「前はすぐできたのに…」40代・50代で増える“後回し”。やる気の問題ではない意外な理由
更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
「あとでやろう」
そう思ったまま、気づけば一日が終わっていた。
返信しようと思っていたメール。
片付けようと思っていた書類。
予約しようと思っていた病院。
買おうと思っていた日用品。
前ならすぐにできていたことなのに、最近なぜか後回しが増えてきた。そんなふうに感じることはないでしょうか。
後回しが続くと、
「自分はだらしなくなった」
「やる気がなくなった」
「もっとちゃんとしないと」
と、自分を責めたくなることがあります。
でも、後回しが増えてきたときに見直したいのは、気合いや根性ではありません。
まずは、「そのことを大きく考えすぎていないか」を見てみてください。
ひとつのことが、頭の中で大きくなっている
たとえば、「部屋を片付ける」。
言葉にすると一つですが、実際には、
ゴミを捨てる。
服をしまう。
書類を整理する。
机の上を片付ける。
掃除機をかける。
いくつもの作業が入っています。
「メールを返す」も同じです。
内容を読み返す。
何と返すか考える。
文章を作る。
失礼がないか確認する。
送信する。
頭の中では、ひとつの予定がいくつもの作業になっています。
そう考えると、「あとでやろう」と思うのも不思議ではありません。
やる気がないというより、始める前から大きな作業として見えているのかもしれません。
「終わらせる」ではなく「始める」に変える
そんなときにおすすめなのが、
「全部終わらせよう」としないことです。
部屋を片付けるのではなく、
「机の上の紙を3枚だけ捨てる」。
メールに返信するのではなく、
「メールを開くだけ」。
書類を整理するのではなく、
「必要な書類を一か所に集めるだけ」。
買い物に行くのではなく、
「買うものをメモするだけ」。
ここまで小さくしてみます。
大事なのは、「こんなことでは意味がない」と思わないことです。
後回しが続いているときは、終わらせることよりも、まず動き始めることのほうが大切です。
一度始めると、そのまま少し続けられることもあります。
続かなければ、それでもいい。「ひとつやった」で終わっても十分です。
「やる時間」ではなく「始める時間」を決める
後回しを減らそうとして、
「今日は片付けをする」
「夜にメールを返す」
と予定を立てることがあります。
でも、「夜にやる」だと、夜になってもなかなか始められないことがあります。
そこで、
「20時になったらメールを開く」
「朝食のあとに書類を1枚見る」
というように、始めるタイミングだけを決めてみます。
そして、始めたら必ず最後までやる、と決めなくても構いません。
5分でやめてもいい。
ひとつだけでもいい。
「始めなければいけない」というハードルを下げるだけでも、動きやすくなることがあります。
後回しにしているものを全部同じに扱わない
もう一つ見直したいのが、
後回しにしていることを全部「やらなければならないこと」だと思っていないか、ということです。
後回しになっているものを書き出してみると、
本当に今日やる必要があること。
今週中でいいこと。
誰かに頼めること。
やらなくても困らないこと。
が混ざっていることがあります。
それなのに頭の中では、全部が同じくらい重要に感じられてしまう。
すると、
「あれもやらなきゃ」
「これもやらなきゃ」
と考えるだけで疲れてしまいます。
書き出したあと、
「これは今日」
「これは今週」
「これはやらない」
と分けてみてください。
後回しをゼロにするのではなく、後回しにしていいものを自分で決めるのです。
気になっていることほど、一度外に出す
後回しになっていることは、実際にやっていない時間にも頭の中に残っています。
「あれ、まだやってない」
「明日はやらないと」
「忘れないようにしないと」
と思い続けていると、何もしていない時間まで落ち着きません。
そこで、頭の中だけで覚えておかず、一度メモに出してみます。
紙でもスマホでも構いません。
「返信する」
「予約する」
「日用品を買う」
と書くだけです。
頭の中に置いておく必要がなくなるだけでも、少し気持ちが軽くなることがあります。
そのうえで、一番小さいものから手をつける。
全部を一度に片付ける必要はありません。
「すぐやる」が正解とは限らない
よく、
「思いついたらすぐやる」
「2分でできることはその場でやる」
という方法もあります。
確かに、それが合う人もいます。
でも、疲れているときまで全部すぐにやろうとすると、今度は目の前のことに次々と反応することになります。
だからこそ、
「これは今やる」
「これはあとでいい」
を決めることも大切です。
後回しそのものが悪いのではありません。
困るのは、自分でも整理できないまま、すべてを後回しにしてしまうことです。
意識して後回しにするのと、気づけば後回しになっているのでは、少し違います。
後回しが増えたら、生活のサイズを小さくする
以前なら簡単にできていたことが、最近はなかなか始められない。
そんなとき、
「前みたいにちゃんとやろう」
とすると、ますます動きにくくなることがあります。
以前なら部屋全部を片付けていたなら、今日は引き出し一つ。
以前ならまとめて返信していたなら、今日は一件。
以前なら週末に家事を全部終わらせていたなら、今日は一つだけ。
やることのサイズを、今の自分に合わせて小さくしてみる。
後回しが増えてきたときに必要なのは、無理に自分を動かすことではなく、「これならできそう」と思える大きさまで小さくすることなのかもしれません。
後回しが増えた自分を責める前に、
「これは大きすぎないかな」
「最初の一歩は何だろう」
「本当に今日やる必要があるかな」
と、一度立ち止まってみてください。
全部終わらせなくてもいい。
一つ始められたら、それで十分。
そんなふうにハードルを下げることが、また動き出すきっかけになるのではないでしょうか。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





