【疑問】「小児科は何歳まででしょうか?」意外と知らない「小児科の対象患者」とは|医師が解説

 【疑問】「小児科は何歳まででしょうか?」意外と知らない「小児科の対象患者」とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-03-14

小児科の対象患者とは?小児科で扱う疾患の代表例とは?医師が解説します。

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小児科は何歳までの患者さんを対象にしているのか?

基本的に、大人と子どもでは、同じ疾患であっても、出現する症状などに若干の違いがありますし、特に子どもは自分自身の口で正確に症状を伝えられないこともあります。

小児科の診療場面では、子どもの成長と発達を考慮して、患者さんの年齢に合わせて、全身の診察を丁寧に行います。

一般的には、15歳(中学3年生)までの年齢が小児科の対象患者と考えられています。

また、日本小児科学会は、小児科が診療する対象年齢を「成人するまで」としています。

この背景としては、15歳という年齢になると、大人と同量の薬剤を処方できることが主な理由であると考えられます。

ただし、15歳以降でも小児科を受診するケースはあり、例えば、幼少期から喘息やアレルギーといった慢性疾患を抱えている場合は、15歳を過ぎてからの時期でも、かかりつけの小児科を受診するパターンもあります。

昨今においては、新生児から乳児、幼児、学童期だけでなく、思春期の間には、成人とは違ったその時期に特化した病気や健康トラブルが考えられるため、思春期(時に20歳頃)まで小児科を受診する対象となる場合も想定されます。

小児科で扱う疾患の代表例

特に、小児科領域で扱う疾患の代表例として、アレルギー疾患があります。

通常、1歳未満の乳児期は食物アレルギーなどを引き起こしやすく、その際には、適切な対策が必要なので、アレルギー専門の小児科医などに相談することをおすすめします。

また、1歳から小学校入学(6歳未満)までの幼児期は、喘息やアトピー、花粉症などの病気が認められやすい時期として認識されていますので、必要に応じて小児科を受診することが重要です。

小児科におけるアレルギー検査

IgE抗体検査、皮膚テスト、血中好酸球数などが挙げられます。

実際に、乳幼児などに食べ物に関連するアレルギーがあるのか、何に対してアレルギー反応を引き起こすのか、検査する場合に血液検査が実施されることがあります。

血液検査だけですべてのアレルギーの診断を確定することはできませんが、血液検査結果を参考にしてアレルギー感作が陽性であるかどうかを評価できます。

IgE
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血液検査などの検査結果と、臨床的な自覚症状を組み合わせた総合判断が重要となります。

血液検査自体は、数分で処置完了しますし、結果が出るのは1週間~2週間程度かかる場合もあります。

赤ちゃんでも受けられるアレルギー検査

「ドロップスクリーン検査」が知られています。

この検査では、上肢の血管から採血して測定する従来のアレルギー検査とは異なり、指先に小さな針を刺してたった1滴の血液からアレルゲンを調査することができます。

ドロップスクリーン検査をすることで、花粉や食べ物、ハウスダストやダニなど41項目のアレルゲンを調べることが可能ですし、この検査方法であれば検査した翌日以降にすぐに結果が判明します。

アレルギー症状は、そのままの状態をしばらく放置しているとアレルギー性鼻炎だけでなく、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などさまざまなアレルギー疾患を悪化させて、アレルギーマーチという悪循環に陥るリスクもあります。

したがって、できる限り適切にアレルゲンを特定して、早めに治療対策することが重要です。

まとめ

子どもと大人では同じ病気であっても症状のあらわれ方や程度が違うため、さまざまな診療科があるなかで、子どもの不調はまず小児科に相談するとよいでしょう。

小児科の専門医師は、アレルギー疾患を含めて、子ども特有の病気や症状の出現様式を熟知しているので、幅広い観点から全身診察をしてもらえます。

一般的に、小児科を受診する場合には、15歳までが通常ですが、長い経過をたどる病気の場合には、その子供の成育歴や治療歴をよく理解しているかかりつけの小児科医に長期的に診察してもらうのが安心です。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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