血便の色は「赤」だと思い込んでいませんか?医師が教える、見逃しがちな血便の色と深刻な病気のサイン
健康診断の便潜血検査で引っかかったとき、なぜ? と思った人も多いはず。多くの人は血便と言えば、真っ赤な血が混ざっている状態を想像します。でも検査に出した便に、血はついてなかったはずなのに……。実は便に混ざった血は、体のどこで出血しているかによって、色が変わってくるんです。
見てわかる血便、わからない血便
血便は、2種類あります。ひと目で鮮血がわかる肉眼的血便と、見た目ではわからない、顕微鏡的血便です。この顕微鏡的血便は、便潜血検査で判明します。
なぜ血が混じっているのにわからないかというと、血が微量だったり、消化液や鉄分のせいで黒く変化していたりすることがあるから。でもそのおかげで、混じった血の色を調べれば、おおよそ体内のどの辺で出血しているのかがわかります。
*鉄分サプリなどで、便が黒くなる場合もあるのでご注意ください。
血便がでても、あわてない!
血便で大量の出血が起こることは、ほぼありません。まれに、いぼ痔の内痔核の出血で、便器が真っ赤にみえるくらい血が出ることがあります。これは、広がって見えるだけで、実際は見た目ほど量は出ていないので、慌てないで大丈夫。
それよりも、血便が出たせいで脈が速くなったり、息苦しさ、めまい、動悸などの貧血症状が伴うなら、すぐに消化器内科を受診しましょう。その際、血便の色や様子をしっかり観察しておき、正確に医師に伝えることが、正しい診断の近道になります。
血便に潜む、病気リスク
血便が出ている=体内で出血している、ということ。そのため、痔はもちろんのこと、大腸がんや胃がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などが起こっている可能性が捨て切れません。
大きな病気ほど、その症状は体の奥でサイレントに進行していくもの。だからこそ、肉眼的に判明したり、便潜血検査で引っかかったなら、放置はNG。まだ大丈夫、これは痔だからと言い訳せずに、できるだけ速く消化器内科へ受診することを覚えておきましょう。
まとめ
今はがんになっても、早期発見さえできれば、完治を目指せる時代です。怖いのは、手遅れになること。体が発する病気初期サインは、手遅れ阻止に欠かせません。健康は、まさに日々の積み重ね。自分の体を労わりながら、健康寿命を全うしていたいものです。
教えてくれたのは…船越真木子(ふなこし・まきこ)先生
京都にある「まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」院長。2005年神戸大学医学部卒。その後、基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん死の第一位である大腸がん、第二位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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