アーユルヴェーダで喜びをふるまおう!心を豊かにする「植物ベースのごちそう料理」

 アーユルヴェーダで喜びをふるまおう!心を豊かにする「植物ベースのごちそう料理」
Ashton Ray Hanson
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夢が実現するコンクリートのジャングル

ラディがアーユルヴェーダを発見したのはマンハッタンだった。配偶者ビザでは仕事ができず、彼女はひとりでヘルスフードの店に通った。食品ラベルに書かれている原材料を読みながら、彼女は不幸感でいっぱいだった。「ニューヨークに来てから、自分のことがまったくわからなくなっていると気づいたの。始めのうちは自分を他人のように感じたわ」。知らない自分と長い時間を過ごすのは、実際の他人と過ごすよりもずっと恐ろしいことだったと彼女は振り返る。それ以上に問題だったのは、当時の彼女は、自分が好きかどうかがわからなかったことだ。嫉妬や劣等感が頭を支配していた。「いろいろな人に会い、親切なことを言っていたけど、心ではそうは思っていなかった。彼らの態度やまわりからの敬意、柔軟な姿勢などを妬んでいたの。そんな矛盾が嫌だったわ。心の中の自分、言葉の自分というような、ふたりの自分になりたくなかった。真の調和は、思考と言葉、行動がすべて一致している時なの。今の自分は自分じゃないと思ったわ」

好奇心を持ち、心を開いて、彼女は親切な言葉を言いながらネガティブなことを考えてしまう状況を日記に書き始めた。「はっきり言ったことに対して自分は何を考えていたのか、心の中で言いたかったことは何かを書き出したの。書くことで心が鍛えられること、そしてネガティブな思考やエネルギーを放置しておくと、雑草に水をあげてしまうことになるのもわかったわ。水やりは、雑草にすることも種を育むこともできるの」。プラクティスを通して知ったのは、嫉妬心は自分の目的を果たしながら幸せに生きている人に向けられるということ。その多くは、近所のバクティセンターで会うヨガティーチャーたちだった。「彼らのエネルギー、自分自身を信じる気持ち、周囲の人みんなへ与える愛が大好きだったの」と、彼女は言う。「ヨガのティーチャートレーニングを受けて、あんなふうになれるなら、私もなりたいと思ったわ」
ラディはヨガのティーチャートレーニングを通して、人生は他者への奉仕であることをすぐ思い出した。「自分だけの幸福感には限りがあるわ」と、彼女は言う。「人の役に立つことが、何よりも大きな喜びをもたらすの」

彼女は料理と、新しい友人ディヴィヤ・アルターの存在を思い出し、レストランやクラスで手伝えることはないかと尋ねた。アルターは、ティーチャートレーニングを受けていたバクティセンターのアーユルヴェーダの講師であり、レストランのオーナーだった。「ディヴィヤに言ったの、〝私をアシスタントにしてくれないかしら?〞と。〝あなたから学びたい。あなたがやっていることが大好きなの〞とね」
スタッフが足りなかったアルターは、熱心な仲間を歓迎した。「ラディは私のもとにやってきて、〝私は栄養士で料理が大好き。あなたからアーユルヴェーダの料理を学びたい、すべてを学びたいわ〞と言うの。そこで私は〝OK。あなたがここにいる間は、私のアシスタントをするといいわ〞と引き受けたの。私たちは姉妹のようになったわ。彼女はとても謙虚なの。〝洗濯は私がするわ。何でもやるから言ってね〞などとね」。

ふたりの関係は、不定期に2年ほど続いた。ラディは、最終試験を受けるところまではいったものの、ティーチャートレーニングを修了することはできなかった。2018年の7月、彼女とジェイはロサンゼルスに引っ越したからだ。このロサンゼルスの仕事でジェイは、メディアにより深く関わることになっていた。食物やアーユルヴェーダについて学んではいたものの、彼女はまだ自分を疑う気持ちに悩まされ、知識を世界に分かち合う資格はないと思い込んでいた。そこで2020年、彼女はカリフォルニア・カレッジ・オブ・アーユルヴェーダアーユルヴェーダのヘルスカウンセラーの学位を取り、新しく発見した「橋渡しをする」というマインドを持って、オンラインで教え始めた。
ラディが自分の道を見いだし、多くの人に知恵と喜びをもたらす姿を見るのは特別なことだとジェイは話す。「どんな人にも自分自身の可能性と目的があり、自分のタイミングでそれを発見するのだと信じていた。でも、彼女が自らの道を責任を持って進み、成長していったことには驚きを隠せなかったよ。彼女はすべてを自分でやったんだ」

”自分のための幸せには限りがある。何よりも大きな喜びをもたらすのは、人の役に立つことよ。”

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 

気づきをもって料理をする

サンスクリット語"プラシャド"は、愛を持って料理され、信心が吹き込まれ、神へ捧げられ、感謝の祈りが込められた食物という意味なの。アーユルヴェーダでは、料理をしている間のエネルギーや態度、志や気持ちが食べ物に宿ると言われているわ。そのエネルギーは、それを食べる人の中で吸収、消化されるの。プラシャドの心を持って食材を準備することで、体とマインド、魂にも滋養がもたらされるのよ。ーラディ

志を定めよう 

これからつくる料理をイメージしよう。誰に料理をふるまうのか、料理がどのようにその人を満たすのか考えよう。その人にとって、どのように食材が体の栄養となるのか、自分の持つ特別なスキルを活かして、世に善をもたらすエネルギーとなるのかを思い描こう。

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 

集中しよう

気づきをもって食材を準備、料理をしよう。自分の持つ愛のエネルギー、癒しや滋養の力で食材を満たそう。ポジティブな言葉で料理に話しかけ、瞑想のマインドや、信仰心を高める音楽を聴いたり、アファメーションの言葉を言ったりしよう。

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 

喜びと感謝を表現しよう

野菜を育てた人から、レジの人、食材が成長するのに必要な光や暖かさをもたらす太陽まで、この食事に携わったすべての人に思いを向けよう。その後、少しダンスをして、愛を込めてサーブしよう。

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 
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by Lindsay Tucker
photos by Ashton Ray Hanson
recipe by Radhi Devlukia-Shetty
translation by YUKO
yoga Journal日本版Vol.77掲載

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