「便秘が続く」は危険信号?大腸がんと過敏性腸症候群の違いと、医療機関にかかる目安とは|医師が解説
便秘以外にもある重要な危険信号とは?一般的な便秘との違いや、医療機関にかかる目安について医師が解説します。
「便秘が続く」は危険信号?大腸がんと過敏性腸症候群の見分け方
「最近ずっと便秘気味…」という悩みをかかえていませんか?
もしかすると、便秘症状は、ただの生活習慣の乱れではなく、大腸がんや過敏性腸症候群など、重大な病気のサインかもしれません。
特に、大腸がんや過敏性腸症候群など、似た症状でも原因は大きく異なります。
今回は、便秘が続くときに注意すべきポイントと、大腸がんと過敏性腸症候群の見分け方をわかりやすく解説します。
便秘は、一時的な便秘と、慢性的な便秘がありますが、主に、「排便回数が週3回未満」だけでなく、「残便感」や「硬便」などの症状も便秘に関連しています。
年齢とともに、腸の働きは変化するといわれています。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群という病気の特徴としては、下記が挙げられます。
□若い世代に多い
□ストレスと関連している
□症状タイプとして便秘型・下痢型・混合型がある
□痛みが排便で軽くなる傾向がある
基本的には、過敏性腸症候群の場合には、腸に構造的異常は見られません。
大腸がん
一方で、大腸がんの場合には、40歳以上、家族歴、生活習慣(肉中心、運動不足、喫煙など)が発症リスクとなります。
便秘だけでなく、「便が細くなった」、「血便が出る」、「貧血や体重減少」なども重要な警告サインとなります。
大腸がんの初期段階では、無症状のことも多いため、便秘だけの症状だからといって、油断しないことが重要です。
両者を見分けるために必要なことは、医師による問診と身体診察、大腸内視鏡検査(最も確実な検査)、あるいは血液検査や便潜血検査も参考になります。
便秘が続くときに、突然に便通パターンが変わった、便に血が混じっている、夜間にも腹痛や便意があるというような場合は、すぐに専門医療機関へ行きましょう。
大腸がんと過敏性腸症候群(IBS)は、どちらも便通異常や腹痛を引き起こすことがありますが、原因・危険度・検査結果・治療法が大きく異なります。
40歳を過ぎてから便通に変化がある際には、大腸がんの検査を受けるべきでしょう。
血便や体重減少、貧血所見を認めた場合には、大腸がんなど器質的疾患の存在を疑います。
一方で、腹痛が排便で楽になる、便秘と下痢を繰り返す、検査で異常がないのに症状が続く場合には、過敏性腸症候群の可能性が高いと考えられます。
一般的な便秘と大腸がんの違いや、医療機関にかかる目安
一般的な便秘と大腸がんの違いのひとつとして、発症の経緯が挙げられ、前者では、生活習慣や食事変化、ストレスなどがきっかけで徐々に進行する一方で、大腸がんでは、比較的急に始まり、悪化していく傾向があります。
便の性状
便秘では、コロコロ便や硬い便が多い一方で、大腸がんでは、細くなった便(鉛筆状など)がみられたり、便に血が混じることも考えられます。
便通の変化
便秘では慢性的(数年単位)で波がありますが、大腸がんの場合には、以前とは明らかに違うパターンが続きます。
便秘に伴う症状
排便後に改善する腹部不快感が多いですが、大腸がんは、夜間の腹痛を認め、排便しても痛みが続くこともあります。
便秘だけの際には、体重はほとんど変化がありませんが、大腸がんの場合には、原因不明の体重減少、疲れやすさ、貧血などを伴うことが考えられます。
年齢層
幅広い年代(特に若年~中年女性)に便秘は見られる一方で、40歳以上で発症した場合は大腸がんに要注意です。
突然、便通パターンが変わって、毎日排便していた習慣が、週1回以下に変化する際には、すぐに医療機関を受診しましょう。
それ以外にも下記のサインがあれば、大腸がんを疑うので、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。
- 血便や黒色便がある
- 便が細くなって形状が不自然である
- 強い腹痛が続いて夜間にも腹痛が起きる
- 原因不明の体重減少
- 倦怠感
- 貧血など
ストレスや旅行、食事の変化による一時的な便秘、水分不足や運動不足が原因と考えられる便秘、市販の便秘薬や生活改善で明らかに改善する便秘の場合には、しばらく様子を見てもいいでしょう。
40代以降の便通の「変化」は、加齢だけで片付けず、一度は大腸内視鏡検査を受けておくとより安心です。
まとめ
便秘は、日常的に「よくあること」として軽視されがちです。
ところが、その背景には深刻な病気が隠れていることもあります。
特に、今までと違う便秘や、他の症状を伴う場合には、大腸がんや過敏性腸症候群などの病気の可能性がありますので、早めの受診が大切です。
自分の安心のためにも、一度専門医師に相談してみましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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