【ミドル世代座談会】年を取るって悪いことばかりじゃない?20代との変化と「加齢の受け入れ方」

 【ミドル世代座談会】年を取るって悪いことばかりじゃない?20代との変化と「加齢の受け入れ方」
イラスト/鈴木七代

20代で当たり前にできていたことが、加齢によってできなくなるのはちょっと寂しいもの。しかし年を重ねたから味わえる喜びや、深まっていくこともあるはず。30~50代女性の生の声を参考に年齢がもたらす心身の変化、迫りくる老いとのつき合い方を考えてみませんか。

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今回お話いただいたのは…

■Sさん(52歳、ヨガインストラクター)50歳を過ぎてから疲れやすさを実感中。ヨガがメンタルバランスを保つ支えになっている。

■Yさん(39歳、主婦)夜更かしができなくなり早寝早起きに。無理をせず自分が心地良いと感じる生活に移行中。

■Rさん(53歳、主婦)心身の変化を感じながらも、趣味のライブハウス通いが若さの秘訣。

■Tさん(38歳・ヨガ講師)仕事優先の20代でメンタル不調を患い、自分を労わる大切さに目覚める。

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AdobeStock

若い頃に比べると常に疲労感があり、すぐ横になりたくなる

― 20代と今の自分を比べて、一番変化したなと感じるのはどんなところですか?

S:まず疲れやすくなりました。50歳を迎えた頃から運動していないのに疲労感があり、すぐ横になりたくなるんです。あとは髪の毛が細くなってコシがなくなり、頭頂部がペシャッとなってきました。私より年上の女性たちはシャギーの入ったショートカットが多く、どうして年齢が上がるとみんな同じような髪型をしているのか疑問だったけど、ボリュームダウンが原因なんだと腑に落ちました。

Y:私も体力の低下を実感しています。20代の頃は朝まで遊んでいたけど、今は絶対に無理。子育て中ということもあり、早寝早起きが習慣になり夜は8時に寝ています。自分の体力に合わせて生活のリズムを工夫して過ごしている感じです。

R:私は40歳手前で子どもが大学生になり、お弁当も必要なくなり子育てが終了。このときを待ち望んでいたはずなのに喪失感が強く、メンタル面の落ち込みを経験しました。でもそのタイミングでフルタイムの仕事が決まり、40代は夜の8時頃まで仕事して、就業後に好きなアーティスのライブに行き、翌日もちゃんと仕事をして土日も遊ぶというパワフルな毎日でした。それが50歳になると、ライブに行っても立っているのが辛くて(笑)。でも仕事や趣味のおかげで若さは保っているほうかも。

T:20代のときは深夜まで仕事をしても大丈夫だったけど、今は無理ですね。私はストレスがたまると肌にブツブツができやすく、しかも引っ搔いてしまう癖があって。若い頃に電車にのっていたら、年上の女性に「きれいなんだからもったいないわよ」と言われてハッとして体のことを考えるようになりました。

髪

― 女性の体はホルモンによって大きく左右されますが、40代、50代になって生理周期などにも変化はありましたか?

T:以前は周期がズレたり、始まると7日間くらい続いたりしていましたが、33歳で出産してから落ち着きました。今は周期も安定し4日間くらいで終わります。

R:生理はもともと3、4日で終わり、生理痛に悩んだこともなく、生理が軽いのは子どもの頃の食生活のお陰かなと思っています。というのも、私の子どもの頃はお弁当に赤いウインナーが入っているのが嬉しい時代だったけど、母は健康のことを考えて炭酸、甘い物、赤いウインナーはNGで食べさせてもらえず。当時は「何で?」と思ったけど、大人になって食事に守られていたことに気づき「お母さん、ありがとう」という気持ちです。実は昨年、子宮筋腫が判明して子宮、卵巣、卵管を切除する手術を受けたんです。手術を機に体について学びましたが、もっと若い頃から知っていれば自分を大切にし、周りの人にも優しくなれたかもしれないと思い、今からでも学び続けようと思っています。

Y:私の20代は生理のたびに激痛に見舞われ、経血量が多く周期はバラバラ。それが普通だと思っていたので、大量の痛み止めを飲んでやり過ごしていましたタ。30歳になって体を壊し、これではいけないと思って食生活をはじめ生活習慣を見直したら痛みと量が減り、どろっとしていた経血がサラサラになり周期も安定しました。今は最初の3日間は無理をせず昼寝をして体を休ませ、予定は生理の前後に入れるようにしています。

T:20代で同じような状況の女性がいたら、Yさんはどんなことを伝えたいですか?

Y:私の20代は仕事中心で、会社を休んでまで病院に行く発想がありませんでした。自分の体にまったく目を向けず、体が発する危険信号に気づけていなかった。だから食事の内容と生活習慣を見直し、無理をしないでほしいと伝えたいです。仕事は大事だけど、それよりも大事なのは自分の体ですからね。

S:私は生理周期が不安定でした。子どもが欲しいと思ったときこのままじゃダメかもと思い病院に行ったところ、黄体ホルモンの数値が低く子宮の中のベッドがフカフカにならず卵子が育たない状態と医師に言われたんです。しかも子宮内部に古い卵子がいっぱい残っていたので、子宮に管を通してきれいにしたら生理周期が安定し、すぐに妊娠できました。出産に向けて気をつけたのは、体を冷やさないこと。ショーツは小さいものをやめてお腹まで隠れるものを選び、脚も温めるようにしたのがよかったみたい。

加齢にともない、自分の気持ちに正直になった

― 無理がきいてしまう若い頃は体に意識が向きにくいですが、大人になるにつれて健康の大切さが身に沁みてわかりますね。精神面で感じている変化はありますか?

Y:仕事の都合上、若い頃は無理して人に合わせることが多く、それがストレスでした。今は相手と適度な距離を保ち、時にはお誘いを断ることもあります。気持ちはありがたく受け取って。20代ではそれができず、自分の気持ちに嘘をついていましたね。

T:昔は目の前の事に必死で、メンタルというものに気づいていなかったかも。気を遣い過ぎるくらい先を読んで動いていたせいか20代でメンタル不調に三度も陥ってしまい、壊れてボロボロになってやっと自分のことを考えるようになりました。自分を大切にしないと結局は周りに迷惑がかかるとわかり、自分のメンタルバランスを考慮したスケジュールを立てられるようになりました。

R:私は50歳まで人のために生きてきた感じです。人と関わることでモチベーションが上がる性格なのでメンタル不調はなかったですが、自分を大切にしないと周りの人を大切にできないと気づきました。あとは50歳になって「あまり時間がないぞ」と思って。自分のための時間を作ってやりたいことをやろう、やりたいことができないのを人のせいにしている自分をやめようと思いました。でも人に合わせていた自分を否定しようとは思わず、それも私の長所だと捉えています。そういう私がいたから今いろいろな人とつき合えていると、プラスに受け止められるようになったのも50歳を過ぎてからです。

S:20代の私は、自分の中はからっぽでした。からっぽを埋めるために人と会い、人といることで満たされると思っていたけど、結局はからっぽのまま。年齢が上がるにつれてたくさんの人とつき合うより、一人の時間を作って好きなことをしたら気持ちがラクになったんです。私、ママ友が全然いないんですね。ママ友って私の友達ではなく、子どもの友達のママなんだと思うと違和感があって。これを話したら子ども同士の関係に迷惑がかかるかなと考えると嫌になっちゃった。どうしても会いたいと私の心が動く相手とだけ会うようにして、人づき合いをシンプルにしたら生きやすくなったし人生が楽しくなりました。

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― 体と心について過去の自分を振り返ってもらいましたが、20代、30代でやっておけばよかったこと、またはやっておいてよかったと思うことはありますか?

S:出合ってよかったと思うのはヨガですね。呼吸法や瞑想法を続けることでメンタルが落ち着き、出産にも役立ちました。

Y:できれば早い時期から、自分の体と心を大切にするべきだったと思っています。やってよかったことは、20代のとき中東やアフリカなどに一人でバックパック旅行をしたことがあって。知らない土地に身を置いて一人で行動する経験は、自分がどんなことに興味があって心が動くのかを知る自分発見のチャンス、今後の人生に役に立つかもしれません。文化、気候、食事も違う土地で過ごすと、日本で過ごしていた平和な世界が当たり前じゃないこともわかりました。体力がある20代での一人旅はおすすめです。

R:海外に行ったことがないから、Yさんの話を聞いたら無性に行きたくなりますね。私はヨガと出合い、人に合わせて生きなくちゃいけないと思っていた価値観が変わりました。最初のクラスで「周りの人に合わせてポーズをしなくていいです」という先生の一言が、生きるうえでもすごく響いています。ヨガを続けながら一人旅の準備をしたいです(笑)。

T:やっておけばよかったという後悔はないですね。やったことがなくてもこれからやればいいと思うので。強いて言うならいろいろ話せる年の離れた友達を作っておけばよかったかな。冷静な視点を学べるし、周りの人や自分にももっと甘えられたら体と心を痛めずにすんだかもと思うことはあります。

老いの受け止め方は気持ち次第!でも、何もしないで楽しく健康でいられるわけではない

― 20代、30代の経験は、不器用さも含めてその先の人生の肥やしになっているのが印象的でした。これからも年を重ねていくわけですが、加齢や老いをどのように捉えていますか?

T:以前は老いに対して怖さがあったけど、今は自分がどんなふうに年を重ねるのか楽しみです。

R:20代の頃は50代になりたくないと思っていたけど、あっという間になってしまい「あらっ」という感じ(笑)。想像していた50代より子どもっぽいし、これからどんな仕事をしようか、何を食べようかと考えるのが楽しく、まだまだライブにも行きたい。やりたいことをどこまでできるか楽しみで、年を重ねることに怖さはありません。

Y:鏡を見ればシワやシミが出てきたと思うけど、そういうものだと受け入れています。20代の頃よりメイクをがんばらなくなったり、コンタクトから眼鏡に変えたり、自分が心地良いと思う方向に変化していますね。食生活を変えてからスキンケアもナチュラル志向になり、それで10年後にどうなっているか実験中です(笑)。

S:私の周りには笑いながら毎日を過ごしている60代、70代の先輩たちがいますが、何もしないで楽しく健康でいられるわけではなく、食事を見直したり、適度に運動したりしているんですね。何もしないと急激に老化するけど、お腹が出たら腹式呼吸をするとかちょっとしたケアで老化の曲線を緩やかにできると教えてくれる先輩方のおかげで、老いることに大きな不安はありません。握力が落ちてペットボトルの蓋が開かないとかできないことは増えていくけど、できないことを笑っちゃっています。老いも気持ち次第で楽しめると思いますよ。

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取材・文/北林あい
イラスト/鈴木七代

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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