運動習慣で「大腸がん再発リスクが37%減少」国際共同研究で判明|やはり運動は裏切らない!?
日本でも毎年約15万人が新たに診断される大腸がん。男女ともに患者数が多く、特に治療後の再発や死亡リスクの低減は、長年にわたる課題とされてきた。そんな中、国際共同研究によって運動が再発リスクや死亡率を大幅に下げることがわかり、注目が集まっている。
運動で大腸がん再発リスクが37%減少
今回の研究は「CO21チャレンジ」と呼ばれるもので、イギリスやカナダを含む6カ国、計889人の大腸がん患者が参加した。対象となったのは、手術と化学療法を終えたばかりの患者たち。普段から運動習慣が少ない人々が選ばれた。研究では参加者を2つのグループに分け、一方には3年間の個別運動指導プログラムを提供。ウォーキングやサイクリング、水泳、ジムでのトレーニングなどを取り入れ、最初の半年間は対面、それ以降もオンラインで定期的なサポートを続けた。もう一方のグループは、一般的な運動や栄養に関する資料だけを渡されるという従来型の対応だ。注目すべきは、その結果の違いである。5年後、個別運動指導を受けたグループの80%ががんの再発なく生存していたのに対し、資料だけのグループは74%にとどまった。さらに8年後には、運動グループの生存率は90%、もう一方は83%。死亡や再発、新たながんを発症するリスクは最終的に37%も低下したのだ。
大腸がんは生活習慣と深く関係しており、体重管理は重要な鍵
この結果について、研究を主導した北アイルランド・ベルファストのクイーンズ大学のヴィッキー・コイル臨床教授は「これは希望に満ちた結果。大腸がん経験者の再発リスクを減らすため、運動を治療計画に組み込むべきだ」とコメントした。さらに英国のがん研究機関「キャンサー・リサーチUK」のチャールズ・スワントン教授も「薬以外の介入でこれほどの効果が示されたのは非常に珍しい。運動は一部の患者にとって“ゲームチェンジャー”になる」と話しています。
では、なぜ運動がこれほどの効果をもたらすのか。研究チームは、以下のような作用が重なっていると考えている。
- 免疫機能の向上
- 体内の炎症の抑制
- インスリン抵抗性の改善
- 内臓脂肪の減少
特に大腸がんは肥満や糖尿病といった生活習慣とも深く関係しており、体重管理が再発防止に役立つ可能性がある。さらに運動によって不安や抑うつも軽減され、前向きに治療と向き合えるようになるという心理面での効果も指摘されている。
自分に合った運動を続けることが重要
実際に運動プログラムに参加した北アイルランド・ベルファスト在住のマーガレット・タブリディさん(69歳)は、「がんになる前はまったく運動していませんでした。でも今では週2回ジムに通い、ノルディックウォーキングも楽しんでいます。がんから5年経ちましたが、人に会うたびに『私は元気よ』って言える。本当に自信になりました」と笑顔を見せた。日本でも多くの人が経験する大腸がん。治療後に運動を取り入れることで、自分の体にもう一度“希望”を取り戻せるかもしれない。
もちろん、誰もがすぐに始められるわけではない。がんの種類や進行度、個々の体調によって無理は禁物だ。今回の研究でも、医師の助言を受けながら、自分に合った運動を続けることの大切さが強調されている。また、運動支援のための専門スタッフや制度の整備が今後の課題でもある。
出典:
Brisk walks could cut risk of death for colon cancer patients by more than a third, study finds
Exercise slashes risk of death in patients with colon cancer – study
Exercise Extends Life for People With Cancer, Study Shows
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