歯止めが効かないくらい怒っているお客さんに対して、私は新人だったのでどうしていいかわからないときがあって。上司は近くにいるにも関わらずフォローしてくれず、最小限しか関わらないスタンスにびっくりしました。

K:上の人とつき合うのは上手いけど、下の人のフォローができない人っていますよね。いい上司と感じるのは、やらかしたときにフォローしてなおかつその問題を解決できる人だと思います。

― 若い世代がリーダーシップを持つようになると、働き方はどのように変わると思いますか?

S:一番に思うので、もっと女性が管理職に就ける社会になってほしい。いくつか経験したバイト先の上司がほぼ男性だったんです。大きな問題はなかったけど、女性の上司がいたらもっと話しやすいし、女性が意見を出せる雰囲気になると思うので早く実現させたい。あと日本では若いから何も知らない、実力がないから口を出すなという風潮があるけど、年齢に関係なく言いたいことが言えて、会社に頼られているという実感が持てる社会にしていきたいです。

N:結婚や育児で会社を辞めると、戻ってきてもパート雇用になることが多いので、男性の育児休暇の取得率が上がる未来が来れば互いのしんどさを分かち合えると思います。女性が社会に出られないしんどさと、男性は社会にしか出ていないという苦しみがあり、どちらもわかり合えるのがZ世代なのでは。デジタルネイティブでいろいろな情報を入手でき、それらを咀嚼しながらやりたいことを追いかけるのがZ世代。その姿勢がこれからのリーダーシップにつながってほしいです。

A:育休を取得する男性側はどう感じていますか?

H:男性の育休にしても、女性の管理職にしても、流れ自体はできてきていると思います。管理職については思うところがあって、今の日本社会では、管理職のほとんどが一定の年齢を迎えた人に限られていますが、海外のように若い世代がどんどん管理職につける環境になるべき。どうやってそのシステムを整えていくか考えると、個人的には新卒一括採用という制度がめちゃくちゃだと思っていて。ほとんどの大学生は大学で自分の興味がある分野を学んでいるけど、社会に出たときその学びを活かせていないのが現状です。新卒一括採用というシステムをなくせば、若い人が時間をかけてやりたいことを見つけられて役割を担っていけると思っています。まずはこのシステムを変えたいですね。

S:めちゃくちゃ共感します。自分の周りでも大学に入学できたけど特に何をするでもなく4年が過ぎ、強い意思もなく就職する人は多いです。これでは若い人が管理職に就くというシステムを作るのは絶対的に難しい。システムを変えるためにも、若い人が自分のスキルや会社に貢献できる何かを自身でブラッシュアップし、「私はこれを活かしたい」というものを身につけるべきですね。

K:Z世代は、これまでの世代と比べてフォロワーが多いのがひとつの特徴といえます。インスタのフォロワー、NPOを運営していればその団体のフォロワーがいて、味方を作れる人が増えている気がする。個人でコミュニティを持っている人もいて、会社員をやりながらSNSで数万人のフォロワーがいるという状況は今までは考えられなかった。それだけ影響力を持てるということは、一会社員であっても上司と対等に渡り合える能力を備え、若さを度外視した数字という武器を駆使した強力なリーダー、今までにない戦い方をしてくる人が増えてくると思います。

A:そうやって上から下だけでなく、多方向から意見が出し合える人が増えるといいですね。

― ほかにZ世代のリーダーならではの強みは、何だと思いますか?

N:Z世代の特徴は、生まれたときから景気が悪く、地球温暖化も叫ばれ、自分たちでどうにかしなくちゃいけないという思いが強く、アクティビストが生まれる世代だと言えます。一方で一人ではどうにもできないという思いもうっすら育まれ、だからこそフォロワーを集めみんなでどうにかしようとする傾向があり、それが強みでもあるのでは。

Z世代

K:最近の起業事情を聞くと、起業にはSDGsが必須だと感じています。起業パターンには、自分のやりたことを仕事にする、お金を稼ぐために市場を分析しニーズに沿った仕事をする、社会問題を解決していくという3つがあると思います。ひと昔前は自己実現とお金のための起業が多かったけど、今は社会問題の解決を目指して起業する人が増え、そういうマインドがないといけないと思っている人が多いと感じます。

H:協調性が強くなったということ?

S:SNSの力を使って何かやろうというときの結束力は、Z世代ならではだと思う。ミレニアル世代やベビーブーム期に生まれたおじさんにはわからないのでは。

H:SNSの使い方に関しては、Z世代より少し上の世代が悪い意味で活用していると個人的には思います。上の世代もスマートフォンを持つようになり、その世代同士で結束を強めていてSNSの危険性も感じる。

N:分断を起こしかねない?

S:今のアメリカがまさにそうで、世代間の溝がどんどん広がっている。日本もそうなるのかな。

H:たとえば、環境活動家のSNSをフォローするのは環境活動に興味がある人で、ヘイトスピーチをあげているSNSにはそれに興味がある人が集まる。それぞれのコミュニティが成立してしまうことが問題を引き起こす原因になり、それがSNSの怖さだと思います。

K:一般人が力を得る社会になると、今までにない怖さも出てきますね。

H:最後につけ加えると、ここに集まった人たちは積極的に発言するタイプだけど、Z世代を総括して考えたら僕らの意見が偏っているかもしれないです。変わった人が集まっているので(笑)。

A:この5人の価値観がZ世代の絶対ではなく、アクティブ側の意見と言えるかもしれませんね。

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取材・文/北林あい
イラスト/鈴木七代

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ヨガジャーナルオンライン編集部

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ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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