繰り返す腰痛の対処法【週3回のウォーキングで「腰痛の再発」がほぼ半減に！】研究結果から明らかに

世界中で6億人以上の人が腰痛を経験しており、一旦痛みが治っても再発することが多い。オーストラリア、シドニーにあるマッコーリー大学のタシュ・ポコヴィ博士研究員らは、手頃な価格で比較的利用しやすく、痛みが再発しない方法を見つけたいと考え、対照実験『WalkBack』を企画した。

研究者らは、オーストラリア全土に住む、過去6ヵ月以内に骨折や感染症などの特定の診断を伴わない腰痛を経験し、その後回復した20歳から82歳の701人を選んだ。その中に定期的に散歩をしたり、痛みのケアのために運動プログラムに参加したりしている人はいなかった。

参加者は、理学療法士による個別のウォーキングプログラムと6ヵ月間にわたる6回の教育セッションを受けるグループ、そして介入なしの対照群の2つのグループに無作為に分けられた。

351人の被験者には、民間の理学療法士の助けを借りて、個別のウォーキング・プログラムを作成するよう依頼した。プログラムは継続できるよう、各個人に合わせてアレンジされ、6ヵ月間で週5回、30分までという目安が与えられた。3ヵ月後、参加者のほとんどが週に3〜5日、１週間に合計で平均130分歩いていた。また、腰痛に関する最新の科学的知見についても説明を行い、理学療法士の指導のもとで動くことは安全であることを再確認してもらった、とポコヴィ博士は話す。「多くの人は、腰痛の既往歴があると、動くことを避けたり恐れたりするようになります。」と彼女は言う。

残りの350人の参加者は、そのような腰痛に関する教育やウォーキングプログラムの勧めは受けなかった。その後、参加者全員を最長3年間追跡調査した。どちらのグループに属していても、痛みに対する追加治療を受けることは自由であった。

治療を必要とする再発のリスクがほぼ半減

平均すると、ウォーキングと教育プログラムを受けたグループでは、研究開始から208日後に活動制限のある腰痛が初めて再発したのに対し、介入なしのグループでは112日後であった。ウォーキングと教育プログラムを受けたグループでは、治療を必要とする再発のリスクがほぼ半減した。

さらに、介入なしのグループでは半数がマッサージやカイロプラクティック治療など何らかのケアを求めたのに対し、ウォーキングと教育プログラムを受けたグループでは36％にとどまった。しかし、後者のグループの方が、捻挫など運動による軽い合併症を経験する確率が高かった。

論文の主執筆者である理学療法学教授マーク・ハンコック氏は、この発見は腰痛の対処法に大きな影響を与える可能性があると言う。

「毎日5キロも10キロも歩く必要はありません。ウォーキングは、年齢、地理的位置、社会経済的地位に関係なく、ほとんど誰でも取り組むことができる、低コストで広くアクセス可能な簡単な運動です。我々の研究は、この効果的で身近な運動手段が、他のエクササイズよりもはるかに大きな規模で有効に取り入れられる可能性があることを示しました。」とハンコック教授は話す。

これらの知見を基に、研究チームは現在、再発性の腰痛をもつ患者の日常のケアに、予防的アプローチを組み込む方法を探っていきたいと考えている。

出典

https://www.newscientist.com/article/2436308-walking-helps-keep-people-free-of-lower-back-pain-for-longer/

https://lighthouse.mq.edu.au/article/june-2024/walking-away-from-pain-world-first-study-shows-dramatic-improvement-in-lower-back-trouble

https://www.theguardian.com/society/article/2024/jun/19/walking-three-times-a-week-nearly-halves-recurrence-of-low-back-pain