鶏肉をよく食べる人は寿命が短い?!伊大規模研究が鶏肉の意外なリスクを示唆|食べるときの注意点とは

 鶏肉をよく食べる人は寿命が短い?!伊大規模研究が鶏肉の意外なリスクを示唆|食べるときの注意点とは
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山口華恵
山口華恵
2025-05-14

「鶏肉は赤身肉よりヘルシー」という考えは、長らく一般的な常識だった。しかしその常識に一石を投じる研究が、昨年発表された。健康的なイメージが強い鶏肉の裏に潜むリスクが18年にわたる追跡調査で判明したのだ。

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週300グラム以上の摂取で死亡リスクが27%上昇、特に消化器系がんに注意

学術誌『Nutrients』に掲載された今回の研究は、イタリア南部で実施されたもので、4800人以上の住民を対象に18年以上の追跡調査を行った大規模な疫学研究である。調査では、肉の摂取量を「赤身肉」「白身肉(鶏肉・七面鳥など)」に分け、週当たりの摂取量に応じて参加者を4つのグループに分類した。その結果、白身肉を週に300グラム以上食べるグループでは、週100グラム未満のグループに比べて全死因死亡リスクが27%高いことが明らかになった。さらに、消化器系がんによる死亡リスクは2倍以上に上昇しており、これまでの健康イメージを覆す衝撃的な内容となっている。

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鶏肉が危険なのではなく、食べ方に注意する必要がある

とはいえ、研究者たちは「この結果をそのまま『鶏肉は体に悪い』と解釈すべきではない」と注意を呼びかけている。リスクを高める要因にはいくつかの仮説があり、主に「調理法」「加工度」「生活習慣の違い」が指摘されている。まず注目されているのが調理法だ。アメリカ栄養士会のスポークスパーソンのテレサ・ジェンティルによれば、「鶏肉を高温で焼いたり揚げたりすると、ヘテロサイクリックアミン(HCA)や多環芳香族炭化水素(PAH)といった発がん性物質が生成される」という。特にバーベキューやフライドチキン、直火グリルでの調理は注意が必要だ。

さらに、今回の研究では鶏肉が加工食品であったかどうかの区別がされていない。ナゲットやハム、チキンパティといった加工肉は、塩分や保存料、飽和脂肪酸を多く含み、知らず知らずのうちに健康を害している可能性も否定できない。また、肉の選び方だけでなく、運動習慣や野菜の摂取量、アルコールの摂取状況といった生活全体の違い(交絡因子)が死亡率に影響している可能性もある。つまり、この研究結果が示すのはあくまで「相関関係」であり、「鶏肉が死亡の原因である」とする因果関係が証明されたわけではないという点は理解しておくべきだろう。

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恐れるのではなく、見直すことから始めよう

では、私たちは鶏肉を避けるべきなのだろうか? 答えは「いいえ」。むしろ、「食べる量と方法を見直すこと」が大切だ。まず、できる限り加工されていない新鮮な鶏肉を選ぶことが重要である。市販のナゲットや冷凍チキンなどは手軽だが、塩分や添加物が多く含まれており、健康リスクが高まる。また、有機飼育や放し飼いの鶏肉を選ぶことで、抗生物質やホルモンの使用を避けられる可能性があり、体への負担を減らすことができる。

調理法も見直しポイントだ。高温調理は控え、蒸す・煮る・低温での焼き調理がおすすめだ。こうした方法なら、発がん性物質の発生を抑えられるだけでなく、素材のうまみも生かせる。さらに、動物性たんぱく質ばかりに偏るのではなく、豆類や魚、豆腐などの植物性たんぱく質を積極的に取り入れることも、栄養バランスの面から重要である。サーモンなどの脂の乗った魚は、オメガ3脂肪酸が豊富で抗炎症作用も期待できる。テレサ・ジェンティルはこう語る。「この研究は、私たちに『食べ方を見直すきっかけ』を与えてくれました。特定の食品だけを良い・悪いで判断するのではなく、食事全体のバランスを考えることが、長期的な健康につながります」。

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出典:
Eating Chicken Regularly Could Increase Your Mortality Risk, New Study Suggests
Eating Chicken and Other White Meat Can Shorten Your Lifespan, New Study Says

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