胃腸科専門医が解説!あなたの「トイレ習慣」は正常?【排便時にやってしまいがちな6つの間違い】
そう、今回は便通のお話。
全人類に共通することがあるとすれば、それはトイレに行くことです。呼吸や睡眠に次ぐ基本的な身体機能のひとつであり、誰もが毎日経験することです。実は、トイレに行くことは、消化機能の一部であり、私たちの体にとって最も健康的なことの一つなのです。
トイレで過ごす時間に関して多くの人を悩ませるのが、何が「正常」で、何が「正常でない」かということあります。実は、便通に関して言えば、正常の範囲は広いと言えます。例えば、1日に3回排便がある人もいれば、3日に1回排便がある人もいて、どちらも正常とみなすことができると、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の消化器科医で消化器質改善ディレクター、医学助教授、大腸がん対策委員会メンバーでもあるフォーラ・メイ医師兼博士は述べています。正常かどうかの判断で最も重要なのは、気になる症状がないことを確認することだと彼女は説明します。
「排便は歯磨き粉程度の柔らかさで、あまり力を入れずに済み、トイレから立ち上がったときにまだ便が残っているような感覚がないことが大切です」。「さらに、排便時に血や粘液、痛みがある場合は、医師の診察が必要です。また、便が非常にゆるい場合や、トイレに間に合わない場合も同様です」。
自分のトイレ習慣が正常と見なされるかどうかわからない?ここでは、トイレで過ごす時間とそれが健康に及ぼす影響に関して、やってしまいがちな事をご紹介しましょう。
排便時に起こり得る6つの注意
1.トイレで長時間過ごす
自宅やオフィスに長時間過ごす部屋がある中、トイレはその一つであるべきではありません。−特にトイレに座っているときは尚更です。トイレがメールやSNSをする時間になっている人も、排便に長時間かかる人も、トイレで長時間過ごすことはNGだとメイ医師は言います。
「便座で長時間過ごすと、下を向いてしまう傾向があり、直腸と肛門の圧力が高くなります。この部分に下向きの圧力が長時間かかると、痔の発症の一因となり、骨盤の筋肉を長期にわたって弱める可能性があります」と彼女は言います。
さらに:私たちの体は、実際にこのような長時間の排便に慣れてしまい、時間が経つにつれてこのような行動が多くなる可能性があると、彼女は警告しています。「健康的な便は、1~2分で簡単にできるはずです。頻繁に力んだり、緊張、痛みや不快感を覚えたり、長時間かかる場合、何が原因かかかりつけ医に相談することをお薦めします」と医師は述べています。
2.力んだり、いきんだりする
「力んだり、いきんだり、長時間トイレにいても便を出し切れない感覚があったりする場合、便秘の問題を抱えているかもしれません」とシカゴの胃腸科医、アンドリュー・ムーア医師は言います。
「便秘には様々な原因があります。最も一般的なのは食事中十分な食物繊維を摂取していないこと、十分水分を摂っていないこと、座り姿勢中心の生活を送っていることです」と彼は言います。
便秘は、出血や痛みを引き起こす痔などの不快な症状を引き起こす可能性があるため、トイレ習慣を見直すことを医師は勧めます。「穀物、シリアル、果物、野菜を食事に取り入れ、サイリウムハスクパウダー(オオバコ属の種子殻を粉末状にしたもの)などの市販サプリメントで水溶性食物繊維を取り入れてみましょう」と医師は言います。また、水分補給を怠らず、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が推奨する毎週150分の身体活動を行うことも推奨しています。
3.硬くて小さなコロコロした便が出る
硬くて小さなコロコロした便が出る場合は、便秘が原因でしょう。その場合は、かかりつけ医に予約して、根本的な原因を突き止めることをお勧めします。
「場合によっては、便通を整えるために薬を使用する必要があります」と、医師は言います。「非常に少ないケースではあるものの、硬くて小さなコロコロした便が、消化器系で懸念すべき何らかのサインである可能性があります。ですからかかりつけ医に診てもらうことが重要です」。
4.排便の回数が多い、または便がゆるい
「1日3回便通があったとしても正常ではあるものの、それ以上の回数である場合や通常よりも便がゆるい場合は、問題を疑っても良いでしょう」と、マサチューセッツ州アクトンにあるミドルセックス・消化器健康 & 内視鏡センターに勤務する胃腸科医のベンジャミン・ハイアット医師は述べています。特定の食品を食べるときだけこの便の回数になる場合、ラクトース (乳製品) などの食物不耐症の影響かもしれません。
「乳製品など、気になると思われる食品を避けてみてもよいのですが、症状が続く場合やよくわからない場合は、医師に聞いてみるとよいでしょう」と医師は述べます。
また、下痢や腹痛、吐き気や嘔吐などの症状が突然現れた場合、胃腸の感染症も考えられます。「このような場合は、電解質溶液の飲料で水分補給を心がけ、症状が続くようであれば、医師の診断を受けるべきです」とハイアット医師は付け加えます。
5.便通が頻繁に変化する
便通が頻繁に変わるようなら、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があると、ムーア医師は警告しています。「これはガスや膨満感、しばしば排便でよくなる腹痛の症状と関連している可能性があります」と彼は言います。「これらの症状がある場合、医師に適切な診断を受け、管理方法をアドバイスしてもらい、他に症状を引き起こす原因はないかをチェックしてもらうべきです」。
6.便に血が混じっている
便の中や便器、拭いた後のトイレットペーパーに血が混じっていたら、非常に深刻に受け止めるべきだ、とメイ医師は警告しています。
「一般的で治療可能な痔の兆候である場合もありますが、大腸や小腸で何かもっと深刻なことが起こっている兆候である場合もあります」と彼女は言います。「便に血が混じっている人は、その症状をかかりつけ医に相談し、出血の原因を特定する大腸内視鏡検査のため、消化器科の専門医を紹介してもらいましょう」と彼女は述べています。
トイレ習慣に関係なく、アメリカがん協会は、平均的なリスクのあるすべてのアメリカ人に45歳から大腸癌検診を推奨しています。大腸がんやある種のポリープの家族歴がある方、炎症性腸疾患の既往がある方、腹部や骨盤部への放射線照射の経験がある方は、もっと早くから検診を受けるべきです。
教えてくれたのは……ジェン・シンリッチさん
ジェン・シンリッチさんはマサチューセッツ州ボストンに暮らし、ライター、デジタル&ソーシャルエディター、コンテンツストラテジストとして活動している。SELF, Women's Health, Martha Stewart Weddings, Reader's Digest, PureWowなどの多くの媒体で寄稿している。https://jennsinrich.com/
ヨガジャーナルアメリカ版/「How to Know If You Have Normal Bathroom Habits, According to Gastroenterologists」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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