【悪夢に要注意】週1回の悪夢で老化加速、早死にリスク3倍!|健康への深刻な影響がデータで明らかに
夜中に目を覚ますほどリアルで怖い悪夢―。誰でも一度は経験したことがあるのではないだろうか。でも、そんな「悪夢」が、実は私たちの体の老化スピードや寿命にまで関係しているかもしれないという、驚きの研究結果が発表された。
悪夢を週1回以上見る人は、早死にリスクが3倍に
今回の研究を行ったのは、イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドンの神経科学者、アビデミ・オタイク博士のチームだ。2025年6月、フィンランド・ヘルシンキで開催された欧州神経学会(EAN)で発表され、話題になっている。研究チームは、26歳から86歳までの成人18万人以上のデータを分析した。その結果、悪夢を「週に1回以上」見る人は、「ほとんど見ない人」と比べて、70歳までに亡くなるリスクが3倍以上高いことがわかった。さらに驚くのは、悪夢の頻度が高いことが、喫煙や肥満、運動不足よりも強く“早死に”を予測するサインだったという点である。
「細胞の老化」も関係?
この研究では、参加者の「見た目の年齢」ではなく、「生物学的な年齢」も調べた。生物学的年齢とは、体の中の細胞がどれくらい老化しているかを示すもので、「テロメア」と呼ばれる染色体の末端の長さや、「エピジェネティック・クロック」という分子マーカーで測定される。その結果、悪夢の頻度が多い人ほど、テロメアが短く、老化が進んでいる傾向があることが明らかになった。また、子ども約2400人(8〜10歳)のデータも分析され、悪夢の多い子どもも細胞の老化が早い可能性が示された。
悪夢が健康に悪影響を及ぼす理由とは
オタイク博士によると、悪夢が健康に悪影響を及ぼす大きな理由は2つあるという。
1つ目は、悪夢によって分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」。これは本来、危険を察知したときに体を守るために出るホルモンだが、悪夢を見て夜中に何度もドキッと目覚めるような状態が続くと、コルチゾールが慢性的に高まり、細胞の老化を加速させてしまう。
2つ目は、睡眠の質の低下。深い睡眠中には、体の細胞が修復されたり、記憶が整理されたりと、大切な作業が行われている。しかし悪夢によって何度も目覚めたり、浅い眠りが続くと、こうした大事な“夜のメンテナンス”がうまくできなくなってしまう。
悪夢は病気のサインかも?!
「たまに悪夢を見るくらいなら問題ありません」と専門家は語るが、「頻繁に、しかも最近になって悪夢が増えた」と感じる場合は注意が必要だ。脳神経外科医のラフル・ジャンディアル博士は、「悪夢が突然増えたら、それは“体からのSOS”と考えていい」と述べている。パーキンソン病や自己免疫疾患の初期サインとして悪夢が出ることもあるため、長く続く場合は病院で相談するのが安心だ。
そもそも、なぜ悪夢を見るの?
夢にはまだ分からないことが多く、なぜ悪夢を見てしまうのかには明確な答えはない。ただ、ひとつの説として、「かつて人類が危険な環境で暮らしていた時代、悪夢が“身を守るための練習”になっていた」という考え方がある。たとえば、「追いかけられる夢」や「襲われる夢」を見ることで、現実での危険への備えになっていたのでは?というわけだ。しかし、「現代では、こうした役割が薄れ、むしろ体にとって“負担”になっている可能性がある」とオタイク博士は指摘する。
悪夢を減らすにはどうしたらいい?
もし「最近悪夢が多い」「毎週のように見てつらい」と感じるなら、次のような工夫で改善できることがある。
- 就寝前に怖い映画や不安をあおるニュースを見ない
- 部屋の照明を暗めにし、スマホの画面(ブルーライト)を避ける
- 夜遅くの食事やカフェイン、アルコールは控える
- ストレスや不安が強い場合は、カウンセリングや治療を受ける
体からのサインを見逃さないで
私たちはつい「夢はただの空想」と考えがちだが、今回の研究が示すように、悪夢は体にも心にも深い影響を与える、体のサインである。眠っている時間も、私たちの体は生きていて、変化している。もし悪夢に悩まされているなら、それは体が休息を求めている証かもしれない。「最近よく悪夢を見る…」そんなときは、まず生活習慣を見直してみて。それでも改善しないなら、心と体の健康チェックとして、専門家に相談してみるのもおすすめだ。
出典:
Frequent Nightmares Linked to Faster Aging, Early Death, Study Finds
EAN 2025: Nightmares Linked to Faster Ageing and Premature Mortality
Nightmares linked to faster biological ageing and early death
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