"血管の老化"動脈硬化や生活習慣病を改善する運動の内容やポイントは?医師が解説
動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態のことを意味していて、生活習慣病は、普段の食事や運動習慣、あるいは喫煙や飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する高血圧や糖尿病などを含む病気のことを意味します。 日々の生活において、定期的に適切な運動を行うと動脈硬化が改善して、生活習慣病の予防に繋がる可能性があります。 今回は、動脈硬化や生活習慣病を改善する運動内容を中心に詳しく解説していきます。
動脈硬化や生活習慣病とは
動脈硬化は動脈が細くなり、弾力性が失われて硬く脆くなっていく状態であり、動脈硬化の現れ方にはいくつかの様式やパターンがあります。
大動脈など太い血管に起こりやすいのは“粥状動脈硬化と呼ばれていて、ダメージを受けた動脈の内側の壁にコレステロールが沈着して塊(プラーク)を形成します。
動脈硬化を悪化させるリスク因子としては、喫煙、運動不足、過度なストレス、偏った食事、飲酒などが挙げられていて、これらのリスクが重なれば重なるほど動脈硬化を発症するリスクが上昇します。
また、生活習慣病の発症は、その名前からも示唆されるように「日々の生活習慣」が深く関連していて、具体的には、食習慣や運動習慣・休養・喫煙・飲酒などが挙げられます。
例えば、カロリーの過剰摂取は糖尿病につながりますし、塩分過多の食事を摂取している、あるいは毎日の睡眠が十分に取れていない状況では高血圧につながる可能性があります。
動脈硬化や生活習慣病を改善する運動
動脈硬化を改善する、あるいは生活習慣病を予防するために効果的な対策として適度な運動を生活に取り入れて行うことがあります。
例えば、1回30分程度のウォーキングや軽いジョギング、適度な距離のサイクリング、水泳やエアロビクスなどの運動習慣を毎日の生活に取り入れてみましょう。
特にウォーキングは、いつでも気軽に誰でも簡便に実践できますので推奨されますし、適度な運動を実施することにより、太りにくい体質に改善することができます。
また、定期的に運動を実施することによって、肥満が解消される以外にも、高血圧や糖尿病、脂質異常症などを改善する効果を発揮できます。
ただし、基礎疾患を有する中高年齢層の方では、あまり激し過ぎる運動も危険ですし、すでに動脈硬化がある程度進んでいる場合には、いきなり運動を始めると心臓や血管に急激な負担がかかりますので、無理のない範囲で運動するように心がけましょう。
軽い運動をしただけで息が切れてしんどい人は病院へ
万が一、普段の生活において階段を上っただけで息が切れてしんどくなる場合には、まずは病院で精密検査を受けて、どの程度の運動耐容能力があるか評価して医師の指導を受けるように努めましょう。
生活習慣病を予防するための運動には、主に軽めの有酸素運動を長期的に継続して行うことが適切ですので、自分の体力や症状の程度などに合わせて、散歩やサイクリング、アクアスイミングなどから開始するとよいでしょう。
まとめ
これまで、動脈硬化や生活習慣病とはどのような状態か、動脈硬化や生活習慣病を改善する運動内容などを中心に解説してきました。
動脈硬化とは、「老化現象を起こした血管が硬くなってしまった状態」を指しています。
現在ではまだ十分に動脈硬化の原因は特定されていませんが、脂質異常症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病、あるいは肥満や喫煙習慣も、動脈硬化を悪化させる要因となることが判明しています。
動脈硬化が進行して生活習慣病を発症すると、全身の様々な臓器に悪影響を及ぼしますので、できるだけ早期から自分に適した運動習慣を含む生活スタイルの改善などを意識して実践し、動脈硬化進展や生活習慣病発症を予防できるように努めましょう。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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