【ピル経験者座談会】生理痛はラクになる?太るって本当?低用量ピルを使って感じた「体の変化」

 【ピル経験者座談会】生理痛はラクになる?太るって本当?低用量ピルを使って感じた「体の変化」
イラスト/鈴木七代

PMSの改善、生理痛の緩和、避妊対策などに効果がある低用量ピル。一方で、副作用の心配から服用を躊躇している人も多いのでは? 座談会では、低用量ピルを服用したことがあるアラフォー4名が、使用して感じた体の変化やメリット・デメリットを本音トーク。

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今回お話いただいたのは…

■Mさん(36歳・ベビーマッサージ&ヨガ講師)副作用はなく、テニスに支障があった生理痛が緩和。
■Kさん(43歳・ヨガ講師)避妊対策としてピルを服用。PMS解消にも効果を実感。
■Sさん(40歳・ヨガ講師)軽度の子宮内膜症で生理痛に悩み、ピルを服用して劇的に痛みが解消。
■Yさん(37歳・主婦)子宮腺筋症に伴い生理痛が悪化し、ピルで症状が解消。服用当初は、むくみと体のだるさを感じるも徐々に緩和。

座談会
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生理前のイライラや吹き出物がすっきりなくなった

― 最近は、生理痛の緩和や妊娠のコントロールに低用量ピルの使用が浸透してきています。みなさんは、どんなきっかけでピルを使い始めましたか?

M:大学時代はテニス部だったので、生理痛対策としてピルを使い始め、4年間服用しました。1日1錠を決まった時間に飲むので、最初の頃は服薬管理が大変でしたね。

S:私も生理痛がひどくて、婦人科で検査をしたら軽度の子宮内膜症と言われたんです。生理がくるたびに痛み止めを手放せないほどツラかったので、ピルを試してみようと思い20代前半から5年間使い続けました。

Y:私は、若い頃から生理痛に悩み、30代で子宮腺筋症を発症したんです。これは、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中にできる病気で、生理痛の悪化や経血量の増加が見られます。その後、不妊治療で体外受精をしましたが上手くいかなくて。不妊治療をお休みしようと思ったとき、毎月の生理痛がひどくて耐えられないことを先生に相談したらピルを勧められました。

K:私は生理痛が軽く、生理に悩んだことはないのですが、あるとき主人が交通事故に遭い、そのときにアフターピルを使いました。主人の治療で生活が慌ただしくなると思い、このタイミングでの妊娠は避けたかったので。この先どのように避妊と向き合うべきか考えて、避妊の確実性が高いピルを選びました。服用をやめた後、自然に三人目を妊娠できて、ピルを飲み続けて子供ができにくくなることはなかったです。

― 低用量ピルを使う前と使った後では、ピルに対するイメージは変わりましたか。

M:テニス部の仲間が使っていて、生理が軽くなったと聞いていたので、ピルに対して悪いイメージはなかったです。実際使ってみると、生理痛がラクになり、吐き気などの副作用もなく使ってよかったという感じ。強いて言えば、忘れずに毎日飲み続けるのが大変でした。

S:私も悪いイメージはなく、周りに使っている人がいたので抵抗なく使えました。最初の1、2カ月は少し気分が悪くなりましたが、生理痛のほうがツラかったので、痛みが緩和したメリットのほうが大きかったです。

Y:使う前は、副作用がきついというイメージがありました。使ってみると、最初こそむくみと体のだるさを感じましたが、徐々に気にならなくなりました。効果としては、生理痛が少し軽くなり、経血量も減ったので使ってよかったです。

K:使う前はマイナスイメージが強かったです。というのも、幼少期から習っていたクラシックバレエの先生に、ピルは太るからよくないと言われ続けていたので。同じ薬を飲み続けることへの抵抗感もありました。使ってみると太るということはありませんでしたし、避妊に対する安心感を得られたのがよかったです。意外だったのは、生理前のイライラや吹き出物がすっきりなくなったこと。これは予想外のメリットでしたね。最初の1、2カ月は気分が悪くなりましたが、3カ月目から気にならなくなりました。

ピルのメリット

日本と海外ではピルに対する捉え方が違う?ウワサは誤解なことも…

― 低用量ピルを服用する際に、気をつけていることはありますか?

K:飲み忘れないために、目につく場所にピルを置いていました。医師の説明では、ピルを飲むと血栓症のリスクが上がると言われたので、特に対策はしなかったけど、リスクを心に留めて気にしていました。

Y:私も血栓症が心配だったので、水分を多く摂るように心掛けていました。

S:飲み忘れが怖かったので、時間を決めて飲んでいました。あとは、薬を切らさないように病院に行く日を決めていましたね。

M:毎日飲み続けるのは大変ですよね。私は、机の定位置にピルとコップを置いて飲み忘れを防止。病院に行く日を携帯のスケジュールにメモし、忘れないようにアラームをセットして薬を切らさないようにしていました。

― ピルについて女性同士で話をしているときに、「ピルが誤解されているな」と感じることはありますか?

Y:私は、そもそも友人とピルについて話す機会が少ないです。

S:ピルを飲むと妊娠しにくくなるという噂は、聞いたことがありますね。

M:友人にピルを使っている人が多かったので、誤解していると感じたことはなかったです。私自身は、薬を飲み続けることに怖さはありました。一方で、生理痛の緩和や、避妊できるメリットも感じています。

K:最近、海外に留学していた方と話していて、その方は中学時代からピルを飲んでいたそう。日本では、避妊のために服用する印象が強く、いつでも性交渉ができると思われるのが嫌だったそうです。海外では、PMSや月経コントロールのために飲む人が多く、日本と海外ではピルに対する捉え方が違い、その方にとっては海外の認識のほうが心地良いと話していました。

ピル

話しやすくて信頼できる主治医を見つけることが大切

― 低用量ピルを飲んでいたみなさんから、ピルを検討中の読者にアドバイスするとしたら?

M:私は、ピルを飲んでメリットしか感じていないので、生理痛がひどくて悩んでいるならピルをお勧めします。私の場合、病院選びは「女医 駅近 婦人科」で検索して自分に合うところを見つけました。

Y:最初は、血栓症のリスクなどのマイナスイメージがあって、処方されても飲まずにいたんです。でも子宮腺筋症が進行し、痛みに耐えられなくなって。飲んでみたら体がラクになったので、主治医のもとで自分に合うピルを探して試してみて。

S:毎月、生理痛をがまんしている人がいたら、一度試してみるように勧めています。3カ月くらい飲むと副作用の程度もわかり、飲み続けられるかどうか判断できると思いますよ。私は一度、病院選びで失敗をしているんですね。最初に行った婦人科の先生がすごくこわくて、定期的にその先生と顔を合わすのがストレスに感じてしまい、病院を変えました。婦人科にはこの先もお世話になることがあると思うので、話しやすくて信頼できる主治医を見つけてほしいです。

K:男性の医師の診察に抵抗があれば、女医さんのいる婦人科をお勧めします。私が病院を選ぶときは、医師、看護師、受付の方の雰囲気や話しやすさを見て、安心して通えると感じたところを選びます。自分の違和感に正直になり、なんか嫌だなと思ったら無理して通う必要はなく、違う病院を探していいと思います。最近は、オンラインで薬を処方してもらえますが、薬は体に入れるものなので、病院できちんと診察を受けたうえで処方してもらうほうが安心だと思います。

生理痛や更年期対策に「ミレーナ」の選択肢も

― ところで「ミレーナ」は知っていますか?子宮に持続的に挿入するプラスチック製の器具で、緊急避妊薬の成分である女性ホルモンが約5年間放出されるというもの。避妊効果の他、生理痛や過多月経の解決策としても有効です。興味はありますか?

ミレーナ

S:二人目の妊娠を望まないと決めた時点で、使いたい気持ちはあります。信頼している友人の女医さんが使いたいと言っていたので、興味はありますね。

Y:私も興味はあります。知人が使っていて、経血量が減って生理がすごくラクになったと聞いているので。今は二人目を妊娠したくて不妊治療中なので、出産後に考えてもいいけど、子宮に器具を入れ続けるのは抵抗があるかな。

K:最近、婦人科でミレーナを勧められました。そろそろ更年期ですが、ミレーナを使うと更年期障害の症状が安定すると言われました。私も子宮に入れておくのは違和感があり、未知の世界なので不安もあって決断していません。最近、経血量や生理のタイミングが変化し、これが更年期なんだと実感しています。対策としてサプリメントを飲んでいますが、私にはミレーナよりも手軽なサプリメントが合っているのかも。

M:私はタンポンにも抵抗があるので、ミレーナに興味はあるけどハードルはもっと高いです。避妊リングを使っていた人は、なんの違和感もなかったと言いますがやっぱり不安。一人目を出産後、生理痛がラクになり薬もいらなくなったので、私には必要ないかも。現在、二人目を妊娠中なので、出産後の体調を見て決めたいです。

ピルの副作用って実際どうなの?【婦人科医が解説】

福山千代子先生

「おもな副作用は不正出血、吐き気、胸が張る、頭痛、下腹部痛などのマイナートラブルと呼ばれるもので、そのほとんどが服用初期に起こりますが体が慣れてくると自然に収まるので心配いりません。一方、命に関わる危険な副作用もあります。それは血栓症です。血栓症は血管内に血のかたまりができる病気で、ピルには血液が固まりやすくなる成分が含まれているため、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙など血栓症の危険因子を持っている人は注意が必要。当院では問診で血栓症のリスク要因がないか確認したうえで処方し、1シート服用後に血栓症を疑う所見があれば血液検査を行っています。

誤解も多く、服用すると妊娠できなくなるという誤った情報もあります。正しくは、避妊はできるけれど不妊にはなりません。十年以上服用した場合も妊娠を望むタイミングで飲むのをやめると、3~4ヵ月で排卵機能が戻り妊娠できるので安心して服用してください。」

医師プロフィール…福山千代子先生

MET BEAUTY CLINIC院長。日本産科婦人科学会専門医。20年以上にわたり女性特有の身体の悩みや不調に向き合い、更年期障害をはじめ、月経痛や月経前症候群(PMS)などの治療も積極的に行っている。日本産科婦人科学会・女性心身学会所属。

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取材・文/北林あい
イラスト/鈴木七代

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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