「便秘が続く」は危険信号?大腸がんと過敏性腸症候群の違いと、医療機関にかかる目安とは|医師が解説

「便秘が続く」は危険信号?大腸がんと過敏性腸症候群の違いと、医療機関にかかる目安とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-06-20

便秘以外にもある重要な危険信号とは?一般的な便秘との違いや、医療機関にかかる目安について医師が解説します。

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「便秘が続く」は危険信号?大腸がんと過敏性腸症候群の見分け方

「最近ずっと便秘気味…」という悩みをかかえていませんか?

もしかすると、便秘症状は、ただの生活習慣の乱れではなく、大腸がんや過敏性腸症候群など、重大な病気のサインかもしれません。

特に、大腸がんや過敏性腸症候群など、似た症状でも原因は大きく異なります。

今回は、便秘が続くときに注意すべきポイントと、大腸がんと過敏性腸症候群の見分け方をわかりやすく解説します。

便秘は、一時的な便秘と、慢性的な便秘がありますが、主に、「排便回数が週3回未満」だけでなく、「残便感」や「硬便」などの症状も便秘に関連しています。

年齢とともに、腸の働きは変化するといわれています。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群という病気の特徴としては、下記が挙げられます。

□若い世代に多い

□ストレスと関連している

□症状タイプとして便秘型・下痢型・混合型がある

□痛みが排便で軽くなる傾向がある

基本的には、過敏性腸症候群の場合には、腸に構造的異常は見られません。

大腸がん

一方で、大腸がんの場合には、40歳以上、家族歴、生活習慣(肉中心、運動不足、喫煙など)が発症リスクとなります。

便秘だけでなく、「便が細くなった」、「血便が出る」、「貧血や体重減少」なども重要な警告サインとなります。

大腸がんの初期段階では、無症状のことも多いため、便秘だけの症状だからといって、油断しないことが重要です。

両者を見分けるために必要なことは、医師による問診と身体診察、大腸内視鏡検査(最も確実な検査)、あるいは血液検査や便潜血検査も参考になります。

便秘が続くときに、突然に便通パターンが変わった、便に血が混じっている、夜間にも腹痛や便意があるというような場合は、すぐに専門医療機関へ行きましょう。

大腸がんと過敏性腸症候群(IBS)は、どちらも便通異常や腹痛を引き起こすことがありますが、原因・危険度・検査結果・治療法が大きく異なります。

40歳を過ぎてから便通に変化がある際には、大腸がんの検査を受けるべきでしょう。

血便や体重減少、貧血所見を認めた場合には、大腸がんなど器質的疾患の存在を疑います。

一方で、腹痛が排便で楽になる、便秘と下痢を繰り返す、検査で異常がないのに症状が続く場合には、過敏性腸症候群の可能性が高いと考えられます。

一般的な便秘と大腸がんの違いや、医療機関にかかる目安

一般的な便秘と大腸がんの違いのひとつとして、発症の経緯が挙げられ、前者では、生活習慣や食事変化、ストレスなどがきっかけで徐々に進行する一方で、大腸がんでは、比較的急に始まり、悪化していく傾向があります。

便の性状

便秘では、コロコロ便や硬い便が多い一方で、大腸がんでは、細くなった便(鉛筆状など)がみられたり、便に血が混じることも考えられます。

便通の変化

便秘では慢性的(数年単位)で波がありますが、大腸がんの場合には、以前とは明らかに違うパターンが続きます。

便秘に伴う症状

排便後に改善する腹部不快感が多いですが、大腸がんは、夜間の腹痛を認め、排便しても痛みが続くこともあります。

便秘だけの際には、体重はほとんど変化がありませんが、大腸がんの場合には、原因不明の体重減少、疲れやすさ、貧血などを伴うことが考えられます。

年齢層

幅広い年代(特に若年~中年女性)に便秘は見られる一方で、40歳以上で発症した場合は大腸がんに要注意です。

突然、便通パターンが変わって、毎日排便していた習慣が、週1回以下に変化する際には、すぐに医療機関を受診しましょう

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それ以外にも下記のサインがあれば、大腸がんを疑うので、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。

  • 血便や黒色便がある
  • 便が細くなって形状が不自然である
  • 強い腹痛が続いて夜間にも腹痛が起きる
  • 原因不明の体重減少
  • 倦怠感
  • 貧血など

ストレスや旅行、食事の変化による一時的な便秘、水分不足や運動不足が原因と考えられる便秘、市販の便秘薬や生活改善で明らかに改善する便秘の場合には、しばらく様子を見てもいいでしょう。

40代以降の便通の「変化」は、加齢だけで片付けず、一度は大腸内視鏡検査を受けておくとより安心です。

まとめ

便秘は、日常的に「よくあること」として軽視されがちです。

ところが、その背景には深刻な病気が隠れていることもあります。

特に、今までと違う便秘や、他の症状を伴う場合には、大腸がんや過敏性腸症候群などの病気の可能性がありますので、早めの受診が大切です。

自分の安心のためにも、一度専門医師に相談してみましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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