【最新研究結果】飲酒はまだお腹に宿っていない子ども、孫…次世代にも影響を及ぼす可能性
普段何気なく飲んでいるお酒が、自分自身にだけでなく、未来の自分の子どもや孫の代の健康にまで影響を及ぼすことが最新研究で示された。
これまで、父親の過度な飲酒が子どもの精神的な健康や社会的な発達に悪影響を及ぼすことはよく知られていたが、体へのより長期的な影響についてはあまり注目されていなかった。しかし、最新の研究により、親の飲酒が子どもや孫にまで影響を与える可能性があることが明らかになってきた。
飲酒の影響は次世代にまで及ぶ
飲酒の影響が次世代にまで及ぶという話は、「飲むだけで済まない」問題を浮き彫りにしている。アメリカ テキサス州にあるテキサスA&M大学の生理学教授のマイケル・ゴールディングは、両親の飲酒が将来生まれてくる子どもに与える影響について研究を行った。その結果、父親と母親の両方が飲酒を続けると、子どもが通常よりも早く老化しやすくなり、また病気にかかりやすくなることが分かった。これは、アルコールが体内の「ミトコンドリア」という、エネルギーを生み出す細胞の一部に悪影響を与えるからだ。
ミトコンドリアは、体のすべての細胞に存在し、エネルギーを作り出す役割を持っている。私たちの体を動かすためのエネルギーを供給し、細胞の修復や代謝を助ける重要な部分だが、飲酒によってこのミトコンドリアがうまく機能しなくなると、体は正常に修復できなくなり、結果として早期老化や病気に繋がる。
親の飲酒が子どもの健康に与える影響
この研究で注目すべきは、父親だけでなく、母親の飲酒も次世代に重大な影響を与えるという点だ。ゴールディング教授の研究チームは、飲酒した父親から生まれたマウスが、成人後に肝臓の病気にかかりやすくなることを発見した。特に、両親の両方が飲酒している場合、その影響はさらに深刻になる。例えば、両親が飲酒していたマウスでは、肝臓の病気が発症するリスクが3倍に増加した。
このことから、両親の飲酒が、まだ生まれていない子どもたちの健康に大きな影響を与える可能性があることが明らかになった。親の生活習慣が子どもにどのような影響を与えるかを理解することは、将来の世代の健康を守るために非常に重要だ。
未来の健康のために今できること
親の飲酒習慣が将来の子どもたちに深刻な健康問題を引き起こす可能性があることを知ることで、私たちの生活習慣を見直すきっかけになるだろう。すでに飲酒習慣がある人でも、今からできることはたくさんある。例えば、適度な飲酒を心がけることや、飲酒しない日を設けること、また運動やバランスの取れた食事によってミトコンドリアの健康を保つことが重要だ。これにより、将来の子どもたちの健康リスクを減らすことができるかもしれない。
飲酒の影響が自分自身だけでなく、次世代にまで及ぶ可能性があるという事実は、私たちにとって非常に重要な問題だ。日常的に行う飲酒が未来の子どもたちにどのような影響を与えるのかを理解し、今からでもできることを実践していくことが求められている。未来の家族の健康を守るために、今から一歩ずつ生活習慣を見直してみよう。
出典:
Drinking Alcohol May Impact Future Generations Before They're Conceived
Drinking Alcohol Before Conceiving A Child Could Accelerate Their Aging
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く