【ささみ・胸肉・もも肉・手羽先】栄養価が高いのはどれ?調理のポイントは?鶏肉の疑問を栄養士が解説


鶏肉には、肌や筋肉、成長ホルモンや細胞をつくるために欠かせないたんぱく質が豊富です。食卓にも並びやすい鶏肉ですが、ささみ、胸肉、もも肉、手羽先と種類が多く、どれを選ぶべきか迷うことはありませんか。今回は、鶏肉の部位別で栄養素にどんな違いがあるのか、また調理のポイントについても管理栄養士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
鶏肉の部位
鶏肉の部位には、胸肉、もも肉、ささみ、ハツ、レバー、せせり、手羽先、手羽元、手羽中、砂肝、テール(ぼんじり)、皮と、様々な種類があります。現代の食生活で不足しがちなたんぱく質を多く含み、他の肉類よりも低カロリーで低価格なのが魅力です。

部位別の栄養素の違い
鶏肉は部位によってカロリーにも差はありますが、注目したいのはたんぱく質と脂質です。また、含まれているビタミン類にも違いがあります。精肉店やスーパーで購入しやすい部位について、たんぱく質と脂質の違いをみてみましょう。
部位によるたんぱく質・脂質の違い(100g中)
たんぱく質 脂質
胸肉(皮なし) 23.3g 1.9g
もも肉(皮なし) 19.0g 5.0g
ささみ 23.9g 0.8g
手羽先 17.8g 14.3g
皮 6.6g 51.6g
胸肉
胸肉はたんぱく質がささみの次に多く、脂質も少ないのが特徴です。鶏肉の中でも安価なので、家庭のたんぱく質補給の救世主といえます。ビタミンB1やナイアシンなどのビタミンB群のほか、近年注目されている疲労回復成分イミダゾールジペプチドが豊富に含まれています。体の酸化を防ぐ効果のあるアミノ酸で、羽を動かし続けるニワトリにとって、胸の筋肉に必要な栄養素です。
もも肉
たんぱく質はささみ、胸肉の次に多いですが、皮なしでも脂質はやや高いのが特徴です。その分、肉はやわらかく煮込んでも硬くなりにくいので様々な料理に使えます。粘膜を保護し、健康な肌や美髪を作る働きのあるビタミンB2が、他の部位より約2倍含まれています。カルシウム生成や血液のサポートをするビタミンKも豊富です。
ささみ
たんぱく質が鶏肉の中で一番多く、脂質が少ないので一番ヘルシーな部位といえます。脂肪を気にすることなくたんぱく質をしっかり補給できるので、ダイエットやトレーニング中におすすめです。ただし、脂質が少ない分加熱するとパサついてしまうのが難点。価格も他の部位より高めです。
手羽先
手羽先は、皮も含まれているため脂質がやや高めの印象ですが、手羽元も含めコラーゲンが豊富な部位です。コラーゲンは、体内に直接取り込むことはできませんが、食べることでコラーゲンの生成を活性化させることができます。近年では、血管を強くするという効果も報告されていて、美容だけでなく健康にもよい成分であると期待されています。
皮
鶏皮はとても脂質の高い部位ではありますが、コラーゲンの他、エネルギー代謝を助けるナイアシンやビタミンKも豊富に含まれています。ナイアシンは加熱には強いのですが水溶性なので、脂質を下げるために茹でてしまうと損です。焼き鳥なら、油を落としながら焼くことで脂質を抑えることができます。

鶏肉調理のポイント
◆汁ごと食べられる調理が◎
鶏肉に豊富に含まれているビタミンB群は水溶性のため、茹でたり煮込んだりすると煮汁に溶け出してしまいます。汁ごと食べられる煮込み料理にすると栄養を丸ごと摂取することができます。
◆お酢でカルシウム吸収率アップ
手羽元や手羽先などの骨の周りの肉は、煮込むことで骨から溶け出すカルシウムを摂ることができます。カルシウムは吸収率が約30%と低いですが、お酢を加えることで吸収率を約2倍にアップさせることができます。
◆水分を保ってパサつきなし!
どうしてもパサついてしまいがちな胸肉やささみですが、焼く前に水分を筋繊維に入れ込むと、水分を保った状態をキープすることができます。料理酒か海水程度の塩水に浸し2時間程度置いておきましょう。焼くときは、弱火でじっくりがポイントです。茹でる場合は、肉を入れてから火にかけ、沸騰したら火を止め蓋をして10分程度置きます。

まとめ
鶏肉の部位と特徴、調理のポイントについてお伝えしました。ぜひ、毎日の食卓に上手に取り入れてみてくださいね。
<参考文献>
完全版その調理、9割の栄養捨ててます!/世界文化社
あたらしい栄養学/高橋書店
<ライター>やなぎかおり
特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経て、ヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。
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