気候変動対策の鍵に？国立公園の菌類由来、ビル・ゲイツお気に入りのサステナブルなヨーグルトとは？

ビル・ゲイツがお気に入りの菌類由来のヨーグルト、気候変動対策の鍵に

ビル・ゲイツが最近公開したThreadsの投稿で、自身が楽しんで食べている菌類由来のヨーグルトについて語り、その環境への利点を強調した。マイクロソフトの創業者であり、世界的な慈善家であるビル・ゲイツは、気候変動への解決策を推進する中で、この新しい食品の可能性を紹介した。このヨーグルトは、味覚的な魅力だけでなく、地球環境にも優しいという。

未来の気候変動解決策に期待を込めて

今回のThreadsでの投稿では、ビル・ゲイツは2025年に向けた気候変動対策への希望を語り、特に日常生活における新たな技術革新について触れた。例えば、エネルギー消費を抑える真空断熱窓や、電気自動車用の新型バッテリー、そして炭素回収技術の進歩が挙げた。その中で、乳製品代替市場での進展についても触れた。「2025年には、気候変動への革新的テクノロジーが私たちの家庭や職場、スーパーに入り込み、日常生活の一部になるでしょう。それは単に気候変動と戦うためだけではなく、時間を節約し、コストを削減し、より良い成果をもたらすからです」とビル・ゲイツは記した。

イエローストーン国立公園で採取された菌類由来ヨーグルト

ビル・ゲイツが言及した乳製品不使用のヨーグルトは、シカゴを拠点とするフードテック企業「Nature’s Fynd」が開発した「Fy Yogurt」のこと。このヨーグルトは、ストロベリー、ピーチ、バニラの3つの味があり、主成分は「Fy Milk」という乳製品不使用のミルクである。このミルクは、イエローストーン国立公園を起源とする天然由来の微生物（Fusarium strain flavolapis）に由来する栄養価の高い菌類を発酵させて作られており、20種類のアミノ酸をすべて含んでいるという。

菌類の持つ可能性と畜産の課題

菌類は最も持続可能な食品原料のひとつとされており、栽培に必要な資源（土地、水、エネルギー）が非常に少ないことが特徴だ。その上、栄養価が高く、用途も多岐にわたる。「Nature’s Fynd」は現在、ヨーグルトだけでなく、菌類を使った代替ミートの開発も行っている。一方、動物を基盤とする農業は資源の消費量が多い産業である。例えば、オックスフォード大学が運営しているウェブサイト「Our World in Data（データで見る私たちの世界）」によると、畜産業は農業用地全体の約80%を占めているが、そこから得られるのは世界のカロリー供給の約17%に過ぎない。また、牛などの家畜は温室効果ガスであるメタンを大量に排出しており、1頭の牛は年間約100kgのメタンを放出する。メタンは二酸化炭素よりも28倍強力な温室効果ガスである。

ビル・ゲイツの植物性食品への支援

ビル・ゲイツは、「Nature’s Fynd」社への財政的支援も行っている。2022年には、自身の非営利財団「ビル＆メリンダ・ゲイツ財団」を通じて、菌類発酵技術を低・中所得国の農業コミュニティに導入するため、470万ドル以上の助成金を提供した。この助成金により、栄養に恵まれない地域での技術普及が期待されている。また、同社以外にも、ビル・ゲイツは植物性代替肉ブランドにも投資を行っている。昨年には「植物性肉が未来である」と語っている。

ゲイツは今回のThreads投稿で、植物性肉や菌類由来のヨーグルト、断熱窓のようなイノベーションは、環境保護だけでなく、ビジネスにも大きなメリットがあると述べている。「気候変動への解決策は市場における解決策でもあります。これらに投資する企業は、単に未来を守るだけでなく、未来を手に入れるのです」と強調した。これからの数年、ゲイツの提唱する気候変動対策がどのように私たちの日常生活に影響を与えるのか、大いに注目されている。菌類由来の食品がもたらす新たな可能性が、持続可能な未来への一歩となるかもしれない。

出典：
Bill Gates’ Favorite Yogurt Is Made From Fungi, Not Dairy, and It’s a Game-Changer for the Planet
What Bill Gates Eats For Breakfast (Hint: It’s Fungi-Based)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Bill Gates-Backed Nature’s Fynd Says It’s Launching The World’s First Fungi Protein Yogurts at Whole Foods